AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 「KGF JAPAN」11.29新木場大会私録

<<   作成日時 : 2014/12/07 12:27   >>

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「客は笑ってたわ(泣)」「笑わられたんじゃない。楽しんでたんだ」リング女子映画「カリフォルニア・ドールズ」より





本稿は、「KGF JAPAN ガールズリングフェスティバル vol,2 セカンド・バージン」11.29新木場大会にリングアナとして参加した僕の、極私的観戦体験記です。


生まれて初めてリング女子なるものを知ったのは、七つくらいの時。
銭湯の脱衣室に貼られていた、その異様?な大会ポスターを見上げて、今だアソコの毛も生え出していなかった小学二年生は、裸ん坊のまま一人で固まっていた。太いロープを背に、力いっぱい叩き合ってるらしい水着姿の二人の女性。いや、一人はガイジン、一人は日本人らしい、共に逞しきお姉さん達。
一体これは何?
このお姉ちゃん達は何でこんなことしてる?
見てはいけないものを見たような、それでも、彼女達の汗や悲鳴が弾け、写真の向こうからこちらまで飛び込んで来そうな生々しい迫力!
滑稽さもイヤらしさも微塵もなかった。
怪獣とマンガくらいにしか関心のない幼なかった僕にとって、それはほとんど初めて体感した、大人の、そして異性への憧憬と畏怖だった。

あれから46年・・・。
2014年11月29日。
僕は東京は新木場のリングに立っていた。
あの時見た太いロープに囲まれ、そしてあの時のお姉さん達と変わらない年齢の、けれど今の僕には娘や姪と見られてもおかしくない、一回りも二回りも三回りも年若い女子達と共に。
人生は分からない。
どこにどこで、まさかのリングが待っているか予想もつかない。
あの日集まったリング女子全員が似たような気持ちではなかったろうか。
なぜなら彼女達は、リングを目指して生きてきたわけではないから。
ただ、見られることで見せることで、誰かを楽しませ誰かを喜ばせ、そして共に幸せを感じ合いたい、そのために日々の日常を戦ってきたのだから。
その先にリングがあった。
だから彼女達もリング女子。ひとりひとりが、それぞれにリング女子。
誰にも笑えない、笑わせない。
あの時の僕のように・・・見入るんだ、魅せられるんだ、そして見上げるんだ!

初めて触ったロープの固さ太さにまず驚かされた。
彼女達の多くは今日初めてリングなるものに立つ。
大丈夫か?薄い、ほとんど素肌丸出しのコスチュームでこのゴツ過ぎるロープに当たり、くぐり、超えて、抜けて、立ち続けることが出来るのか・・・。
そしてリングの高さ。
見上げられる恐怖、威圧感。
さらには意外と狭い。いやそう感じてしまう圧迫感。その一方ではロープのみで全面解放され過ぎているような露出過剰の不安定感・・・。
僕はひたすらリングインの練習を繰り返していた。
男の僕でさえリングは高い。
簡単には這い上がれない。
だがリングではいつ何が起こるか分からない。
過去、様々に伝え聞いたアクシデント。
世界最大の団体オーナーがリングインに失敗し骨折した話。
バリバリの現役がリングを降りる時、膝を破壊し引退してしまった話。
ダウンの際、サードロープに後頭部を強打し、即死してしまった話・・・。
僕はリングが怖かった。
彼女達を上げるのが恐ろしかった。
しかし彼女達は間違いなくこれから全員がリングに上がる。
誰かが見に来てくれるから。
様々な誰彼がわざわざ集まってくれるのだから。
「客の前に出たらスピリッツを見せろ!」
米インディー団体の新人がプロモーターから言われた言葉。
彼女達にそんな言葉はすでにいらない。
彼女達の毎日を支えているのは、あらゆる困難に立ち向かわせているのは、そのスピリッツ、彼女達自身がそれぞれに選んだガールズスピリッツなのだから。

本大会はツィキャスで同時配信されていた。
後日その全てを見直して僕は愕然とした。
開演前の注意事項説明。
僕のMCは「えー」「えー」のオンパレード。
ほとんど一行ごとに「えー」「えー」の乱れ打ちである。
情けない。
まったくどうしようもない。
大体僕はしょせんAV男優であって・・・それも不能の、売れない、しゃべくりだけの・・・それがこのザマ!
緊張?不安?焦り?
僕が開演してからほとんど一回くらいしか控え室に戻らなかったのは、ただ怖かったからだ。
リングから離れることが。
リングを忘れることが。
彼女達のようにカラダひとつであらゆる舞台、現場、リングに日々挑んでいるのとはわけが違う。
肉体がなくては、まともに喋ることさえ叶わないのだ。
そんな当たり前のことをあの日、リング女子から教えられた。

だが、僕のことなどどうでもいい。
とにかく幕は開いた。ほとんど全てがぶっつけ本番に近い形で
「KGF JAPANガールズリングフェスティバルvol,2セカンド・バージン」
が、予想通り?予定時間を押して、スタートしてしまった。
大丈夫か?
の想いを遮っての第一試合ポージングマッチ。
ここで会場に最初の火をつけてくれたのが、荒木まいチャンである。
正直のところ、リング上でのセクシーポーズといっても大したことは・・・時間が余るくらいでは・・・の予想を裏切り、傘でも椅子でも何でもござれの連続大胆ポージングには、多くの観客が驚嘆したのではないか。
あのどう見ても清純アイドルフェイスの可愛すぎる女の子が、脱ぐわ開くわ見せつけるわ・・・。
そしてラストラウンドでの対人ポーズに至っては、そのあまりの過激さ、その信じがたい度胸とプロ根性に、ほとんどの観衆は呆気にとられ、言葉も失っていたのではないか。
まさかあそこまでやっちゃってくれるとは!
リングは高い。
リングは明るい。
そしてリングは逃げも隠れも出来ない、無限のさらし場・・・。
そんな非情の舞台で彼女は勝った。
自分に、観客に、そしてリングそのものに。
この団体は違う。
彼女達は違う。
ここではとんでもない何かが起こる!
見る者の興奮と期待を見事にオープニングで煽りまくってくれたファーストMVP。
それがV二周年を迎えた根性のベビーフェイスアイドル荒木まいチャンであった。

けれど忘れてはならない。
対戦相手のフューチャー伊藤チャン。
彼女の迷い、彼女の困惑、されど彼女のいじらしさは立派に相手とも観客とも最後まで戦っていた。
場馴れという点でのハンデが彼女には痛かっただろう。
しかしそれでも諦めることなく、グラドル魂をのぞかせてくれた彼女。
思えば今大会に向けての三回のニコ生放送で実質の皆勤はリーダーの二人以外では彼女だけだ。もし第一回の放送に風邪をおして彼女が参加してくれなかったら、たった二人でどうなっていたか。
彼女のお姫様風の美形フェイスがどれだけKGFのスティタスを上げていてくれたことか。
彼女は影の功労者である。
試合後もずっと露出度満点のビキニ姿でセコンドについていてくれた健気な様子は今でも忘れることが出来ない。
彼女は負けたのではない。
支えたのだ。
そして精一杯尽くしてくれたのだ(リング用語で言う、セール)。
ファンのために。
リングのために。
僕にとってオープニングマッチに勝敗はなかった。
KGF興行に最初の火がついた。
ふたりのリング女子の頑張りのお蔭で。
そして暖かく迎えてくれた会場全てに。

さて第二試合、バルーンマッチ。
来場して下さった方々には今さら説明不要だろう。
第一試合で点火されたエナジーが、ここで一気に加速した。
誰もが風船なんてどう割るのか、いやただ割ってみせるだけで何が面白いのか・・けれど彼女達は違った。
割れない!予想以上になかなか割れない。
それは対戦相手のふたりが見る者の想像を超える方法で割ってみせようと悪戦苦闘してくれたからだ。
ロープを使い、コーナーを使い、相手を使い、そして遂にはポストに上がってのフライングプレス。
いきなり練習なしでチャレンジしてくれたブレストりおチャンのグラドル根性には敬服した。
「リングには色んなものがあるだろう?なぜそれを使わない?」
オーナー兼トップスターであったそのレジェンドは常々弟子にこう教えたそうである。
それをまだ二度目のリングでしかないグラドルがキメてくれた。
大会前は今ひとつ目立っていなかった癒し系の彼女がここで見事に存在感をアピールしてみせた。
それに対抗したのが、ヒール参戦してくれた川越ゆいチャン。
憎まれ役というある種の貧乏くじを逆手にとって、セコンドの協力の元、いきなり想定外の場外乱闘にひきずりこんで一気に会場を盛り上げてくれた彼女。
そして結果を超えて締めてくれたのが、試合後のマイク合戦。
二人とも、その堂々たる語りと、風格さえ漂う立ち姿は、向こう正面から見ていた僕にも眩しいほどの輝きが感じられた。
場外もマイクも、第二試合で出してくるのは、ひょっとしたら反則かもしれない。
だが、リングは動いた。
考えるよりも先に、彼女達は動き、戦い、そしてアピールした。
結果、見る側に、彼女達の本気度、それもなりふり構わぬ、剥き出しの本気印が予想無視で炸裂した。
第一試合でリング上に沸騰したエナジーを、ここでいきなり場外へと放出してくれたリング脳と心意気の第二試合。
再戦が見たい!
そう願わせる珠玉の"グッドジョブ"だった。

相手と競い合うだけがリング女子ではない。
そう印象付けてくれたのが栗林里莉チャンによるライブだった。
血と汗と絶叫に彩られた?と思われがちなリングなる舞台で歌を唄うこと。
しかも終始まったくの独り舞台。
往年の人気女子タッグチームも、創世記には「歌なんかやってんじゃねーよ!」と酔客から罵声を浴びせられ、「もう唄いたくない!!」と、泣いてフロントに訴えたそうな。
あれから幾星霜。
四角いリングは女子達の輝けるステージになった。
そして無論、輝かせているのは女子ひとりひとりの歌姫soul。
常に万遍なくお客様へ語り掛けるような里莉チャンのサービス精神と、ライブテクには感心した。
間奏で叫んでくれた「KGF!KGF!」。
今大会で唯一起こったKGFコールではなかったろうか。
まだまだ戸惑いと、どこか照れ臭さのある大切な観衆のひとりひとりをストレートに鼓舞してくれた彼女の熱いハート&エンターティナーぶり。
最後のハイテンションの盛り上がりには、リングというある意味殺風景な、殺伐とさえ見える空間が、ここまでヒート出来るものかと、初めてリング上でのライブに接した人々にも不思議な感動を与えてくれたのではないだろうか。
さらにはそのステージに至るまでの間、わざわざラウンドガールとして華を添えてくれたことへの感謝の印?としての全身ヲタ芸は、ラブ♡ドリームさら嬢。
開演からほぼ出ずっぱりの総合プロデューサーによる狂喜乱舞を誰が呆れたろうか、誰が失笑しただろうか。
一緒に踊ってくれたノリノリのファンの皆様、あなた方も紛れもないリング女子です。
ここは"ガールズリングフェスティバル"なのです。

続いてはリング女子ならではのファッションショー。
今回、寄せられた声で多かったのは、とにかくカワイイ&綺麗のメンバーが揃ったということだろう。
年齢もキャリアも異なる女性達が、最大限の華美をアピールしたリングの花園。
意外だったのは、その一体感である。
とかく自己主張のみで終わりがちなこの手のショーにあっても、チームごとの結束感、さらには全体の団結力が感じられたのも、このイベントならでは、かもしれない。
各チームのイメージカラーに則り、ベビーとしてヒールとしての味付けや雰囲気を終始忘れていなかった、実に家族的温もりにも満ちていた魅惑のリング舞踏会。
そのムーディーな雰囲気に全くそぐわない語りしか出来なかった自分を僕はひたすら恥じ入るばかりだった。
それ以上に、リング女子達の美温度が、ただの男でしかない僕から卑俗な声を奪っていったのだった。

休憩中、僕は控室には戻らなかった。
一体どんな人達が見に来てくれたのか。
正直、僕には掴みどころがなかった。
グループが少なくなかったが、彼らとてやはり限られた人数の中でハジケ切るには逡巡と照れが多分にあったことだろう。
申し訳ありませんでした、としか言いようがない。
ギッシリ超満員だったらと、誰もが、皆が、来てくれた貴方が・・・。
けれど僕らは忘れない。
入場料を払って、恥ずかしさを捨てて、まだまだ未熟のリング女子達を精一杯応援して下さったあなた方を。
その勇気と暖かさに満ちた歓声とフィーバーぶりが、あなた方お一人お一人の心ある激励と遠くからのメッセージが、やがては必ずリング女子をブレイクさせる礎になっていくであろうことを。
かつて歴史を変えた伝説のトップスター達を世に送り出してくれたのは、常に局地的な人気を先導してくれた少数派のファンの人達だった。
彼ら彼女らは、ただただ純粋に、ひたむきに、応援してあげたいと決意した女子に惜しみない拍手と熱狂を送ってくれた。
休憩時間で垣間見せて下さった、あの日あの時あの瞬間を目撃して下さった貴重な証人の皆様。
もっともっとマイクを向けさせていただくべきでした。
笑顔を引き出して差し上げるべきでした。
ナマのお声を頂戴すべきでした。
無能MCからのお詫びでございます。

ちなみにベビー軍のリングアナ早瀬弥生嬢とは初仕事。
そもそも本物の声優さんと会うことすら生まれて初めてのことであった。
当たり前ながら彼女の声の、その吹き込まれた生命力には驚嘆させられた。
まさに一瞬で個別のキャラを地上に降臨させてしまう魔法のキューティーボイス。
個人的には、リングの中でコールしてほしかった。
エンディングの記念撮影にもリング上にいてほしかった。
彼女とて、皆と一緒になって戦ってくれた立派なリング女子の一員なのだから。

さて後半戦。
まずはハンティングマッチである。
その前のヒール側小悪マミちゃんのリングインパフォーマンス。
これはまったくの偶然から生まれたものだ。
木刀を持つことも、だから身長2メートルになることも、だからトップロープを一跨ぎしてリングインすることも。
全てが何気ない一言やアイディアから生まれ、繋がっていったもの。
故に、そこには絶えず意味を求めたからそうなった必然がある。
「意味のあることをしろ!」
米メジャー団体の若手はこう言って鍛えられるそうだ。
何をやるにせよ、意味を考えろ。
なぜその凶器を持っているのか。
なぜそのコスチュームなのか。
なぜお前はそのキャラなのか。
なぜ、お前はそこにいるのか。
海の向こうでは登場して、ただリング下にいるだけのマネージャー役には客が怒り出すらしい。
何のために出てきたんだ?!と。
逆に、トップロープを飛び越してリングインしたレフェリーはプロモーターから怒鳴られたそうな。
レフェリーは、レフェリーの仕事だけしろ!と。
そしてメジャー団体の入場テーマをほとんど一人で手掛けている音楽家が、その作曲の発想法を問われてこう答えたそうな。
各選手が入場してくる際の、歩くリズム、歩数、テンポ、スピードに合わせて、まず作り始める、と。
ただのノリではない。
気分でもシャレでも、無論自己満足でもいけない。
そこに意味を見出すこと。
その意味こそが、観客を喜ばせ、興奮させ、リング上の世界に、豊穣なるドラマに引き込ませる。
小悪マミちゃんのリングインの点数はいかばかりであったろうか。
それを決めてくれるのは、もちろん暖かくも厳しくもあってほしい、あなた方観客のお一人お一人である。

そして始まった第三試合。
のっけから爆発した。
考えてみれば観客から何かを借りるということは、リング女子は当然リング下に飛び降り、必然的に場外の追っ駆けっこになってしまう。これがテンヤワンヤの騒動にならないはずがない。
しかも掟破りのヒール軍介入!
まさか戦いと言っても多分にゲーム感覚しか持てない試合において、よもやあそこまでの激しい場外バトルが展開するとは、会場の誰も予想だにしていなかったのではないか。
僕も思わずセコンド業務。
そこで感心させられたのは、とにかく恐れを知らずに突進を繰り返すリング女子の精鋭ぶりである。
まったく誰もひるまない。
全員揃って何の躊躇もない。
あのまま椅子や机が使用されたとしても誰も不思議に思わなかったのではないか、そこまで派手に、パワフルに、ほとんど誰もが未体験の場外乱闘に邁進したリング女子達には脱帽する。
その喧騒の中にあって、あたかもドタバタムードを一掃せんばかりの光り技で見事キメてくれたのが、ベビー側のミルキーももチャン。
メンバー随一のリング経験を誇る彼女が、まさに格の違いを見せつけんばかりにリングの中央でガッチリ決めた古典的必殺技ボストンクラブ(逆エビ固め)!
あの瞬間の会場のどよめきは忘れない。
リングに神々しさが炸裂した、あの極限の興奮は筆致に尽くしがたい。
そのリングキャリアと人気度に対して、いささか地味な扱いになりかかっていたミルキーももチャンが、まさに会心の一撃で、リング女子としての意地を満天下にアピールした感動ショット。
それも小悪マミちゃんの小憎らしくもしたたかなヒール味があったればこその痛快なる名場面。
それでも最後には勝利をかすめ盗ってしまった、ミニサイズを超えた彼女の全身でのインパクト指数。
されどされど、真のとどめは、まさかのミルキーももチャン、本気の悔し涙だろう。
借り物競争で泣ける野郎がいるか?
そんな情熱の男子がどこかにいるか?
関係者の誰かが昔、言った。
「女子は手を抜きませんから」
ミルキーももチャンというリング女子だけに出来た、そしてこれからは幾人もの女子が続いてくれるであろう、どんなことにでも、やると決めたら全身全霊の必死さで挑む、崇高なる女子力!
セミファイナルの限界を超えた熱闘ぶりに、会場の空気はまさに出来上がった。沸点に達した。
勝者はふたりである。
そしてまさしくリング女子全員のパッションが、リングに集結、あとはメインでの絶頂クライマックスを待つばかりの臨戦モードが、その時新木場を支配していた。

ところでほとんど全ての展開を反対正面から観戦していた僕の総体的な印象はというと・・・。
やはり正面、及びそのリング下での局地戦、という想いは拭えなかった。
会場はまだまだ広い。
左右の隅の席からは見えずらさがあったろうし、花道や放送席、そしてヒナ段最上階といった隙間舞台?等も臨機応変に活用してほしかった、といっては欲張りだろうか。
されど彼女達はほとんどがリングに対して、ファーストあるいはセカンド・バージンだったのだ。
そんな"素人娘"達が、あそこまで会場を盛り上げ、あれだけの熱狂をリングという大舞台で起こしてくれた。
反対正面という持ち場?を思わず忘れて、正面最前線に僕を向かわせてみせた彼女達の底知れない吸引力。
それは次回への更なる期待を煽る、リング女子無限の可能性とロマンであった。

そして遂に迎えた第四試合エニウェアフォールマッチ。
もう入場の時から出来上がっていた。リング女子も観客席も。
僕は昭和の異種格闘技戦を思い出していた。
あの頃の格闘技戦は選手よりもセコンドの方が遥かにガチ!
両軍、威信を賭けての決闘は文字通り総力戦の様相を呈し、いつ大乱闘に発展してもおかしくない、危険と怪しさとギリギリの緊迫に満ち満ちたアルティメットゾーンだった。
その懐かしくもトラウマを呼びそうなド迫力が開始前から充満し過ぎていたメインイベント。
ふたりの顔つきが違う。
セコンドの眼も違う。
そんな空気を切り裂いたのが、トップヒール伊達銀子嬢のビンタ一閃。
いきり立ってみせていても、まさか女の命たる顔面を張ったりはしないだろうという会場ムードを蹴散らさんばかりの痛烈なる先制攻撃。
されど余裕の無さを感じ取ったのは僕だけだったろうか。
初めてのリング。
初めてのバトル。
そして初めてのメインにして、牽引役とも言うべきヒール女子。
彼女に課せられたプレッシャーは半端ないものであったろう。
正直、小悪マミちゃんの木刀や真希Emergency嬢の鞭に比べて、彼女のヌンチャクの印象は弱かったかもしれない。
ロープへの恐怖、技への焦り、そして思わぬアクシデントの連続・・・。
そんな彼女を支えたのは、何が何でもやり遂げんとする不屈の意志であり、自分と相手と観客への飽くなき闘争心であったろう。
同じことは総合プロデューサー、ラブ♡ドリームさら嬢にも言える。
多忙の極みの果てのメインイベンター。ここでコケたら誰にも顔向け出来ない極限の重圧感。
決して噛み合った試合ではなかったろう。
綺麗にハマった技なんて、ほとんど出なかったかもしれない。
それでも下がることのなかった、満員には程遠い会場を忘れさせるハイテンション。
まるで様々な不測の事態によって困惑しているふたりを励ますように、叱咤するように、熱烈にバックアップしてくれてのは、文字通りKGFリング女子ファンのピープス。
観客が闘ってくれた。
最後まで一瞬もリングを見離したりしてくれなかった。
何度つまづこうと、リング女子と一体になって、全力バトルを後押しし続けてくれた。
まさに、ふたりと一体になって闘い続けて下さったのは、あなた方。
こんな試合があったろうか。
技の攻防だけではなく、むしろ二人がリングに立ち続けられる状況を何とか熱望し構築せんとして下さっていた、必死の優しさ。
揶揄されても仕方ないか?
たかが、どうせ、と一笑に付されてもやむを得ないか?
だが、ファンは知っている。
集まってくれた一人一人が分かっている。
それぞれの女子があの日あの時、どんな軌跡を背負い、どんな想いでもってリングに迎えられて行ったのか。
リングに立つ彼女達が何を訴え、何を伝えたくてあの瞬間を生きて魅せてくれていたのか。
だから、ひとつになれた。
だから、みんなが燃えた。
結果はダーティーな勝利?
確かに必殺技「土竜雷拳」もファンに今ひとつ刻印出来なかった。
二人揃って、美しさや可愛さ綺麗とは程遠いボロボロぶりだった。
技術不足、経験不足、いやそれ以前の無謀な挑戦?
だがそんなことは最初から分かっている。
無理を承知で、あえてギリギリの限界まで挑んだ捨て身女のチャレンジ。
なぜ彼女達はそこまでする?
女だから。
そう、本当にオンナに生まれてきたから。
身勝手な男目線かもしれない。
しかしあの日のような戦いが男に出来るか?
男がやるか?
おフザケと、からかいと、カッコつけに走るだけの、そんなところがオチではないのか?
「バカバカしいことを真剣にやる男の人って羨ましい」
最近そんな女性の声をよく聞く。
僕にはまったく逆にしか思えない。
オンナだから出来た大会。
女性だから成しえた感動。
女子だから届けられた、丸裸の生き様、のたうちザマ・・・。
だからプロデュース権を譲渡する、とラブ♡ドリームさら嬢が言った時、「えぇー!」のどよめきが起こった。
あの日唯一の、煽りなしの、観客自身が自然発生させてくれた思い入れのコール。
それくらい・・・みんな本気になれた、あのリングに・・あの戦いに・・・あの女子たちに。
僕は見守っているだけだった。
いや、守るどころか、僕があの場で彼女達に支えられていた。
リングが生きている限り、大会は死なないから。
そして見事に彼女達のリングは最後の最後まで、ギリギリのしぶとさで生き続け、セカンド・バージンを完走した。
これからも無限で甦り続けるであろう、リング女子達による人間イベント。
何かを追い求める同志達で作り上げる、無垢なるフリーダムフェスティバル。
僕に言葉はなかった。
ただ、彼女達がそこにいた。
リング女子のための、彼女達を見つめるファンのための、永遠のナチュラル・リング・・・・。

冷静に振り返れば、今大会最も目立ち、リングを支配していたのは間違いなくヒール軍の女帝真希Emergency嬢であろう。
彼女のセンス、企画力、率先力がなかったら、ここまでのムーブは起こりえなかったはずだ。
マイク無しの地声アピールで会場全体を引き付け、視線一つでいか様ににでも翻弄するなんて初めて見た。
闘わずして、あそこまで戦闘モードを作り上げ、数々の名場面をさらっていった超危険な存在。
燃える女ラブ♡ドリームさらと、氷の微笑みで妖舞する真希Emergency。
ふたりがいてこそのKGFリング女子。
異論はないだろう。

荒木まい
フューチャー伊藤
ブレストりお
川越ゆい
栗林里莉
早瀬弥生
ミルキーもも
小悪マミ
ラブ♡ドリームさら
伊達銀子
真希Emergency

建前をまとった世間は、やはりこう囁くかもしれない。
どうせ・・・たかが・・・それこそ、「口に出すのも・・・」。
だが、何であろうと、どんなことであろうと、人が必死で取り組んでいることを、あざ笑う資格が誰にあるだろうか?
馬鹿馬鹿しく見えることを、下らなく思われそうなことを、何かのために何かを信じて、全身全霊でやり遂げようと精魂込める。
それが人間ではないだろうか?
そこに何の分け隔てがあっていいものだろうか?
ファンは知っている。
笑いと、涙と、そして感動のスペシャルナイト。
「ありがとう。
そしてまた必ず・・・」
あの日集まってくれた人々の多くが彼女達にこう、語り掛けてくれたはずだ。
KGF、やったー!とも・・・。

"ここに来たら 1人じゃないよ
心と心を ひとつにして
手と手を繋いで
一緒に笑顔を咲かせよう

サヨナラは寂しいから
この歌をおいてゆくよ
ありがとうの 気持ちキミに
伝えたい 届くといいな
サヨナラは寂しいから
この歌をおいてゆくよ
ほら笑って 笑顔をみせて
いつでもキミを待ってるから"
KGF JAPAN エンディングテーマ曲「FLOWER MIND」




(写真は、米版リング女子がドサ回りの苦闘の末に、おやじジャーマネと共に栄冠を勝ち取るまでを感動的に描いた隠れた名作「カリフォルニア・ドールズ」(邦題 81年 監督ロバート・アルドリッチ 主演ピーター・フォーク)の米版DVDです。残念ながら日本語版は今だ未発売・・・でしたが、2015年4月8日、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントより、遂にDVD発売されることになりました!)


俳優中井貴一が2001年、外国映画に出演した際、そのあまりの劣悪杜撰な現場に憤慨し、遂に撮影途中で帰国せんと決意した、まさにその時にかかってきた一本の電話。
「キレルなよ。やめたっていうのは簡単だよ。でも君は映画を撮りに行ったんだろう。絶対に途中で投げ出さないほうがいい。結果がどうあれ、映画がどうであれ、そこで過ごした時間は絶対に君の財産になる。だから、途中でケツまくることだけはするな。
こらえろよ!」
高倉健
(「日記」中井貴一より)






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内 容 ニックネーム/日時
辻丸さん,KGF JAPAN見ましたー。すごい。辻丸さんが、いるなら会いに行きたいー。地方在住、すぐに行けないけど、新木場に行きたい。姫川さんとの共演のシリーズ。辻丸将軍のラスト、続き見たいです。
ピピの助
2014/12/23 20:29
ありがとうございます。恐縮です。
KGFの次回は恐らく春、その前に鶯谷で2月に別企画の音楽イベントがあるかも・・さらにドキュメントAV「501」発売のイベント等も春にあるかもしれません。あと監督作がアマチュアインディーズより発売中です。主にツィッターで情報発信しておりますので御覧いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
「女研」の新シーズンは・・・超未定です。
AV落人
2014/12/24 14:12
お仕事、大変お疲れ様です。

姫川亜由美姐さんのラスト作品、辻丸所長も完全燃焼したように感じます。

新シリーズのサブタイトル「ユダ」、辻丸所長の衝撃的な復活を超未定とのことですが、期待したいです。

来年のご活躍を楽しみにしております。(^_^)


じぃ
2014/12/25 21:19
ありがとうございます。
501やKGFやイベント等、ドキュメントづいた2014年でしたが・・・来年もよろしくお願い致します。
AV落人
2014/12/26 11:51

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「KGF JAPAN」11.29新木場大会私録 AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜/BIGLOBEウェブリブログ
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