AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 己を見た・・・後編。

<<   作成日時 : 2006/06/23 12:30   >>

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またも見た。
「AVアイドルを舞台に上げてヤジとイジメで犯しまくる 3」(甲斐正明事務所)
僕は舞台に上がっていた。アイドルでも何でもないのに、彼女のステージを侵犯していた。

司会者から脱げと言われたAV女優がそれを拒絶する。
僕は、納得出来ないなら主張しろ、わめけ、と訴えている。悔しかったから全身で吠えろと、僕の方がわめいている。
これはどういうことか。
僕は彼女の味方をしている。ベソをかいてばかりのAV女優に、本気で具体的に戦わせようとしている。
彼女の立場に立ち、その真情を後押ししながら。
これも一つのキーワードだ。
それはセンチメンタルな共犯意識から来るものだけではない。
女優を動かす。女優にやらせる。女優に行動させる。
そのために僕が舞台に近づく。舞台を叩く。
僕が動いてみせることで彼女を動かすのだ。脱ぐという行動を拒否した彼女はそこではっきりとある意志を示した。それをより具体的に表現させることが黒子である男優の仕事だ。
その共有と先導のために僕はとうとう舞台に上がった。彼女の意表を突くことで怒りを誘発し、彼女の肉体自身に主張させることを同じ土俵に立って強要した。
指差すことも、「悔しい」と言わせることも全てが挑発だ。
彼女は何かしなくてはならない。ただ泣いてダダをこねるだけでは、仕事にならない。
素の自分に連なる本気モードに入りかけている女の子は良くも悪くも仕事という意識を見失ってしまう。
それを誘導とは悟らせずに、巧妙な手段で女優パフォーマンスに引き込むことが僕の加虐の発火点になっている。
スカートをまくったりして彼女にセクハラする。無礼で非常識な行いが彼女の本気の拒絶を具体的に際立たせる。
言葉ではなく、行為で彼女を揺るがすのだ。
まさかと思わせるショックと、信じられない嫌悪で彼女は錯乱し、より本性に沿った、しかもAV女優的な反応を露出してくれるからだ。
とは言え、なかなか彼女はカラが破れなかった。舞台という整い過ぎた空間がなおも女優を過保護にしていた。
そこで僕は舞台上に座り込んだ。あざとい手法だとは思ったが、冗談の通じる精神状態ではなかった彼女は、ようやく小さな逆上の証しとして、マイクスタンドを突き倒してくれた。
僕はその瞬間、やっと何かが始まったような開放感を覚えていた。
ただ完成した作品では、なぜかそこへ素っ頓狂なBGMが流れ込んでいて・・・。
僕のパフォーマンスはそんなに滑稽だったのか。
アイロニカルな演奏ではやし立てずにいられないような、ワザとらしいドタバタにしか見てもらえなかったのだろうか。

僕の言葉嬲りは時々笑われる。
マニュアル外れの僕の行動が、見物衆に冗談の空気を呼び起こす。
僕は女優をどうにかしようとしているだけだ。彼女達自らに大胆な行動と感性を喚起してもらいたいだけだ。
そのためにはピエロになる。地獄の羅刹になる。同じ見世物にもなる。一緒に並んで磔にされる。
それは僕の一方的な思い込みでしかない。エゴと煩悩を含んだ自虐のポーズでしかない。
さえない男が美女の関心を引こうと精一杯の道化を繰り返すミエミエの哀れさ。
人はそこに笑うのだろうか。嘲って蔑んで、優越の微笑を愉悦しているのだろうか。
僕は常にその冷気にまみれつつ、死なばもろとも、没我の陶酔に己の存在を、唯一感じて生きてきたのだ。

僕を舞台から下ろそうとするAV女優。
彼女は自分の庭を荒らされた屈辱に初めて怒った。ヤジに対して泣いてみせることしか出来なかった温厚娘が、男優なのか誰なのかワケわからない不気味な男を部外者の如く排斥しようとした。
彼女の見せたギリギリの反逆。
「殴れよ、殴っていいよ」と無責任で軽薄なヤジが飛ぶ。
彼女は殴ることまでは出来なかった。僕を掴んだ手にはかなりの力がこもっていたが、彼女の哀しい性格に暴力は馴染まなかった。
そんなことも見通せずに「殴っていいよ!」と繰り返す下劣な野次馬。
だが、完成作ではなおも理解に苦しむ馬鹿騒ぎのようなBGMがしつこくがなり立て、彼女の脆弱な主張は混濁の底でかき消されていく・・・なぜこんな雑音を・・・なぜここまでテレビ的で、えげつない煽りを・・・。

僕はあえなく舞台から追い落とされた。その瞬間のあまりに情けなさすぎる自分の姿。
あの男は一体何だ?
貧相で、みすぼらしくて、不快な影で・・・。
僕はどうしてあそこまで淪落した頽廃のザマをさらしていたのか。
去るも地獄、とどまるも地獄・・・?
僕は彼女を憐れんでいたのかもしれない。
殴ることも本気で怒ることも忘れてしまった、昨日まで幸せにAV女優を生きてきた一羽の雛・・・。
彼女はもうそこにいるだけがやっとだった。
僕の罵詈雑言も、ほとんどそこで終わっていた。

以後の僕はもっぱらマイク係である。
なおも執拗に安易なお涙頂戴的BGMの流れる中、「俺達、皆殴ってみろよ」なんて2ちゃんねる並の低級な中傷ヤジが飛び交う中、僕はひたすら彼女の声を拾おうと泣きじゃくる女優にマイクを突き出し続けた。
もっともその涙声のほとんどは無節操なBGMにかき消されていたわけだから、僕の努力もほとんど価値のないものだったのかもしれないが・・・。
彼女は頑に脱ごうとしなかった。
僕は、撮影辞めたい、職場放棄、というこれまたひとつのキーワードを彼女に切ってみせたのだが、彼女の答えは、自分が嫌だ、という結局疲れる堂々巡り。
どうにかしたい。
でもわかんなーい・・・。
それでも僕は彼女に付き添い続けた。マイクを持って仕えることで僕はまだ舞台から追放されてはいなかった。
作品にとっても、僕にとっても、それははかない命綱だった。

試しに始まる集団レイプ。
あっという間の潮吹き。
僕はひたすらマイクで追った。男優のくせにハエのようにまとわりつくだけの自分がそれこそみじめな限りだった。
僕の言葉責めなんて、本番男優の肉体の前では何の力も為していない。
彼女は泣き叫んで暴れた。すっかり全裸に剥かれて、次には公開オナニーを強いられていた。
なおも側に控えるマイク係の僕。
勝手にやればいいの、そうそう、笑おうが何言われようがやってみせればいいの。
ああ、気持ちいい、もっと見てぇ、とか・・そうそう、続ければいいの・・・ブツブツブツブツ囁き続けている従者の僕。
冷静な作り手の側に立ってマイクを突き出しているかと思えば、こうして女優の側に立ってるような援助の姿勢を示していたりするのも僕だ。
どっちつかずのわざとらしい偽善者・・・。
それを自覚したまま、僕は姑息な道にしがみつくしかないのだ。
ただ彼女が僕の声に反応して、無心で自慰に熱中してくれたり、「気持ちいい」と嘲笑覚悟で呟いてくれた時、僕は嬉しかった。
その時間の僕は彼女と一緒に舞台上でヤジられていたし、互いに味方は誰もいない仲だった。
もちろんそれは不毛な至福であったが、それゆえの被虐的な味わいは、僕のようなデカタン系男優にしか噛み締められないものでもあった。

フェ●チオ・・・またしても耳障りなBGM。
ぶっかけ隊が乱入し、舞台はただのAV撮影セットとなる。
僕はもう完全に客席の一人。
張り合うような連続潮吹きに続いて、いつの間にか敷かれたマット上で本番が開始される。
顔シャ。気持よくなくても出すのがプロ・・・拍手喝采。
彼女はとっくに蚊帳の外だ。AVらしくなった途端に彼女の存在は空しい悲鳴のみに霧消してしまっていた。
AV女優に主張などいらないのか。
AV女優に生きざまなど不要なのか。
AV女優には意志も感情も何の役にも立たず、ただアソコとアソコさえ酷使すれば、それで事足りるのか・・・。
最低!
やめて。助けて。
こんなの違う。こんなの仕事じゃないよ。
どうしてみんな、こんなことするの?!
彼女の叫びは誰にとっての真実だろうか。
AVというものは誰にとっての仕事、なのだろうか。
我々はどうしてみんな、こんなことをして生きているのだろうか?
僕は一言も問い詰めることなく、客席に紛れ込んでいた。

正直これで終わりだと思った。
だが、撮影はここから最後の急展開を見せた。
監督曰く、このままじゃ何も面白くない。
「おばあちゃんに向けて、AVの仕事のことを語って下さい」

熱い想い・・・そこから僕はどういう男優としてこの仕事を終えていたか。
来週の番外編まで、あともう少し、独白を引きずりたい・・・。









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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
壮絶な世界だ。
ひばかり
2007/01/20 15:58
初めまして。辻丸耕平さんのプロブを拝見して興味を持ち、このシリーズ1,2,3を続けて拝見しいたしました。AV界、酷い世界ですね・・・。男性側の性の世界に、女性が飛び込むことの怖さを覚えました。特にこのシリーズはテーマが「レイプ」ですよね。仕事という名目で、大勢の男性が性交の意思のない女性を押さえつけて襲っています。持田さんなど、彼女は「誰か、助けて!」と悲鳴を上げ、救いを求めているのに関わらず、その叫びに、その場にいた人が誰一人して応えてない、行動しないことが、恐ろしく感じました。撮影中である「仕事」という名前がつけば、人間、何をしても許されるのでしょうか・・・。良い年齢をした、立派な人たちが、年端のいかない女性を食い物にしている図で、恐ろしかったです。なんだか・・・色々考えさせられますね。
辻丸耕平さんの文章はしっかりされているので、読むのが面白いです。頑張ってくださいね。
カトウ
2009/02/24 21:14

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