AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 死に絶えるべし・・「燃えよ!カンフー」詩録

<<   作成日時 : 2015/03/12 12:28   >>

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 「愛とは何ですか?」「愛とは、調和だ。響き合うことだ」





本稿は2005年9月3日公開記事の拾遺篇です。


高僧「海の向こうに何があると思うのだ?」
僧「見たことのない父の国があります・・・私につながる遠い過去があります」
高僧「では、いつか訪ねて行くのだな」
僧「過去を訪ね求めることは良いことですか?現在だけで十分では?」
高僧「過去によりかかって生きるなら、現在を疎かにすることになり、過去を無視することは将来を疎かにすることだ。人の運命の種は、過去の根によって養われるのだぞ」
僧「・・・」

過去を疎かにしがちなのが人間ではないだろうか?
生きているのは現在。
カネも夢もセックスも現在。
僕の過去はAV男優。
ゴムも検査も、マスコミも認知も、安全も信頼もなかったAVの男優。
それらを無視して、現在は明るい。
ザルでしかない検査、いざとなったら汚らわしいで済ませるマスコミ、売れる者達だけへの安全と信頼と賞賛・・・。
AV男優にはしょせん、過去も現在も、そして未来もない。
過去を無視し、将来を疎かにし、現在だけを貪る、それが性の生業(ナリワイ)。
人間の業?
だからAVの運命は最初から決まっている。
男優の根なんて、始めから分かっている。
使い捨て・・・。
つまり・・・いつかは裏切り。
都合が悪くなれば・・・そこまでの、束の間・・・刹那。

悪徳保安官に賞金目当てで殺されかかって負傷していた僧は、同胞の清国人の娘スーエンに助けられる。
恩師を守るため、やむなく皇帝の甥を殺してしまい、父の故郷米国に逃れていた僧は、お尋ね者だった。
スーエン「皇帝から追われているって本当?」
僧「はい」
スーエン「一万ドルの賞金を賭けるなんて、よほど貴方を憎んでいるのね」
僧「私の命を・・とることが喜びなんです」
スーエン「貴方だって皇帝の甥を殺したんじゃなくて?」
僧「あの時は・・ほかにどうしようもなくて・・・」
スーエン「・・・」
僧「たとえ誰であれ・・・人を殺そうなどと思ったことはありません」

AVなんて元より追われている身だ。
永遠の、お尋ね者だ。
いつの時代でも、よほど憎まれているのが、ポルノ屋たち。
気が向けば潰すのが、あちら側の喜びだ。
自分を取り繕うにはもってこいの、生贄なのだ。
ほかにどうしようもない時だけ寄り添い、依存し、味方のふりをし・・・。
けれど本性はと言えば・・・ヤりたいだけ、稼ぎたいだけ、楽したいだけ、自分を売り込みたいだけ。
男が女を殺し、女が女を殺し、女も男を殺し、生き残った者だけが、何とでも言える、徳などどこ吹く風の無法のクニ。
違うだろうか?
貴方は違うと言い切れるだろうか?

僧は少林寺での修行時代を回想する。
まだ幼い少年だった僧は、同輩のホーファンと二人で食糧の買い出しに出たところを親切そうな老人に騙され、山賊達に襲われてしまったのだ。
身ぐるみ剥がれて命からがら寺に帰った二人の小僧に老師が問う。
僧「全部盗られてしまいました。お金も着ていたものも・・荷車も何もかも全部です」
老師「一番大事なものは盗られなかった。お前達の命だ。しかしどうして(指定した)街道に行かなかったのだ?」
ホーファン「私達が愚かでした。知らない人を信用したのです」
僧「年とったお爺さんで、とても親切そうな顔をしていた人でした」
老師「ホーファン、このことからお前は何を学んだ?」
ホーファン「人を信用するな、ということです」
老師「(僧に)お前は何を学んだかね?」
僧「思いがけぬことは、どこにもある、ということです」
老師「・・・ホーファン、今夜はゆっくり休んで明日の朝、家へ帰るがよい」
ホーファン「いつここに戻ったらいいんですか?」
老師「二度と、戻るな」
ホーファン「・・・!」
黙って一礼して去っていく少年僧・・・。
僧「・・・」
老師「お前はわしが厳しすぎると思うか?」
僧「どうしてホーファンだけが罰を受けるのか分かりません。老人を信用した責任は私も同じです」
老師「信用したから罰するのではない。家を建てる時、大工が釘を打つ。たまたま悪い釘で曲がってしまった。そのために大工は全部の釘が悪いと思って、家を建てるのをやめるだろうか?」
僧「悪い人がいると分かっていても、いつも人を信じることが大事なのですね」
老師「人間の中には常に善と悪がある。人を信じることで善を励ますのだ。そうすることで、己自身の中に善を積むのだ」
僧「人を信じることの報いが善なのですか?」
老師「どのようなことを為す時も、報いを求めてはならぬ。しかし人を信じれば時には善よりももっと大きな報いがもたらされる」
僧「善より大きなものとは?」
老師「愛だ」
僧「・・・」

AVを見る人に言いたい。
AVを信用するな、と。
思いがけないことが起こっていると見えるかもしれない。
でも、信じることはない、と。
僕は厳しすぎる?
たまたま悪い輩がいた。汚れたことを見聞きした。
そのために全部のAVが悪いと思ってAVを否定するか?
AVにも善と悪がある。
AVを信じることで善を励まされている人もいる。
己自身の中に善を積んでいる女優もいる。
けれどAVに報いを求めない人間などいるだろうか?
AVを信じることも、為すことも、ヤることも、イくことも、売ることも、もてはやすことも・・何の報いも期待しない輩など存在するだろうか?
その報いとは・・・カネ?地位?権威?高慢?
それが善?
そしてもっと大きな報いが・・・愛?
AVに愛?
AVを信じることが、その報いがもたらすものが、愛?
僕は信じない。
それは報いられたと勘違いしている者だけの話だ。
報われなかった者達を無視し、踏みつけ、疎かにして顧みることもない輩の自慢話だ。
AVの過去はそんな話で満たされている。
現在はそんな話以外は抹消されている。
そして将来は・・・誰もどうでもいいのだ。
なぜなら・・・もし状況が変わろうものなら・・・他に世間体のいい、うま味ある商売が得られるのなら・・・AVなんかに二度と戻って来るか!
本音はそれだから。

スーエンは海岸の洞窟に僧を運び、傷が癒えるまでここに潜んで休むように言う。
スーエンの父ルーは、僧も愛読していた清国では高名な詩人だったが、今は投獄されていた。
僧「人間の自由を歌う作品を皇帝が喜ぶはずがありません。でもお父様はおっしゃっています。
"自由を叫ぶ人間は、自らそれを捨てなければならぬ時がある"」

AVは自由なはずだった。
自由が歌える世界のはずだった。
だが、そんなことを喜ぶはずがない。
AVに限らず、どこの世界にも必ず湧き出して来る、皇帝もどきのカリスマ気取り共が。
あんなのおかしい。
考えが浅い。
吐き気がする。
人でなしが多すぎる・・・誰が?自分は?
最初から叫んでいたのは自由でもなんでもない。
我欲だけ。
儲けることだけ。
そのために誰が泣こうが、晒されようが・・・全ては思い出になるのだから。
本当に自由を求める人は・・・叫ぶことも許されていません。
自ら捨てることも決められません。
そんな自由すら与えられないから。
それが業界のため?ユーザーのため?結局はあの連中のため?
棄てられた者達の傷なんて誰も知らない。
カネにもならないそんなこと、誰も何の関心もない。
ただ休んでいてくれることを祈るだけです。
叫ぶ勇気もない、卑小な我欲にしがみついてきた僕みたいなAV男優は、想ってあげることだけです。
何も捨てられないから。
せめて皇帝まがいの連中から身を潜めているのが関の山の、そんなものが僕に歌える詩だから。

身の危険を感じた父の計らいで、兄ウォンと共に米国に渡っていたスーエンは、商人の兄と別れ、一人で牧場の仕事をしていた。
スーエン「ひとりだって構わないでしょ?別に寂しいとは思わないわ」
僧「・・・畑の仕事は誰がするんですか?」
スーエン「・・・私よ・・・別に苦痛じゃないわ。もしも父のことがなかったら、今のままでも私、幸せだわ」
僧「女の人がひとりで、幸せですか?」
スーエン「・・・"愛する者なしにひとりでいる時、肉体は虚しく朽ちる。しかし愛なくして共に暮らす時、魂は虚しく朽ちる"」
僧「お父様の言葉ですね」
スーエン「そう・・・今の私の気持ちよ」
僧「お父様は賢い方です」
スーエン「・・・」
僧「私には理解出来ない言葉もあります」

ひとりでも構わない。
でも、寂しいと思う。
幸せかと問われたら、不幸とは言い切れない。
でも、仕事を苦痛に感じる。
愛する者なしに男優だから?
愛なくして共に現場に暮らす、そんな男優だから?
肉体は虚しく朽ちて、もうセックス出来ない。
魂も虚しく朽ちて、もう愛することも出来ない。
それが僕の現場。
僕というAV男優。
でも賢く生きるとは・・・騙すことか、誤魔化すことか、使い棄てることか・・・。
僕には理解出来ない言葉が多すぎる。
そんな御立派な世界か?
ただのケチな、エゴと下心の傀儡ではないのか?

少年時代を回想する僧。
老師に芝居小屋に連れて行ってもらった幼い僧は、若い踊り子の舞いと満面の笑顔に魅せられ、ドギマギさせられている。
老師「どう思う?」
僧「・・・特に」
老師「言いなさい」
僧「・・・落ち着きません」
老師「心と身体と魂はひとつのものだ。心と魂の欲望を関係が表わす時、関係は自然と溶け合っているのだ。それは清らかなもので、何ら恥じることはない」
僧「・・・愛とは何ですか?」
老師「愛とは、調和だ。響き合うことだ」
僧「・・・」

自然と溶け合ったAVなんてあるだろうか?
心と身体と魂とが、自然の欲望によって融合しえるなんてAVでありえるだろうか?
まず、売れてなんぼ、ありきなのに。
そしてまた自己満足の究極なのに。
AVは清らかではない。
AV以外の全ても決して清らかなどではない。
だから人は恥じ入らない。稼いで何が悪い、売って何が悪い、えばり散らしてどこが悪い?
愛とは何ですか?
AV以外のものだ。AV以外の全てのものにも、愛なんてないのだ・・・多分。
だから世間は調和している。
欲まみれで響き合っている。
AVなんてものが、しぶとく、性懲りもなく、生き延びている。

スーエンの献身的な看護で回復した僧。
ふたりはやがて愛し合い、体を重ねるが、スーエンにはある企みがあった。
皇帝に仇の僧を差し出すことで、牢内の父を救い出そうと考えたのだ。
そのために兄ウォンとその仲間を呼び寄せ、僧を捕縛しようとするが僧は拒否する。
僧「(捕縛)その必要はありません。スーエンの望みなら一緒に行きます」
それでも縄をかけようとするウォン達と格闘する僧。
スーエンは僧へ銃を向ける。
スーエン「やめて!私は父を助けるためなら貴方はもちろん自分の命も惜しくないわ!」
僧「一緒に行くと言っているんです。でも縛られるのは嫌です!」
僧を信じようとしたスーエンを兄が怒鳴るが、スーエンは答える。
スーエン「私はこの人を裏切ったけど、この人は嘘を言わないわ」
洞窟を出る一行。
だが、そこを待ち伏せしていた保安官が銃撃し、兄達は撃たれてしまう。
スーエンは遂に保安官を撃ち殺す。
僧に抱きかかえられながら、死に際の兄の告白を涙ながらに聞くスーエン。
ウォン「聞いてくれ・・お父さんはもう死んだんだ。俺はそのことを知らせに来たのに・・つい賞金に、カネに目がくらんで・・・許してくれ」
スーエン「・・・いいのよ・・・もう、いいのよ、お兄さん・・」

誰かを救うために誰かを裏切る。誰かのために死ねる。
そして誰かを信じられる。
カネを信じようとした者達は死に、けれど自由を信じようとした者は殺された。
わずかのカネでの殺し合い。
見下ろす権力。
自滅させられる弱者。
抵抗する者は圧殺・・・。
哀れである。
支配されし無名の捕縛の民・・・その、あがき。
縛られてはいけない。
カネにも、使命にも、裏切りという甘えにも・・・。
AVは裏切っていないか?
出る者見る者、作る者・・信じる者を裏切って、目がくらんでいないか?
人間のつく嘘に。
甘美な偽りに・・・。

別れの時・・・。
兄の亡骸を前にスーエンは言う。
スーエン「・・・当然の報いかもしれないわね」
僧「・・・」
スーエン「私は愛する者を全て失ったわ。父と・・・兄と・・・そして貴方を・・」
僧「スーエン・・・一緒に来て下さい」
スーエン「(静かに首を振り)・・・"裏切りより生まれし愛は、生き長らえるより死に絶えるべし"」
僧「お父様の言葉ですね」
スーエン「ええ・・・今初めてその意味が分かったわ・・・」
父の詩集を託し、僧に別れを告げる独りの女。
愛した男の去っていく後ろ姿に、一歩二歩踏み出すも・・・それ以上は何も叶わない・・・名もなきオンナ・・・。

愛する者を全て失ったから、AVなのか?
AVだから、愛する者を全て失ったのか?
AVは裏切りである。
そのセックスも、アクメも、射精も・・・愛も、情熱も、全ての言葉も・・・。
だから生き長らえたりしない。
引退すればそこまで。
もう私じゃない。
そんなことするはずがございません。
口に出すのも汚らわしい。
AVは死に絶えるべし。
別れも告げられないくせに・・・朽ちるまでAVにしがみつくしかないくせに・・・一歩でも二歩でも、女優に触れんとするスケベ心で生きてきただけのくせに・・・僕という男優は。
これ以上、何も叶わない。
AVだって、何も叶えられない。
それだけが調和だ。
僕とAVの・・・やるせない、響き合いだ。


"リッチでないのに
リッチな世界などわかりません
ハッピーでないのに
ハッピーな世界などえがけません
「夢」がないのに
「夢」を売ることなどは・・・・・とても
嘘をついてもばれるものです"
CM作家杉山登志の遺書(1973年12月 37歳で自死)












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