AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 真実が裁く・・「燃えよ!カンフー」詩録

<<   作成日時 : 2006/01/18 19:11   >>

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「私を守ってくれ」「出来ることはしますが・・真実こそ何よりの武器です」

メキシコを旅していた僧は、山中で馬車が横転して重傷を負っていた老婆を介抱する。老婆は連れの少年をこの先にある村へ連れて行ってくれ、と頼む。口のきけない子供だが、特殊な能力を持っている、協力して村に取り憑いた災いの元を打ち倒してほしい、と乞うて息絶える。
その村は、カルロスという妖術師の存在に怯えきっていた。不幸な事件や疾病はすべてカルロスの呪いの仕業だと、村人達は妄信していた。
そして少年まで、村に着くや、原因不明の病いに苦しみだしてしまう。
僧は幼い頃の記憶を辿る。
少林寺時代、彼の同窓の修行僧が突然、亡くなったのだ。
「何が気にかかる?死んだ少年のことか?」
僧「呪いです」
「誰が呪いを?」
僧「彼の師、リョウ妖術師です。逃げた罰に・・・」
「未熟な心は木の根のごとく、触れるもの、すべてを吸収する。たとえ毒でもな」
僧「先生、彼は毒は飲んでないし、病気でもありませんでした」
「そうだな」
僧「なぜ、彼は死んだのですか?先生。私には分りません」
「その少年は、自分が死ぬと?」
僧「確信していました」
「その思い込みが死を招いたのだ。教訓にするがよい」

未熟な者は、触れるもの、すべてを吸収してしまう。毒でも煩悩でも、吸い込んで自分の養分にしてしまう。災いを招くかもしれない、厄病の滋養さえも。
だが、最も恐ろしい、おぞましい吸引は、思い込みという盲信だ。
人は呪われた、と思う。殺される、と思う。死ぬ、と思う。
だから、殺せ、と思う。呪ってやれ、と思う。
自分だけが、正しい、そう思い込む。

僧は洞窟に潜むカルロスを訪ねる。
「少年を村に連れて来た者だな。あの子はもうじき死ぬ。わしの呪いでな」
僧「人間にそんな力はありません。あの子は病気だ」
「わしには出来る」
カルロスは蝋燭の火に、手の平をかざしてみせる。熱がりもしなければ火傷も負わない。
「これでも認めぬと言うのか?」
僧「あなたは特別な人間だと言うのですか?」
「そうだ。特別な力を持っている」
僧「村人を苦しめるのは何のためです?」
「楽しみのためだ。どんな人間でも思い通りに出来るのが、愉快でならん」
僧「村人は怖れていますが、呪いなどは迷信です」

たかが炎。
たかが強さ。
たかが成功。
たかが勝利。
たったこれだけのことで、人は自分を特別だと思い込む。
万能に達したと、周りに吹聴して、さらに増長する。
やれば出来る。何でも出来る。
願いは叶う。思えば、その通りになる。
夢は叶えるもの。世の中は勝つもの。
そのために強くなるもの。弱い者は棄てていくもの。泣いてる奴は、亡びてゆくもの。
結局、そのすべては、何のためだ?皆の幸せのためか?人類の進歩のためか?地球を救うためか?
まさか・・・楽しみのためだ。どんな人間でも、どんな社会でも、どのような現実でも、思い通りに出来る、究極の快楽のためだ。
勝者だけが、一握りの悪運強き輩だけが、愉快で愉快でたまらなくなりたいが、ため。
その傲慢な、エゴ剥き出しの思い込みを、人々は怖れる。
迷信とも、政治とも、常識とも、仕方ない、とも怖れている。
人間に、そんな力は、ない。
怖れなければいけない人間なんて、どこにもいない。いては、いけない。

僧「村人はあなたの怒りを解こうと願っています。彼等に一体、何を望んでいるんです?」
「うんと苦しんで、死ぬことだ」
僧「そう伝えましょう。それがわかれば多分、あなたに対する考えも、変わるでしょう」

世の権力者。勝ち組、英雄、偉人、センセイ、教祖、カリスマ・・・奴等の望みは、まさにこれだ。
無力な弱者が、うんと苦しんで、死ぬこと。
のたうちまわって、自分に哀願するのをせせら笑って見棄てること。
それを誰もわからない。わかろうと、しない。奴等の言葉にすがろうとさえ、する。
もう一つの、呪われた思い込み。
奴等を作っているのは、我々だ。奴等をのさばらせているのは、我々自身だ。
殺されたがっている、死にたがっている、卑小な心だ。

僧は教会の神父に会うが、神よりも悪魔の呪いを信じてしまっている村から、彼は絶望の思いで去ろうとしていた。
「あの老婆は、不思議な超能力を持っていた」
僧「人よりも、少し多くの、知恵があったのでしょう」
「それが生まれつきの能力じゃないのですか?」
僧「知恵は知識と、経験から産まれるのです」
「あの老婆は自分で魔女だと言っていましたが、確かに普通の者とは違っていた。こんなことを聞いて失礼かもしれませんが、あなたももしや・・・」
僧「(笑)・・私は、僧です」
「それで一体何を、何を信じているのですか?」
僧「命です」

悪魔も、神も、信じることはない。それを普通の力ではない、と信じ込んでいる限り。
確かなものは、命だけ。あらゆる知恵も能力も、命の上に育まれていくもの。
けれど人間の命は、はかない。あまりに空しく、唐突に、地上から失せてしまう。
人は、己の命のはかなさに、恐怖する。だから命を一番信用出来ない。
人間の愚かさは、ここから始まる。どこへ去ろうと、どんな知識と経験を得ようと、愚かな者は、愚かな命のままだ。

十字架に舞ったカラスにさえ、すくみ上がった村人達は、伝統の悪魔祓いの祭りを行おうとしていた。
僧もかつて少年の頃、妖術師に魅せられて、あやうくその奇怪な儀式に漬かろうとしかかったことがあった。
僧に赤ん坊の病気を直してもらったことのある女が、祭りの中、必死で訴える。
「あなたは坊やの呪いを解いて助けてくれたわ。どうしてあの子を助けられないの?」
僧「私にも、恐怖はどうすることも・・」
「あなたにはその力があるわ。隠したって、わかってるわ」
僧「私の力は、私の学んだ知識だけです」
「村を出る前にカルロスをやつけて!」
僧「カルロスを滅ぼしても、その後にまた別のカルロスが現れ、それを滅ぼせばまた別の、皆の心に恐怖がある限り続くでしょう」
「じゃああなたの力でその恐怖を追い払って」
僧「私には出来ません」

悪魔は人ではない。支配者ではない。
支配される側の、哀れな恐怖心だ。臆病者共の、ずるさだ。
それぞれが、より弱い者を虐げたくて、支配を望む。
権力に飢えるあまり、圧制を夢見る。
恐怖ではない。欲望だ。それぞれの心に取り憑いた、呪詛の妄執だ。
人は呪われながら、呪って生きる。
殺しながら、殺されていく。
愉快なはずだ。人間には、地獄しかない。

祭りは悪魔の仮面を被ったカルロスによって、ぶち壊されてしまう。
カルロスの真の目的は、村の領主への復讐と我欲だった。
彼は妻を使って領主を消そうとしたが、逆に妻を殺されてしまった。そこで妖術使いを名乗り、呪いの迷信を利用して、村を恐怖で支配し、領主の地位と財産を奪い盗るつもりなのだ。
農民にも召し使いにも逃げられた領主は、僧に助けを求める。
「カルロスに脅されているんだ」
僧「脅迫には、屈しなければ、恐るるに足りません」

屈しなければ、何も怖くない。
もちろん権力相手に、こうは簡単にいかない。
しかし、我々は屈してばかりではないのか。権力どころか、まず己自身に、あっさり屈服して生きているのではないのか。
人は、怖れて生きている。何よりも自分という悪魔に、呪いに。
救いは、あるのか。
どんな未来が、我々にはあるのか。

村を掌握したカルロスは、教会をも占有する。だが、僧だけは、堂々と向かい合う。
僧「子供の様子を見たいのですが」
「ここはわしのものだ。入ることは許さん」
僧「入ります」
「わしの力を破れると思うのか?」
僧「はい」
「どんな手を使うのだ?」
僧「何も・・」

何も、いらない。
何も、必要ない。
本当に、そうなのだ。人間には、何もいらない。何もないから、人間は幸福になれる。
何かを求めること。渇望すること。勝手な理想を描くこと。誓いを立ててしまうこと。
そこから先、人間はどこにも入れない。何も出来ない。
誰も永遠に、許されることが、ない。

カルロスは僧の立つ地面の周りを線で囲み、十字架の影がその輪の中へ差し込むまでに輪から抜け出さなければお前は死ぬ、と脅しをかける。
僧は無言で地に座禅を組む。
天を見上げながら、僧は回想する。
妖術師の手から少林寺へ逃げ帰ってきた子供の僧は、高僧の前で懺悔した。
僧「先生・・・妖術師リョウの元へ、無断で行っていたのです。偉大な秘術を学ぼうと思って行ったのですが、逃げてきました」
「偉大な秘術を学ばぬうちにか?」
僧「少年のように、私も呪いをかけられました。私は、もうすぐ死ぬでしょう」
高僧は、鏡に火の灯った蝋燭を写す。
僧「これで呪いが解けるのですか?」
「鏡の中に何が見える?」
僧「蝋燭の炎です」
「鏡は蝋燭の火で焼かれるかな?」
僧「いいえ、先生。火は写っているだけです」
「鏡のようになるのだ」
僧「・・・どうすればなれますか?」
「どんな悪もお前の内に入れるな。黙って写していればよいのだ」
僧「死なずに、済むのですか・・・」
高僧は優しくうなずく。
「さあ、行って休むがいい。心配はいらん」

鏡のように。
すべてを無言で写し取るだけ。
そうすれば焼かれることもない。焼き捨てることもない。
僕もカケラくらいで、いられたい。
何も写せなくとも、内に何も入れたくはない。
誰も僕の写したものなど見るまいから。僕がいずれ焼かれることも、気付かないだろうから。

影が差しても、もちろん僧は死なない。
立ち上がった僧に、女は歓喜の思いで叫ぶ。
「彼の妖術を破ったわ!」
僧「元から、ないのです」
怒ったカルロスは僧に襲いかかるが、敢え無く叩きのめされる。
僧「終わったのです」
病いの癒えた少年が笑顔で僧を迎える。

元から、ない。
そう言えそうなものが、何と世の中には多いことか。我々の周囲には溢れていることか。
一つ一つ、終わらせていくしかない。もはや人間は、進むのではなく、終わらせる方向へ導かれていくしかない。
僕も、終わりを祈る。

悪魔の仮面は埋められ、村に平穏が訪れる。
領主は旅立つ僧に声をかける。
「出て行く必要はない」
僧「留まる必要もありません」
「・・・恐れることはなかったのに、愚かだった」
僧「その理由は?」
「真実を隠したからだ。”真実は何よりの武器”、本当だな」

生きる必要は、ない。
死ぬ必要も、ない。
ただ恐れないこと。愚かでいないこと。
それを決めるのは、真実だ。カネでも権力でも勝利でもなく、真実だけだ。
一人一人の、心の中の、真実。
人間には何の武器も、いらない。
真実さえ隠さなければ、そこに平穏は巡ってくる。
だのに、僕は、真実を明かしていない。これだけ毎日ブログで吐き出しながら、長い遺書と称しながら、ほとんど真実を隠したまま、愚かに生きている。
怯えているだけ。
埋められてなお、息をしているだけ。
僕のこのブログこそ、悪魔の仮面なのだろうか。
それを被り続けたまま、いつか果てるのが、僕の真実だろうか。
その理由は、僕の旅だけが知っている。













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