AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

アクセスカウンタ

zoom RSS 追想「子宮に捧げる愛の詩」その八"イクって何?"

<<   作成日時 : 2013/08/20 18:33   >>

驚いた ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

"何故ここで云えないんです?あなた方は何時までたっても自由に口が効けない、呆れた人達だ!"





猛暑と集中豪雨の月曜日。
映画「子宮に捧げる愛の詩 女体拷問研究所の真実」DVD発売記念イベントが行われた。
繁華街の地下室。
タイトルは「イクって何?」
僕はなぜか最初からの登壇者になっていた。
イクって何?
男女対決型快楽拷問?
僕は何を話すべきであったか。
まずは映画のプロモ映像が会場のスクリーンに流された。
それから始まる「イクって何?」
映画の話は出なかった。
映画の出演者はその時、僕一人だった。
その日の会場で、映画を見た人が何人いただろうか。
映画が語られない。
大半の時間がそうだった。
それが"真実"、いや現実だった。

"ははは、主流をめぐって君達も割れてるな、我々の学生の頃と似てるよ、分裂騒ぎは何時も起こる、政治運動あるところ、必ずや陰謀をめぐらし主導権争いをやる奴が出る"

男をイカせる側。
女をイカせる側。
しかし男を責める女性側の方が勢いがある。
責められる女性側はそもそも参加さえしていない。
女を責める男性側は存在すら薄い。
こうしてトークが進む。
飛び入りゲストも男を責める側がもっぱら。
観客の八割方は男であるのに。
イクって男のものか?
女がイクなんて当たり前過ぎるのか?
僕には遠い話ばかりだった。
ほとんど発言しなかった。
それでもマイクをふられた時、僕はただ一点にのみこだわって、勝手にまくしたてていた。

"祝いに来た?そうだ!今こそお互いの仮面をひっぺがして、真の祝いに到達出来るぞ!"

"イケる"のは女だけ。
男は"出す"だけ。
これが僕の唯一の持論である。
女はメスであり、男はオス。
そして今も昔も現実は男社会。
イカされようとする女。
イカせようとする男。
その力関係。
権勢の構図。
男は勝手に出す。
女は勝手にハラマせられる。
非難されるのは、いつも女の側。
ふしだら。
下半身がだらしない。
母親失格。
本音は・・・俺にヤらせろ!中出しさせろ!
しかし、女にも女の武器がある。特権がある。いや、自然がある。
女は何も出さない。
イッたかイカなかったか、なんて見た目には誰にも分からない。
フリが出来る。
騙すことも誤魔化すことも芝居することも出来る。
男を喜ばせるために、せせら笑うために、侮蔑するために。
そして身を守るために。
イケるのは女の意思次第。
人格次第。
人間次第。
男は出すだけ。
そこに女はいない。
女の心はない。魂もない。
どうとでもイケることを女は知るべきだ。
自由であることにもっと気づくべきだ。
それは女の抵抗。
人間としての叫び。
女は自分自身で生きられる。
それが、イクこと。
あなた、であること。

"「どうもキツネにつままれているようでいけない。あれほどハネ上っていた中山と野沢が急に低姿勢、小便臭い女子学生相手に踊っている」
「火炎ビンで捕まって未決にいた時、こんなことになってるとは思わなかったな」
「大衆をひっぱり廻すか、大衆にひっぱり廻されるか、あれかこれか、いずれにしても中山も野沢も宗教派だ、彼等が文部大臣になったらどうなるんだろう?俺は革新陣営の勝手極まる方針変更を許す事が出来ない"

結局、男は出すしかない。
汚すしかない。
嘔吐するしかない。
つまり陵辱するしかない。
その単純さ、傲慢な単細胞ぶりを虚飾するために、男達のAVは流浪を辿ってきた。
オナニー、本番、顔面シャワー、ぶっかけ、イカせ・・・。
イク姿をただ見ていただけの男達が、廻りまわって、再びイカせんと躍起になっている歴史の皮肉。
売れなければ男社会では勝ち残れない。
大衆のニーズに応えて。
それを宗教にまだ祭り立てて。
けれど女達は変わっていない。
オナニーさせられ、本番させられ、顔にかけられ、体中にぶっかけられ、あらゆるモノをねじ込まれ・・・。
イクのは女だ。
イケるのは女だ。
それを知っているのは、分かっているのは、女達だけだ。
男は見ているだけ。
何ももらえない。かけてもらえない。ぶち込んでもらえない。
ただ「イクっ!」の一声を天からの真言と信じて、信じ込んで。
女に言葉はいらないのだ。
だから何度でも、何によってでも、何に向かってでも、イクことが出来るのだ。
愛はもちろん、信頼、幸福、慰謝、許し、浄化、昇天・・・。
男は自分の都合でいくらでも変わる、変わったふりをして、常に体面を保ち、我欲に固執する。
女にそんなものはない。
いくらでもイケるから。
何にでもイケるから。
イクことが女性自身なのだから。
女をそれを知っている、カラダで。
だから負けない、屈しない、へつらわない。
あなたもそう生きてきた。
女体として生きてきた。
それでいいのだから。

"何故ここで云えないんです?あなた方は何時までたっても自由に口が効けない、呆れた人達だ"

しかし男は、男社会はそれを許容したがらない。
イカせるのは男。
イカされる、イカせてもらうのが女。
だから、あなたは口ごもる。
そして信じ込まされる。
イッたことがない。
イクって分からない。
そこへ男がつけ込む。
イカないのは、お前のせい。
イケないのは、お前だから。
イカせてやれるのは俺だけ、俺様だけ。
言うこと聞け、言うとおりにしろ、言われたとおり生きろ、女なんだから。
あなたは何も言えない。
本当はこう言いたい。
自由に叫びたい。
私はイケる。
今、イケている。
あなたとこうしているから。
これだけで充分だから、幸せだから、愛しているから。
これがイクってこと。
私にとってのイクって証し。
あなたとの証し。
わたしの証し、女の証し。
あなたは呆れられるだろう。
男から、世間から、女を売っている女達から・・・。
それでもいいんです。
あなたは女。
イケるのが女。
イクのが、女。
あなたがイケたら、そこがあなたの答え、あなたの"真実"。
男にだって、それを分かってくれる人はいます。
受け止めてくれる人がいます。
あなたのそばにいます。
そう信じることが、祈ることが、あなたのイク、なのです。

"気取った云い方は止せ!当時、君はまっとうな愛情を持っていた高尾には目もくれず、野沢、中山と運動内部の権力者にベタベタとくっついていったんだ、女なんて、全て、そうしたもんだ、自分が可愛い、自分を傷つけたくないだけじゃないか!"

気取るのは男が先です。
ベタベタしたがるのは男の方です。
テメエが可愛いから。
誰よりもテメエが傷つくのが怖くて怖くて仕方ないから。
そのための主導権争い。
役割無視。
時間オーバー。
独断専行。
取り巻き集め。
ライバルへの排斥工作。
そこに恋などはありません。
平和も幸せもありません。
多くの女達はそこに群がります。
心酔し、もてはやし、おこぼれに腐心します。
それをモテる、と称します。
誰かが、周りが、己が・・・。
本当のイク、がそこにあるでしょうか?
作られたものでも、売らんがためのものでない、ありのままの、純粋なるイク、が、そんな打算と陰湿の果てにあるというのでしょうか?
何人イカせようと、何人にイカされようと・・・。
それは「イクっ!」と、ただ口走ってるだけです。
見せているだけです。
分からせようとしているだけです。
あなたにそんな必要はありません。
あの映画にそんなシーンはありません。
あなたは、ひとりであり、そしてふたりだから。
あの映画は、ひとりを描き、そしてふたりを語ったのだから。

"俺は美佐子に何も与えられない。汚い部屋、センベイブトン、着たきり雀。闘争だけが・・・平和、独立、民主主義のための闘争だけが俺達の希望だったのに・・・社会主義リアリズム・・・踊ったり歌ったりして一体皆どうしようと云うんだ・・・その間に、内灘、MSA、何も彼も既成事実になってゆく・・・俺は一体、革新陣営の一員なのだろうか・・・スパイ・・・革命、みなどこかへ消えた・・・平和の歌・・・大衆と共に・・・か?俺には何もない・・・風が出たな・・・吹け・・・何でも・・・吹くがいい・・・・"

イクって何?
この問い自体が高慢なのかもしれません。
イッたことのない人。
イカせたことのない人。
いやそれ以前に・・・ひとりぼっちの人。
誰にも何も与えられない、と悩んでいる人。
彼等にとって、彼女達にとって、あなたにとって・・・イクって?
お金もない、飾る術もない、若さもない、美しくもない、可愛くもない、カッコよくもない、モテない、出会えない、愛されない・・・そんなあなたにとって・・・イクって?
幸福な人には希望があります。
踊ったり歌ったり出来ます。
いつも皆に囲まれています。
そして愛し方、愛され方、生き方、幸せのなり方、平和、秘密、SEX、哲学、イクって・・・こうゆうこと、これがイクってこと、これがイクの本当のすべて!
何もかも既成事実。
実は商売的リアリズム。
拝金主義・・・。
僕には何もありません。
あなたも何もありません。
でもだから、何でも吹けばいいのです。
それは僕達の、イク、でなくて全然いいのです。

"大学の仲間達は坐りこんでいた。坐って動かなかった。そこには何も起こりそうもなかった。その為か僕はその中に入る気がしなかった。気持ちはもっと焦立っていた。僕はウロウロと歩き回った。そんな人間が数限りなくいた、何か起こるだろう、何か起こって自然承認を食い止めねばならないと思っていた・・・しかし、時は僕達の意志に関係なく流れた"

あのイベントで誰が何を語ったか?
イク、とは何か?
答えは出たのか?
僕にはさっぱり記憶にありません。
覚えているのは、僕がしゃべると誰もが黙ること。
坐って動かなくなること。
恐らく、あの会場で誰よりもイクって何か分からなかった僕の発言が、何も起こさないまま、何の流れも食い止めないまま、けれど一瞬誰かの意志に逆らったこと。
AVとは、イク、を映像化するものです。
僕はAV男優です。
でも僕はAV女優のイキ顔しか見ていません。
AV女優をイカせられず、イカされるがままのAV女優を一番間近で見つめているだけです。
彼女達が何によってイカされているのか?
愛撫?道具?男優?監督?仕事?ギャラ?
僕はいつもウロウロと歩き回っています。
AV女優の周辺を。
イク、のほとりを。
そしてますます分からなくなるばかりなのです。
目の前の「イクっ!」が自然承認されているその中へ、僕はいつまでも入ることが出来ないでいるのです。

"「俺には無力感しかなかった。俺は慌てて玲子や、君や太田の顔を思い浮かべて俺の位置を確かめようとした。だけど、不意に俺を襲ったのは、俺は玲子とも君ともデモに来ているどの人達とも無縁だ、バカバカしい、そういう気持ちだった」
「でもね、馬鹿馬鹿しいというか孤立感というか、そういうチグハグな気持ちは初めっから皆が持っていたと思うんだ、何も君だけの特別な感情でも何でもないよ。問題はね、君がそう簡単にバカバカしいといってしまうことが、どうにもならないんじゃないかと思いながら、それでもやっぱり運動を押しすすめてゆこうという人達の気力をどんなにソグかという事なんだ」
「でも、それは僕と関係ないよ。俺の云いたいのは、むしろ、そういう君達が本当に命がけで安保は通しちゃいけないって、そう思いながら運動していたかってことだよ」
「俺はね、君のように、そう敗北感ばかり云い立てたり、それから自分がデモに行ったからって、ただそれだけで事態が君の考えている通りになるべきだと、そう考えてしまうそういう事は非常に甘ったれた、ふざけた考え方だと思う。僕は勿論勝利感なんか感じていなかった、だけど、それと同じように敗北感も挫折感なんてものも感じちゃいなかったよ」
「・・・でも、そんなことじゃ、俺はデモに行けないよ」"
引用全て、映画「日本の夜と霧」(60年 日 大島渚監督 桑野みゆき主演) より

甘ったれた、ふざけた考え方でしょう。
僕はAV男優である以上、それで金を得ている以上、「イクっ!」と無縁のはずがない。
バカバカしいなんて感じる資格もない。
仕事のない無力感。
ろくにイカせたことのない敗北感。
愛されたことのない挫折感。
この業界にいる孤立感。
でも・・・僕の位置は皆とは違います。
業界とは違います。
どの人達とも無縁です。
AVもまた運動です。
売らんがための熾烈な闘争です。
しかしだからこそ、そこに本当の「イクっ!」があるでしょうか?
バカバカしくない、イクがあるのでしょうか?
商売に停滞は禁物です。
だから日々、僕の周囲には、勝利感もない代わりに、敗北感も挫折感もないのかもしれません。
けれど、それがイクということでしょうか?
だとすれば誰のためのイク、でしょうか?
ユーザーのため?
女優のため?
それも真実です。
でも、あなたは?
あなたのための、イクとは・・・?
僕はどうしても考えてしまいます。
イクって何?とは無縁な人を。
イクって何?に連いて行けない人々を。

(つづく)



"ぼくはいま、ディスカッション好きの人間だと思われているかもしれないけども、じつはディスカッションは大嫌いなんです。というより、人間というのは、世の中の人が思っているように、ディスカッションによって意見を変えたり、ひとつ高い次元が発見されたりするものではないのであって、ようするに罵り合いだと思うんだよね"
大島渚










amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by あの頃映画 日本の夜と霧 [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
驚いた
面白い
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あなたのような考えを記事にしてくれる人は貴重です。
これからも、語ってください。
寂しい変態
2015/01/11 09:52
ありがとうございます。
貴方も、そして少しでも僕に近い考えの無名の少数者の方々にも・・語れる時が巡って来ますように・・。
AV落人
2015/01/11 12:30

コメントする help

ニックネーム
本 文
追想「子宮に捧げる愛の詩」その八"イクって何?" AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる