AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS ひとりで・・・「燃えよ!カンフー」詩録

<<   作成日時 : 2013/06/13 05:36   >>

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"運命には偶然の入り込む余地はない。お前が右の道を選ぼうと左へ行こうと、行き着くところまでは行く。そしてそこが我々の運命なのだ"



僧は積年の想いの末、ある街で腹違いの兄ダニー・ケインの存在を知る。
だが彼は、街の有力者コルビノの無法と争ったために、賞金付きで追われる身となっていた。
兄の逃亡先を探るためにコルビノが興行する素手のボクシングの試合に参加した僧は、ひとりの黒人ボクサー
と出会う。
酔客の求めに応じて、素人に腹を殴らせながらも愛想笑いを絶やさない屈強な男。
だが彼は金のため、それは盲目の母を養うために無理な戦いを続け、試合中に亡くなってしまう。
代わりに試合で勝利した僧を取り巻く金持ちの白人たちに、僧は応えようとはしない。
僧「慰み者になりたくないんです」

慰み者・・・いじめられっ子がそうだ。被害者がそうだ。無名の人々がそうだ。
AV男優も、AV女優も・・・。
弱い人、苦しんでいる人、寂しい人、傷つけられている人・・・。
慰み者にして楽しんでいる輩がいる。
泣いてる姿を、苦痛に耐え忍んでいる様を、殴られている現実を、笑い、嘲り、蔑み、切捨て、そして勝ち誇る。
そうしなければ生きていけない。
誰のせいで?
誰のために?
誰の力で?
誰の命令で?
奴らは殴られない。
決して傷つかない。
絶対に損はしない。
笑い合っている。
みんな・・・そう呼び合っているだけの、断絶のショー。

僧はダニーの愛息ジークと知り合い、さらにダニーのかつての妻ベロニアを連れて、兄の逃亡先らしい場所へと荒野に向かう。
ベロニアとダニーは、わずか半年の結婚生活をベロニアの父カントレル将軍によって引き裂かれていたのだ。
それは十八年ぶりの母と子の再会。
しかし息子をガラガラ蛇から守ろうとしたベロニアは、噛まれた毒によって死に至ってしまう。
つかの間の母を埋葬する息子と僧。
僧「土から出たものは全て土に帰り、生と死との境いは、一枚の薄紙に似て隔て難いが、一度超えれば戻って来る者はいない。流れて去った川の水の、戻らぬように・・・。時の流れが、帰らぬように・・・」
ジーク「聖書にあるの?」
僧「今のは、お経です」
ジーク「お経って?」
僧「生き方を示す、教えです」
ジーク「・・・せっかく会えたってのに・・・三日一緒にいただけだ・・」
僧「一緒ですよ。いつも、心の中で・・・」
形見の首飾りを甥にかけてやる僧。

生き方を示す教え・・・そのはずだ。
すべてがそうであるはずだ。
生き方を、そう世界中が教わってきたはずだ。
だのに、殺すことを教えている。
守ると称し、聖を謳い、神を掲げて・・・。
全ては土に帰るのに。
誰も戻っては来れない、流れを止める術もない、どんな力も時の流れには勝てやしないというのに・・・。
生きるとは、心だ。
心が全てを生かしてくれるのだ。
殺して何に勝ったといえるのか?
心で会える。
心でつながる。
心で・・・一緒に・・・。
土に帰りたい。
心の土が、帰してくれる・・・きっと。

コルビノ一味の追っ手を避けながら、ある街まで辿り着いた二人は、ダニーの隠れ場所を知るという昔の女に会いに行くが、法外な金を要求される。
そこでジークは、やはりダニーを追って来たカントレル将軍の望みを叶えるため、金と引き換えに将軍の元で暮らす約束を交わす。すべてはコルビノの復讐から愛する父を守るために。
少年の頃の少林寺時代を回想する僧。
組み手の時間、何度も相手に負かされる僧は、老師に謝る。
僧「すみません」
老師「すまん、と誰に謝っている?負けたのは私ではないのに。もう一度」
やはり、転ばされてしまう僧。
僧「恥ずかしいと思っています」
老師「負けることは恥ではない。勝つ気でやったのなら」
僧「・・・悩みがあるんです」
老師「どんな悩みかね?」
僧「言えません」
老師「・・・」
僧「先生、私は悪い弟子です」
老師「なぜ、そう思う?」
僧「隠し事をしています」
老師「あくまでそれは君の自由だ」
僧「自分のためじゃないんです」
老師「なぜそう言える?」
僧「他の人がいます」
老師「信頼を裏切りたくないんだな?」
僧「ええ」
老師「その信頼は、押し付けられたものか?」
僧「はっきりは分かりません」
老師「分かるまで、よく考えるんだ」
僧「もし、誤っていたら?」
老師「いずれは気がつく」
僧「誤りを犯しても修行は続けられますか?」
老師「人間である限り、みんな過ちを犯す」
僧「盗みをはたらいたら?」
老師「君は何かを盗んだのかね?」
僧「違います、先生。盗人を友達にするのは・・・」
老師「盗人も人間だろう?」
僧「私と同じです」
老師「人それぞれに好みは違う。皇帝陛下の兵士が今朝、寺へ来たが盗人を探していた。改めて言うまでもないが、友達として探してはいなかった」
僧「・・・」
老師「もし機会があれば、気をつけるように言ってやりなさい」
僧「・・・・」

負けることは恥ではない・・・今頃になってそう言う。
誰かが死んだから、やっとそう言う。もっともらしく。
負けたのは誰でもないのに。
誰も負けてはいないのに。
勝ったと思い込んでいるだけの奴らが・・・。
自分のためではなく、裏切りたくないと悩み苦しんでいる人々だけが、負けを認める。負けを恥じる。己を否定する。
そしていつかは気がつくだろう。
負けてなどいない。
裏切ってもいない、と。
けれど奴らは気がつかない。分かろうともしない。
自分がただの人間であることすら、みんなと同じでしかないことにすら、かしずかない、ひれ伏さない、つまり自分のことしか絶対に認めない。
あとは盗むだけ。
犯すだけ。
友達なんて・・・。
あなたは探していい。
友達を。
負けることを。
恥じることを。
あなたと同じ人間を。
だから自由だ。
愛せるんだ。

ダニーの隠れ場所に辿り着いた僧は、コルビノの用心棒を打ち倒し、遂に兄と対面する。
ダニー「これまで・・・好きなことを気楽にやって生きてきたが・・・いつも何かが足りないような気がしていた・・・それが君だ」
僧「私も・・・満ち足りないものを感じて・・・探しました」

足りないもの・・・それは感じるもの。
心が感じるもの。
好きでもなく、真剣でもなく、死ぬほどでもなく・・・。
ただ気になるもの。
何か、とつぶやけるもの・・・。
そこにあなたは生きていける。
感じる心が、あなたを生かす。
それが、あなただ。
あなたの命だ。

ふたりでコルビノの追っ手を振り切っていくダニーと僧。
ダニー「しかし・・・俺がどんな男かはもう分かっただろう?色々きわどいこともしたし、はは、賞金付きで逃げ回っているが、君が清国を出た理由っていうのは、俺とはちょいと違うんだろ?」
僧「皇帝の甥を殺したんです」
ダニー「皇帝の甥か・・・」
僧「はい」
ダニー「ふうん・・・俺よりはずっとウワテだな」
僧「・・・誇りには、思っていません」
ダニー「ああ・・・そうすると・・・君も追われているわけだな」

人は誇りたがる。
何かのため、と。
誰かのため、と。
これが俺の生き方だ、などと。
その実、笑っている。舌を出している。
逃げ回っている。
自分の誇りから。
真実の、己から。
追われているわけだ。
だから怖くて、わめき散らして、エバり返って、なすりつけて、しがみついて・・・。
誇りなど、なくていい。
生きていれば、それでいい。
おかしいか?
弱いか?
情けないか?
殺されるか?
みんな、追われている。
逃げ回っている。

僧はカントレル将軍を訪ね、ジークと再会する。
将軍はジークを自分の事業の後継者にしようとしていたが、ジークの想いは父の元にしかない。
ましてこの祖父は、若き日の母ベロニアと父ダニーの幸福と未来を奪い取った男なのだ。
僧は将軍と向かい合う。
カントレル将軍「何をしに来た?」
僧「皆さんを救いたいんです。失望と不幸から」
カントレル「わしは君らの世話にはならん!目当ては分かってる」
僧「ジークはあなたと暮らすと約束しました。約束から解放してやって下さい」
カントレル「嫌だ!馬鹿を言うな!分からんのか?わしにはあいつしかいないんだ!」
僧「分かってますが・・・あなたのものにはならないでしょう。多分、あなたの事業も継がないと思います」
カントレル「教えてやるさ」
僧「教わる気持ちがないんです。愛も受け入れられないし、返しもしない。ここにいれば囚人と同じです」
カントレル「!・・・何でもいい・・・わしは孫が欲しい」
僧「引き止めておけば必ずダニーが取り返しに来るでしょう」
カントレル「・・・若い頃は・・・人を殺したことも、人に殺させたこともある」
僧「もしダニーを殺して、あなたがやったと分かったらジークはどうなるんです?」
カントレル「・・・・」

愛がなければ、受け入れられなければ、返す気持ちも失くしてしまったら・・・そこは監獄。
誰かを殺せば囚人。殺させても囚人。
殺った当人が、ではない。
その子供が、その孫が、父も母も、妻も夫も・・・周りの皆が・・・。
殺ったことを誇る人間は所詮、囚人になどならない。
殺らせたことを驕る人間は土台、誰かを囚人にしてしまうだけでしかない。
失望と不幸を撒き散らし、これしかない!と叫びながら本当は何でもよくて、馬鹿馬鹿と罵りながら、金と地位と虚栄だけに邁進し・・・。
幸福と未来を奪う輩。
欲しい欲しいしか、頭にない連中。
我欲の囚人。
どこにでもいる。

僧は、将軍の牧場で、タイガーと呼ばれる若い牧童頭と出会う。
彼は将軍に忠節を誓って、常にそのように行動していたが、将軍が顧みることはなかった。
タイガー「この牧場に生まれて、自分のもののように大事にしてきた。カントレルの名前に相応しいことを何度も証明してきた。でも通じやしない。俺はあの人にとっちゃあくまでも雇い人だ。俺がどんなに努力しても将軍は認めようとしないんだ」
その訳は・・・彼の母、一生をこの牧場に閉じ込められて寂しく死んだ母にあった。
タイガー「カントレル将軍にインディアンの女がいたってことが皆に知られないように、外にも出さなかった」
僧「偏見はどこにでもあります」

昔はなかった。
俺達の時代は違った。
○○人はそんなことはしない。
ウチの子に限って。
だから・・・。
アイツラが悪い。
アイツラのせいだ。
アイツラ、許すまじ!
偏見はどこにでもあります。
隠蔽すれば、監禁すれば、支配してしまえば・・・どこにでもあるのです。

息子を取り戻しにダニーがカントレル将軍の屋敷に現れるや、潜んでいたコルビノ一味が襲い掛かる。
格闘の末、僧が手下共を倒し、ジークを守るためにダニーがコルビノを撃つ。
コルビノ「ダニー・・・ダニー・・・お前に負けるとはな・・・」
将軍をも殺そうとした一味だったが、タイガーが盾になって父を助ける。
カントレル「命の恩人だ。何でも欲しいものをやるぞ。何がいい?」
タイガー「名前です・・・」
カントレル「・・・カントレル・・・君はカントレルだ!」
僧「あなたにも子供が出来ました。ジークは返したらどうです?」
カントレル「・・・!」
ダニー「・・・」
カントレル「ジーク・・・好きなようにしなさい」

負けると思うことを恐れ、人は凶暴になる。残酷を押し通す。
それも己が名前のため。
権勢の象徴たる名前に固執するため。
負けることも死ぬことも厭わない人は、愛のためなら身を投げ出せる人は、何も欲しくない。執着しない。形などいらない。
心という名前だけ。
名前が伝える、心の証しだけ。
好きに出来る素晴らしさ。
好きに生きられる美しさ。
でも、そのための長い長い悲痛の人生。
哀切の想い。
分かり合えるしか道はない。
許し合うことにしか、幸福はない。
僕は悪党を撃つだろう。
僧の目の前でも殺すだろう。
僕は好きには出来ない。許されない。
このラスト・・・物語の終着・・・僕には分からない。
僧は兄を許したのか?
それがやはり、人間なのか?

恩讐を超え、失望と不幸から救われた二組の父子の宴。
ダニーとジーク、カントレルと、その息子・・・。それぞれが一緒に新しい事業を始めようとしている。
兄と甥から一緒に牧場をやらないか、と乞われた僧は、少林寺時代を回想する。
僧「先生、運命の力についてお尋ねしたいんですけど」
高僧「何かね?」
僧「道が二つに分かれているところへ来た時、右へ行くべきか左の道を行くか、何を元にして判断すればいいんですか?」
高僧「ははは、お前は偶然の機会を問題にしている。それが存在することを前提にしてな。そもそもそれが間違いだ。運命には偶然の入り込む余地はない。お前が右の道を選ぼうと左へ行こうと、行き着くところまでは行く。そしてそこが我々の、運命なのだ」
そして今、僧は言う。
僧「私にはまだ、過ぎた過去を未来につなぐ務めがあります。それまでは旅を、続けるつもりです。ひとりで・・・」
家族に一礼して去らんとする、名もなき僧侶・・・。

偶然などない人生。
行き着くところまで行くだけの運命。
僧は殺した。
兄も殺した。
祖父も・・・。
けれど息子達は殺していない。
殺されていない。
それが分かれ道。
運命という、絶対の、間違いも何もない、それぞれの一本道。
僕も行き着くところまで行く。
AV男優という運命。
あなたという運命。
過去から未来へと、つながれていく運命なる旅。
僕にも多分、まだ少し務めが残っているようだ。
AV男優という過去から、あなたという未来へ。
僕という過去から、運命という未来へ。
それまでは旅を、続けるつもりです。
ひとりで・・・。



「燃えよ!カンフー」第63話(正確には60、61、62と続く四話物)・・・最終回である。
だが、この連載?を終わらせることはない。
再び、過去の回に遡って、未消化の分の詩録を続けるつもりである。
僧の言霊が、その旅が、永遠に、誰かの心に刻まれることを祈って・・・・。




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
素晴らしい記事に感動いたしました.
ところで市販のDVDは第3シーズンから英語版しかありませんね。
テレビから全話を録画されておいでなのでしょうか.
もしそうならダビングしていただけないでしょうか、、お代は払います。
群馬県館林市 太田丈夫
如月里雲
2013/10/17 21:02
コメント、ありがとうございます。
申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。すいません。
AV落人
2013/10/19 07:36

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