AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

アクセスカウンタ

zoom RSS なぜ、僕がAV強要問題に拘るのか?・・・ゲスなる業界、性と生の強要

<<   作成日時 : 2016/10/17 12:13   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 11

生きているうちしか、命は削れないのだ。命を削ることこそが、生きているということだ(ゲスママ)




作家神田つばき氏の御著書「ゲスママ」(コアマガジン)を読んだ。

"ママ38歳  
愛よりも、性  
母なのに、子宮を喪ったのに、
「まだ女なのか」  
私は肉体で確かめたい"
(帯コピー)

一口で言える感想は、大変失礼ながら、「羨ましい」という・・・最も男目線の高慢な言葉。

"僕は男だから。
パパではなく、なったこともないから。
性よりも人間を求める。
父になれたのに、何の男性器官も喪っていないのに、
「まだ、これでも男なのか」
僕は確かめたい、肉体より命で・・・"

僕はまったくこの著作には不似合いな読者だったようだ。
残念ながら、女性たる著者への理解も考察も、思い入れも、この本に関しては無理無能力。
だが一点だけ繋がれたのは、確かめ合えそうなのは、共にまだ生きているということ。
著者57歳、僕55歳。
そして命を削っている、遠からぬ死へ向かって削っている、そのおかげで?今もそれぞれに、それぞれなりに、生きている・・・。
だから僭越ながら書かせていただく。
この本と、そして今現在の、僕が個人的に確かめようとしている、つまり命を削って向かい合っている問題とを、強引に自分勝手に、絡み合わせて、綴らせていただく。
お許し願いたい。
あなたはゲス、だそうだから。
僕も、ゲスらしいから。
それは所詮、虚栄と欺瞞に満ちた詭弁のアピールでしかないと、自嘲しながら・・・。

「それは子供たちにとっては恥ずかしい母親の歴史かもしれないが、私にとっては自分で自分を肯定するための重要な行動だった。これ以外の方法では、どうやっても肯定できなかったのだ」

二人の子供の母でありながら、AV出演し、アダルトライターになり、プライベートAVを作り、自分で売り、昔も今も縛られ責められ、自らの歪んだ欲望を晒し続ける日々・・・。
羨ましい、その自由奔放さ。
リスクを恐れない豪胆さ。
そして多種多様で過酷な作業をこなし続ける心身の強靭さ。
僕は今、AV出演強要問題に関わっている。
いや、実際にはほとんどがネットで一方的に呟いているだけ。
他人様の発信を拾い上げまくっている姑息さだけ。
あらゆる意味で程度もレベルも低すぎる。
だから、やっぱり羨ましい・・・か。
ただ、こうも言ってみたい。
現役AV男優としては、AV業界人達からしたら、身内の恥?を晒しまくっている僕の存在は恥ずかしい歴史かもしれない。
でも僕にとっては、自分で自分を肯定・・・いや、否定だ、自己否定だ、いやいや、全否定、AVもAV業界もとことん全否定!
そのための重要な行動・・・そう、これ以外の方法では、どうやっても肯定ではなく、否定出来なかったのだ。
自分自身を、男優としての28年間を、つまりAV業界という僕が生きた傷痕を。

「子供は言葉で自分を説明しようとしない。それは言葉を知っている知らないとは関係ない。他者に向って自分の窮状を訴えるという客観性が、10歳くらいまでの子供には乏しいのだと思う。しんどい気持ち、孤独な気持ちは、幼ければ幼いほど自分の内部に向かい、そこを音も立てずに抉り続ける。おかしくなっても抉ることを止められない」

母と祖母との確執。
母系王国への幼い抵抗。
僕の場合は学校でのイジメだった。
同級生とクラスという集団との確執、学校王国への幼い・・・抵抗?いや抵抗なんて出来なかった。
忍従、諦念、そして憎悪・・・鬱屈して煮えたぎり続けながら、遂に暴発には至らなかった虚しく惨めな怨嗟・・・。
その積年の恨みを、燻ぶり続け決して枯れることのなかった復讐の業念を、僕は今、AV強要問題に擦り付けようとしている。
もう子供ではないから言葉を使い、知ってる言葉で、他者に向って、自分を、AV業界の惨状?を訴え・・・。
客観性なんてない。
僕の問題だから。
いじめられっ子は僕だから。
僕自身こそが"被害者"だから。
しんどい気持ちも孤独な気持ちも大人になった今では、自分の内部ではなく、外に向っている。音を立てそうな言葉で、容赦なく抉り続ける。
だから結局おかしくなっている。
子供の頃はかろうじて抑えに抑えて、おかしくもならず、誰にも向かわず、何とかしのいできたというのに、55歳にもなってとうとう僕はおかしくなった?
毎日、大量のAV強要問題についてのリツィートをしんどい思いをしながら繰り返し、孤絶した抵抗に埋没し・・・。
AVとAV業界へ、何の確執があるか、と振り返る・・・こともせずに。

「しかし、不思議なことに、自らの性について表現すればするほど、その面白さや快楽だけが作品に残って、それが私という人間にとってどんな意味があるのか、私はどうしてそれを求めたのかーーということは水底に沈殿して遠くなり、誰の目にも見えなくなっていく。自分の性生活を文章や映像にして売ったとき、そのことにとても戸惑った」

僕もアダルトライター出身。28年間、AV男優として"絡み"という名の自らの性を表現、いや売ってきた。
その面白さや快楽、すなわち虐待、レイプ、言葉嬲り、という僕の十八番プレイの残忍な面白さ、悪魔的な愉悦だけが作品に残った。
それが僕という人間にとってどんな意味があるのか?
考えたこともない。
求めたことなんてない。
いや違う。
意味など最初から無かった。
求める価値も有り得なかった。
戸惑いなんて、まったくの無縁だった・・・現場では。
女優をいたぶっている、その極上の我欲に沈殿している、本番中という、魔性の時間の底で。
それは忘我ではない。
そこが男と女では違う。
男性と女性では異なる。
僕は、そして男という生き物は、性という極限の境地であってさえ、いじましい算段をしている。卑小な奸計にしがみついている。
どうしたら自分を有利でいられるか。
どうすれば自分の得になりえるか。
どうやっていれば、己を守り、己を保ち、プライドと高慢という己の我執を上座に据えておくことが出来るか。
全ては女という、一段も二段も低く見ていたい、永遠に見下していたい、そんな恐れる存在対象への卑怯未練な権勢欲のために。
また否定だ。
女性である著者に対しての、同業界人でありながら、形や程度の違いこそあれ共に"虐待経験者"であるはずなのに、僕は彼女とは見解が異なる。
そして現在も彼女はAV擁護派、僕は徹底した内部批判派。
それはやはり羨ましいからだろう。
羨望とやっかみの上に立った、情けなき屈折視の故だろう。
僕は面白さや快楽を表現出来た試しがない。
僕が売ってきたものは、全て僕にとっては苦々しい痛恨と醜悪ばかり。
しかもそれしか、本当にそんな形でしか僕は表現してこれなかった。
何かを求めようとすると僕の性はそんなものにしかならなかった。
どうしようもなく、それが僕の、僕にはそうとしか作れない、僕の作品だった。
こんなことに意味はない。
こんな自分に、そして業界に、AVに・・・何の価値も見つけられない。
だから羨むんだ。
AVに生きる女性を。
そこに自分の性を、愛を、生きる意味を、見い出せている女性全てを。
僕が「業界でAV女優だけを尊敬する」と言えるのは、こういう理由からだ。
彼女達に憧れる。
でも僕は、死んでも彼女達にはなれない。
「ゲスママ」を、AV女優を、ひょっとして女性というそのものを、僕は永遠に、遥か遠くから、うずくまって、臆病な眼差しを浮かべていることくらいしか、多分、出来ない。

「一人で省みるだけでは絶対に終われない。そして、集団に入ったとしても懺悔する側では終わらないのである」

著者の祖母。
僕は敵わない。
著者は母ほど近い人でなかったゆえか、程よい距離でやり過ごすことが出来たようで、たとえそこに世代をまたがった深層な低圧を今だ意識させられていたとしても、彼女は己の人生的背景として潔く受容している。
男の僕には無理だ。
いつも一人で、今までもずっと独りで、僕は省み続けてきた。
AV男優という自分を。何をしでかしてきたのか、そのゲスぶりを。
それで終わっていいはずだった。
絶対にそれだけで構わないつもりだった。
AV業界という魑魅魍魎の集団に入っても、当たり前に、懺悔という偽善に漂着する側で、とっくに終わらせられるはずだった。
所詮は無力で臆病でズルいだけの元いじめられっ子。
いじめ男優という虚名で、かろうじて生かされてきただけの、はぐれ者。
それが今になって、仕事もほとんど無くなって、もはや下流男優へジワジワと真っ逆さま、という段に成り下がって・・・突然、僕は終わりたくなくなった。
独り懺悔では、すまなくなった。
いや、逆だ。
省みるために、終わりから外れた。
懺悔に徹するにはまさにこれしかない、と身勝手にも決め込んでしまったから、僕は身内集団へのレジスタンスを開始した。
著者の祖母のような誇りも哲学もなく。
負け犬の遠吠え・・・。
が、たとえそれでも、終わりが来るまでは、適当に僕を記憶にとどめる人がいてくれるはずだ。
カスのような、取るに足らない裏切者、と呼ばれても・・・28年は短くない。
僕にはAVの血?が流れている・・・恐らく。

「何とも言いようのない吐き気に似た感じで、胸の内がムカムカと苦しくなる。ほかのことでは起きないので、この感じを表す言葉がない。生きる自由を侵害されているような、意のままに飼育されているような、止めようのない生理的な不快感だった。
私は何十年もこの感覚に名前をつけられないでいたが、これは"去勢されそう"な感じなんだ、とある時気がついた」

母にいじられることを拒む娘。
女同志だからこそ起こる濃霧の感覚。
これも僕には分からない。
だが僕が今、強要問題に関わる際、常に覚える違和感、それは規制派にも業界側にも等分に抱かずにいられない"何とも言いようのない吐き気に似た""胸の内でムカムカと苦しくなる"異物感。
それと同じなのだ。
"ほかのことでは起きない"。
"生きる自由を侵害されているような"
"意のままに飼育されているような"
"止めようのない生理的な不快感"
まさに
"去勢されそう感じ"!
規制にも、健全化にも、人権という響きにさえも、僕はこの"去勢"の匂いを嗅いでしまう。
いじめられっ子だったからだろう。
黙らされてきたからだろう。
「君が我慢すれば全て丸く収まる」と無言の圧力に屈従してきたからだろう。
それは人間でなくなること。
男でも女でもなくなるのを強いられること。
つまり被害者にさせられること。
僕は保身のために被害者に逃げ延び、AV男優という"加害者"を装うことで28年間、飼育されてきた。
しかし僕は、加害者の栄光とやらを所詮掴めなかったのだ。
どうしても、いや、どうしようもなく、被害者の弱さ、臆病さ、無力さ、けれどだからこその美しさ、静謐さ、ほのかな灯火に近い聖者の輝きの方を飢餓し続けていたのだ。
僕の拘り。
被害者への拘り。
そしてその偽善を自省しての自虐しての、贖罪ゆえの拘り。
僕は己を罰するために拘っている、己を何とか受け入れるために拘っている、それがそれだけが自分の全てだから、是非もないから、拘り続けている。
そこに理由はない。カネにもならない。本にもならない。
だから羨ましい。
卑しい限りだ。
妄執だ。

「男の人はどうして、自分たち男性のためだけに提供された性の商品を、私たち女が自然に抱いている、性愛を求める心といっしょくたにしてしまうのだろう」

男は女のことなど考えないから。
考えることが何より怖いから。
僕も女優が怖いから、尊敬するのかもしれない。
被害者がほとんど女性だから、恐れるあまり見棄てていられないのかもしれない。
女性の問題だから、男として自虐に浸っているのかもしれない。
彼女達の唯一の抵抗の術は、涙だ。
その弱さと無力さと孤立こそが、被害者の最後の盾だ。
そんなこと、そのような現実が、僕には恐ろしい。
ゾッとするほど、震えが止まらない。
いじめられて流した、自分の涙。
いじめて流させた、素性も知らない女優の涙。
こんな恐怖があるか。
こんな理不尽があるか。
こんな憤怒が、棄てられたままでいいのか!
性の商品は、全て被害者にとっては、女性にとっては恐怖だ。
男にこの考えを否定する資格があるか?
女の自然を理解しようとする男なんて、どこかにいるのか?
僕も理解出来ない。
ただ恐ろしい。
許してほしい。
それが僕の性愛だ。

「私が最初に読んだ手記は、西宮英子さんという人の"さびしい心が縄に結びつく"というタイトルだったと記憶している。
ーーああ、そうか。そうだったのか。私は淋しい子供だったから、縄で縛られたいと思ったのか・・・!
胸を衝かれる思いだった。気味の悪い子だったからじゃなかったかも知れない。私は淋しい女の子だったのだ!この一文だけで、すでに私は肯定されたと感じ、心を躍らせて頁をめくった」

被害者は、淋しい。
たったこれだけを想うだけで、人は被害者を肯定出来るはず。
デートDVで心を病んだ若い女性と付き合ったことがある。
実の両親からの虐待で体を壊し入院して死を宣告された21歳と交流したことがある。
彼女達は、淋しかったのだ。
本当に、死にたいほど淋しかったのだ。
でも生きたかったのだ。
淋しくならなくなってほしかったのだ。
僕はふたりを肯定してあげられなかった。
被害者として抱き締めてやれなかった。
そこから救い出すことが出来なかった。
僕が拘る訳。
結局自分のため?
己への慰謝のため?
そう罵られてもいい。
これまで散々AV女優を罵倒してきたんだ。
それを「素晴らしい!」と、現場でも、ユーザーからも、つまり男共からずっと、絶対肯定されてきたAVの現実。
女性にとって、こんな"淋しい"世界があるか?!あっていいのか?!

「姿の見えない不特定多数の読者に向っても、私は私を隠さずに対峙したい。標本になる蝶のように、私は捕まった自分を見られたいのだ。
しかし、文字で紡いだ欲望を発信するということも、つまるところ男性の欲望を引き受けることに繋がっていく。自分のために裸になった私は、今度は読者のために裸になることを求められた」

AV出演強要問題に対する不特定多数の読者に向って、けれど僕は僕を隠して対峙していると思う。
僕は何物にも捕まりたくないからだ。
被害者にはもう絶対なりたくないと思うからだ。
欲望でしかない。
発信したい、繋がりたい、そのために「被害者のために」などと虚言している?
人は裸になどなれない。
だからそう言い切る著者に対しても、僕は疑いを禁じえない。
女性にとっての裸とは?
男の場合と明らかに違うのではないか。
そして僕にとって、とも異なるのではないか。
被害者に、彼女達だけに裸になれ、なんて誰が言えるのか?
誰もなれないと思う。
それを認めてあげてほしいと願う。
僕も隠れたいから。
弱いから。
弱くて、いいのだから。

「しかし、本当に言いたいこと、相手に伝えるべき大切な気持ちを言わないということは、嘘を吐くのと同じなのだ。少なくとも自分自身の心に対して大きく嘘を吐いている。そのことで自分の心が傷つくし、真意を言わないことがクセになっていく」

嘘つきでもいいと思う。
自分自身の心に対してだって、大きく嘘をついても構わないと思う。
しかし加害者が嘘をついては駄目だ。
傍観者が嘘に加担してはいけないんだ。
無関係を決め込む無責任な連中が、嘘を嘘と思わずヌケヌケと吐いては、許されないんだ。
だから僕はAV業界を叩く。
内部から、身内だろうと、誰が傷つこうと僕は叩き続ける。
でなければ僕は嘘つきになる。
世間も業界も嘘つきは、いけないらしい。
それで僕が「強要はある!」と叫ぶ。
すると「絶対、嘘吐き!」と寄ってたかって言われてしまう。
それが業界の真意。
それがAV村のクセ。
みんな、ゲスだ。
いや、ゲスにも値しない・・・ただのカサブタだ・・・。

「その時、私は心から安心するのだったーーほらね、やっぱり私は愛されないでしょう?いつこうなるかと思って、不安でドキドキしていたけれど、もう安心していいんだ。だって、予想通り、やっぱり嫌われたんだものーー。
誰と付き合っても最後は必ず自分を卑下して終わるのだった。そんな考え方はおかしい、と理性ではわかっているのに、誰にも相談できないでいた」

ほらね、やっぱりこんなことしか出来ないでしょう?
それが僕のAVだ。
僕の出演した人権侵害AVだ。
予想通り、やっぱり嫌われたんだもの。
どんな女優と共演しても最後は必ず自分を卑下して終わるんだもの。
それが僕の28年。
そんな考え方はおかしい、と僕は分かっていない。
誰にも相談する気もない。
それは加害者のための論理、だと思うから。
おかしいのは被害者だと、加害者側つまりAV側が心から安心したがっているのだから。
僕は卑下したい。
だからAV業界側も卑下させたい。
まずそこから全ては始めさせたい。
理性がそれを許さないと言うのなら、そんな勝者の理性なんかいらない。
やっぱり愛されない、という自覚と覚悟からやり直さなければ、そして被害者から嫌われて当然という悟りから目を逸らし続けていたら、何も変わらない、誰も救われない、そしていつか・・どうなる?

「言葉遊びばかりで、お互いの快楽の壺に手を突っこんでこない男性とは、何も共有できない。一緒に舞えない」

僕だってAVと舞いたい。
AV業界と共有したい。
快楽でも、幸福でも。
けれど僕も業界も言葉遊びばかり。
被害者は言葉なんか無い、肉体と心しかない。
傷つけられたこのふたつだけしか残っていない。
いじめられっ子時代、僕はそうだった。
現場で女優が目の前で号泣するたび、僕はそう感じた。
もはやAVには心も肉体も無くなったのかもしれない。
AV業界の男性には、遊びとしての空疎な言葉が残されてるだけかもしれない。
どうしようもなく、そう痛感して仕方ないから、僕は内部から批判する。
被害者と一緒に舞う資格がないから、僕は加害者の地獄の壺に手を突っ込もうとしている。
出来っこないだろうが・・・せめて。

「生きているうちしか、命は削れないのだ。命を削ることこそが、生きているということだ」

生きているのは被害者だけだ。
業界内では、AV女優だけだ。
命を削ったのは、女性ばかり。
それを認めない業界なんて、もう死んでるんだ。

「私は結局誰からも、愛の御名において(最後まで)ザクザクされる、ということはなかった。それでも私が得たことが一つあった。それは、性を貪ることにおいて、自分が客体であり続けてはならない、ということだった」

客体でもいいと思いたい。
主体たれ、という励まし?啓発?それもまた"強要"の始まりだと思うから。
男はその場その場の都合で、客体のふりをする。
醜い主体を誤魔化そうとする。
でも人間なら、女はもちろん、男であっても、主体客体、好きに選んでいいのではないか。
性を貪る必要もない。
あらゆる強要から、遠ざかってもいい。
弱者こそ、こうでなくてはならない、と言われるべきではないと思う。
愛、という言葉だって決して御名でなくていいと思う。
まず、あなたがそこにいてくれることだけだ。
言葉も結論も、全ては後でも、いいのだ。

「女性はとかくエロスの被写体であり、客体であることを運命づけられる。女性は男性のように、自身の肉体を操作して快楽を得る方法を最初からすべて知っているわけではないのだ。かなりの過程を男性に預けないと、女性の性感は完成できない」

その通りだろう。
でもそれが悲しい。
強要とは究極にして最悪の被写体であり、最も非道な客体の状態だからだ。
被害者は逃げる方法を知らない。
それを運命づけられる。
何という理不尽か!
僕は女性の性感が未だに全然分からない。
快楽を与える方法なんて、カケラも完成させていない。
そんな奴がAV男優。
28年も。ひょっとしてこれからも。

「女性は自分の肉体の持ち主は自分であることを、強く自覚すべきなのだ」

男はすぐにこれを忘れてしまう。
忘れよう忘れようと己の男村に固執する。
まるで「見たことも聞いたこともない」が合言葉のAV村みたいに。
この意識が、男社会の体質が変わらない限り、被害者は無くならない。

「明けて2011年、東日本大震災の後ぐらいから私は急速にSMに対して気が臆してしまった。別に何があったわけでもないのに、それまでは妄想を掻き立てられていた(監禁)や(凌辱)という言葉を聞くと、性的な興奮が冷めるようになってしまった(中略)まったく同じことを言っている男性のAV監督や緊縛師さんもいるので、それが時代の潮目ということだったのかも知れない」

僕にはまったく当てはまらない。
阪神大震災の際、僕は撮影現場のラブホテルにいてテレビの被災中継を一人で眺めていた。
そして直後、二十歳くらいの女優を縛って叩いて蝋燭垂らして、もちろん泣かせて本番までしていた。
僕にはテレビの向こうの無数の被害者の姿が、まったく見えていなかった。
僕の鬼畜男優人生に時代の潮目なんてまるで関係ない。
事実、今だって、強要問題を大量にリツィートした数時間後には、カメラの前で女優に罵詈雑言を浴びせている。
だから僕は拘るんだ。
何度でも書く。
今だに醒めるということも知らないヒトデナシだから、僕は拘り続けたいんだ。

「一人を愛することがすべての男を受け容れることになり、一人を拒絶することが全男性を否定し殺精することになる」

僕はここまで言い切れるほどのことを何もしてこなかった。
一人の女性も、全ての女性も、僕は愛し方が分からないかもしれない。
AV強要問題だって分からない。
何をどう考えても、納得出来ない。
僕は所詮何も受け容れようとしない偏屈者。
全男性、全AV、いや全・・・まったくの全を否定することしか知らない、そんな殺精鬼・・・。
これもまた僕の人生に課された強要?
今現在に出演させられている、非情の現場?
実はそこから救われたくて僕は強要問題に逃げ込んでいるのかもしれない。
いじめられっ子という烙印から、言葉責めという宿業から、イジメ男優という自分の全てから。
生きるために拘る。
拘っているから、まだ死なないでいられる。
誰のために?
何のために?
僕が僕だから、としか言いようがない。
著者はそれを"ゲスママ"という言葉で象徴し、一冊の本にまとめ上げた。
その渾身の力作に対して、およそ書評の片鱗さえ無くなってしまったこんな駄文を送る非礼を僕は改めて謝罪したい。
やはりなぜこんな文章を書きあげてしまったのか、僕には分からないのだ。
僕が僕であるから。
しかし強要被害者は、その自分を奪われた人達。
そんなゲスなる業界で、ひょっとしてこれからも、たとえ全体から見てほんの少数であろうとも、「絶対ない」と言われ続けようとも、僕はこの問題に拘る。
自分が自分であり続けるために、己の罪なる矛盾のために、その贖罪のために、欺瞞のために、全てのために、僕は
「AVよりも被害者!」
と叫び続ける。
AV男優なのに、自分を喪いたくないために、「まだ男なのか」。
僕は自分の全てで確かめたい。
父にも男にもなれなかったこの自分に・・・・。

「私は少しだけ過剰に性に期待し、性を求めすぎた。
私は少しだけ過剰に母に憧れ、母を好きでありすぎた」

全ての被害者が自分の"本"を書けますように。
あらゆる被害者が誰かを、いやそれよりも何よりも前に、自分の全てを好きになれますように・・・でも、嫌いにもなれますように・・・。





ゲスママ
コアマガジン
神田 つばき
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ゲスママ の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
辻丸さんのツイートを拝見しましたので、こちらにコメントしますね。
AV業界人の一部が一般女性に被害をもたらしたと業界人は認めるべきに共感いたします。
AV出演強要について、海外ではレイプ、強姦と報道されています。
強姦とは、相手の意志に反し暴力や脅迫、相手の心神喪失に乗じ強要して婦女に対し性行為を行うことである。

強姦行為をビデオに撮り それを販売して利益をえるのは本当に卑劣と思います。
NIKE
2016/10/28 10:54
続けてコメントさせていただきますね。
数ヶ月前にHRNからIPPAに要請書を送ってましたよね?
要請書について、IPPAは回答していないようですが
不誠実に思います。
このような対応ではAV業界は信用されません。
AV業界の健全化、自浄は口先だけに見えます。
IPPAに回答するよう辻丸さんより提案されたらどうでしょう?



NIKE
2016/10/28 11:59
コメントありがとうございます。
僕より遥かに発信力のある方々が働きかけているようですが、なかなか・・のようです。と言う以前に僕ら男優、そして一番の当事者たるAV女優さんにほとんど何ら業界上層部?の情報は届いていないみたいです。残念ですが、みんな無力です。
AV落人
2016/10/28 12:33
辻丸さんのツイートでAV規制反対と発言されていましたが、今の状況で規制反対しても不利になると思います。
理由は出演強要(強姦)についてAV業界は何もしていないからです。
調査していない。世間に説明していない。
強要した人を追放していない。
HRNの要請書に返事もしないで無視している。
出演強要をさせない為の対策もしていない。
世間も警視庁も見ているのに何も説明していないわけですよ。
この状況で規制反対すると、反省もしないで また強要などで悪いことを企んでいると思います。
規制反対等と主張する前に信用を得ることが重要です。
要請書に回答する。強要した人を業界から追放する。強要させない仕組みを作る。
世間が納得する説明をする。
これらを行ってから、規制反対などの主張をしたほうが宜しいかと思います。
NIKE
2016/10/29 07:15
続けてコメントさせていただきますね。
AV業界は説明もしない、釈明もしない、
調査もしないので、出演強要をする悪い人を かくまっているように見えます。
悪い人は法律の抜け穴を見つけて、また悪さをするんですよね。
悪いことをしている気持ちがないので、
どんどん悪質な手段で法律の抜け道をみつけて悪さをします。
強要などの悪さをしても追放もされず、業界内で かくまって貰えるんですから
また被害にあう女性が出ると思います。
二度と被害者をださない為の対策を業界内で考えて貰えればと思います。
辻丸さんは弱者の味方で善悪を判断して行動する人と思っておりますので、
頑張ってください。
NIKE
2016/10/29 08:38
辻丸さんのツイートで規制派は自発的AV女優に向き合わず、と発言されていましたが違和感がありました。具体的ではないので何を言いたいのか?がわからないです。
前にもコメントしましたが、AV業界は何もしていないから規制するしかないと思うのです。悪い人を追放しないで、被害者がいても誰も助けない。見ても知らないふりをしてると思うので。
規制に反対でしたら、被害者をださない為の代替案を提出するのが宜しいと思います。
NIKE
2016/11/02 06:09
続けてコメントさせていただきますね。
辻丸さんはHRNの要請書を読みましたか?
◎適正な報酬を支払う。利益50%以下となる不当な搾取、不払いの禁止
◎女優の人格権保護のため……二次使用、三次使用が出来ない体制をつくる
◎撮影に対しメーカーの負担により演技者に対する保険をかけ負傷に対し補償する
◎女優が出演拒絶した場合、違約金を請求せずメーカーが損失を負担する。保険制度等を活用する

この内容から自発的AV女優に向き合っていると思いませんか?
IPPAは要請書に回答をしていないわけですよ。AV業界のほうが自発的AV女優に向き合っていないと僕は思います。

だいわりゅうさんは次のツイートをしていました。
「10/10 セックスワークサミットで川奈さんに強要をなくす為に女優の為を思うならプロダクションに請求する違約金をやめたらどうですか?と聞いたら それはありえない!安易に契約する女優が悪い。という返答だった。やっぱりAVANは見せかけの団体と思いました」

優先してするべきことは、要請書に返事をすることです。
警視庁も世論も回答を待っているんですから、返事をするべきです。
AV問題は国の政策で、警察も介入してるんですから、誠実な対応するべきと思います。
NIKE
2016/11/02 06:42
AV出演強要は社会問題になり、業界の危機的状況と思います。
AVを存続させるには、業界人が業界内から改革するべきです。

AVANは仮登録で70人しか集まっていないようですね。
AV女優は5000人(井川氏著書)、男優は何人いるか分かりませんが、男優を含めないとしても、たったの1.4%です。
集まらない原因はなんでしょう?
僕は、信頼されていないからだと思います。
川奈さんの旦那はSOD役員の溜池監督ですよね。部外者の僕から見ても、AVANはメーカー側と思うし、信用できませんね。
メーカーもプロダクションも より多く利益が欲しいと考えたらAV女優に負担……
想像できます。
業界の中から改革しないと状況は悪化しますから、辻丸さん頑張って下さい!
NIKE
2016/11/02 07:22
対応が悪いと作品も売れなくなりますよ。
資金力のないメーカーから順に倒産していきます。
AV女優、男優も仕事が減っているとツイートしていますね。
今までの全ての対応が悪いから、このような状況になったわけです。
AV女優、男優に向き合っていないのは、
AV業界側と気付いて貰いたいです。
NIKE
2016/11/02 10:08
おはようございます。
辻丸さんのインタビュー記事(次に検挙されるのは僕かも)を再度読みました。
記事の中で、AVにどれだけ偏見があるのか、を社会が認識しないと問題をなくすのは難しい。
と書かれていましたね。

偏見をなくす為には 誠実な対応をすることだと思います。
第一に、HRNの要請書に回答するように
辻丸さんから呼び掛けてください。

来週にはIPPA主催のジャパン アダルト エキスポが開催されますよね。
JAEはAV業界のお祭りと思いますし、開催されるのは自由ですが、
せめて要請書に回答されてから、開催して貰いたかったです。
要請書から3カ月も無視しているんですよ。
失礼な対応と思います。
こういった対応、行動が偏見を持たれると思います。
業界人が偏見をつくっているのでは ないでしょうか?
辻丸さんにお願いしたいのは、被害者の気持ちを考えてもらいたいです。
業界内ではAV問題について何もしないで
お祭りを開催する。
被害者の方は失望すると思います。
NIKE
2016/11/04 06:58
偏見については、高橋がなり氏の著書
(がなり説法 37P)に書いていますね。

『偏見を持たないでくれ!』なんて青二才が言うようなことは言いません。
そこで僕が考えたのは、まず自分から変わろう。
そして、社員たちを変えよう。そして最終的にAV業界を変えよう。
そうすればいつかAV業界に対する世間の目も変わるだろう。今の自分は精一杯努力しなければ世間様から好かれることは出来ないんだ!と思ったんだよね。

がなり氏の著書からも
AV業界の中から改善、改革するしか方法はないと思います。
頑張って下さい!

NIKE
2016/11/04 07:48

コメントする help

ニックネーム
本 文
なぜ、僕がAV強要問題に拘るのか?・・・ゲスなる業界、性と生の強要 AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる