何度も何度も・・・。

待たされた。例によって僕は貧乏くじをひいた。
あきれる気にもなれない。
何度も何度も、嫌というほど、しつこくしつこく・・・。
僕はあらゆるものから待たされるだけの存在だ。約束を守られる価値もない、ということらしいのだ。

何度言っても通じないことがある。肝心のところで手を抜かれて、結局元の木阿弥を食らうことになる。
とことんナメられたものだ。心底、馬鹿にされる運命のようだ。
たかが注文、どうせ安物、所詮はケチくさい客・・・。
僕はもう何の予備知識もなしに、そう見られる人間らしい。
初めて会った相手からさえ、軽く軽く、チャチな人間にしか値踏みされないらしい。
たかが、の男。
どうせ、の相手。
所詮は・・・どうでもいい人間。
そのくせ決められた額は払わされる。向こうのルールだけは厳格に守らされる。
どっちが客だ。どちらが被害者だ、加害者だ。
僕には問う権利もないようだ。
僕の訴えなんて、それこそ遠吠えにも満たない、寝言の繰り返しのようだ。

疲れている。自分の体でなくなっている。
体温は勝手にイカレまくり、汗と寒気のもたれあい。
そんな時に限って外で待たされるのだ。汗でグッショリの下着のまま、どんより空の下、道ばたに座っているのだ。
僕みたいな頭髪をしたホームレスを見た。
僕よりひと回り年上かもしれないし、同世代かもしれない。
いずれにしても僕の顔もあんな風だろう。いや、もっともっと醜く、ねじれているだろう。
このイヤらしいクセっ毛みたいに。何の因果か、ねじ曲がって、ひねくれて、どこまでもサラサラの自然に戻らない、歪んだ肉隗。
僕は体の底から捻れているらしい。
もうどうしようもない、と分れば分るほど、しかし僕は我慢ならない。
運命なんてクソくらえ、だ。
こんな愚劣な業苦しか、僕には見当たらない、最低の有り様なんだ。

かかってくるはずの電話が一向かかってこない。
こちらからかけようにも、留守録は早口過ぎて聞き取れない。
何度も何度も巻き戻してみた。いくら耳をこらしても、さっぱりどこの誰か分りやしない。
ほっとくだけだ。
僕もほっとかれるばかりだ。
今日も一人。何もなし。
僕は何度もこんな遺書を書いた。
何度も何度も・・・もう沢山だ・・・・と、やっぱり何度も書いてきたんだ・・・。

我といふ人の心はただひとり
われより外に知る人はなし
            谷崎潤一郎

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この記事へのコメント

ドッグ
2006年06月03日 02:17
みんな笑ってる。
私も笑ってる。
みんな笑ってる。
私も笑ってる。
誰も気付かない・・・。

私は泣いている。
みんな笑ってる。
私は泣いている。
誰もいない。
誰も・・・いない・・・。
誰も・・・。

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