AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 案心立命・・・・「燃えよ!カンフー」詩録

<<   作成日時 : 2009/01/12 15:05   >>

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"自らを卑しめよ・・・迷いを忘れて案心立命を得ん・・・地に芽生え、母より産まれいづるもの、全てと己を帰一せよ・・・久遠の静けさに戻ろうを得ん"


僧は、ならず者の白人一味に追われていたアパッチの戦士オスカイをかくまう。
オスカイ「肌の色、あいつらと違う」
僧「私は、中国人です」
オスカイ「中国人はもう何度も見てるが、あんたとは違った」
僧「父親がこの国の生まれです」
オスカイ「白人だったのか?」
僧「ええ」
オスカイ「嘘だ・・」
僧「父は白人でした」
オスカイ「白人なら命がけでインディアンをかばわない!」
僧「そうは決まっていません」
オスカイ「俺にはわかっているさ。あんたの血も、肌も白くない。心も違う。オスカイは、あんたと"兄弟"になる!」
インディアンの右手が肩に添えられても、僧は戸惑う・・・。

同じ国、同じ土地で生を受けながら、三つにも分かれる。
白人、中国人、インディアン・・・・。
だのに白人なら助けない。中国人なら、かばわない。インディアンなら、同じ心を持たない。
誰が決めた?誰が押し付けた?誰が、うまいことやりやがった?
給付金・・・裁判員・・・ハイビジョン・・・・・オリンピック?
必要でもない人間がもらう。国民同士で断罪し合う。貧乏人は麦を、いやテレビさえ見るな。日本は本当に良い国?
僕は誰とも兄弟なんかになりたくない。
そうなった瞬間、兄弟でない他人は、○○人は、○○系は、親が誰?何語を話す?何を着る?どこに住む?どこから来た?お前は誰だ?まず貴様はどこのどいつだ?敵か見方か?国家は?国旗は?どうだ?どうだ?
僕の心は誰とも違う。
誰のものでもない。
誰の血にも染められてはいない・・・。

かつて少林寺の少年僧だった頃、寺の中で武力革命を叫ぶ兄弟子テソンのことを僧は回想する。
テソン「兄弟として言うんだ。共に立とう!正義の旗を翻して、腐りきった王朝打倒の機運を起こすんだ!みんな聞いてくれ!みんなにも目はある、耳もある!そうだろ!何も感じないのか?平気なのか?・・・」
必死で同僚たちに訴えているテソンを遠くから恐々見つめている僧に老師が近づく。
僧「先生・・・」
老師「話があるのかね?何だ、聞こう」
僧「・・・テソンはいい兄弟子だと思ってたんですが・・」
老師「テソンには、いいところが沢山ある」
僧「仏の道を外れそうなので・・・心配です」
老師「あの男は信念を持っている。正しいと信じておることを、人に説いているだけだ」
僧「でも仏の道は、ひとつしかないと教わりましたけど・・」
老師「テソンもそう思い込んでいるようだ、心の底から。そして私達は誤っていると説いているわけだ。どちらを選ぶ?」
僧「・・・仏の道を選ぶしかないと思います」
老師「私もそう思う。で、どうする?その生き方をなじって、破門するかね?」
僧「先生・・マコトはひとつしかないんですか?」
老師「その質問は・・訊くだけの価値がある質問だ。深く考える価値もある・・・・・」
僧「・・・・・」

また兄弟・・・・。
正義の旗、打倒、決起・・・僕もこんな言葉に憧れたこともあった。
言葉だけ。掛け声だけ。ポーズだけ。
僕にも目はある。耳だってある。感じているし、平気でもない。
苛立っていて、駆られていて、ムカついていて、殺気立つ時さえ・・・・。
ただ僕には信念が、ない。
これが正しいと、誰彼構わず訴えかけるだけの強固な信条が掴み切れていない。
ペットの復讐?誰か止めてほしかった?
どうだか・・・理由なんて、ひとつ。動機なんて結局はほんの一つ。
己のマコト。
自分だけの真実。
それは我欲であり、エゴであり、虚栄であり・・・。
僕には信念がない。
これが答えだ、と叫べるだけの傲慢さが、プライドが、自己顕示欲がない。
その、無い、という諦念が僕の、ひとつ。
僕に唯一残された、何とも頼りない、つまり無頼?のマコト。
僕は全否定するしかない。
無い、のがマコト・・・それでは駄目か?それは違うか?それは許されないか?
訊くだけの価値はあっても、誰に問う?
深く考える価値があろうと、僕に何が出来る?
もう、これから・・・・時間もない・・・・。

レイフという男をリーダーとする白人一味は、アパッチ族を襲い、オスカイの弟を始め大勢のインディアンを虐殺してきた。インディアンの頭の皮を剥いで集めると賞金が貰えるからだ。
オスカイ「俺は、あいつ(レイフ)を探し出して、殺す!」
僧「・・・・報いるためですか?死で・・」
オスカイ「アパッチの神がそのために俺を選んだんだ。弟とか、大勢の死者のために殺して仇を討つんだ!」
僧「・・・・」

報い・・・・個人の報いは否定される。先に手を出した方が勝ちで、報いは袋叩きにされる。
人権、少年、ドラえもん、ナめないでいただきたい・・・・。
選ばれたと自負する輩が、ちょっと一言。別にぃ・・・・。
平気で人が殺される。
貶めた奴がカリスマになる。
AV業界もかつて何度も殺された。
その度にAV女優が増える。それは逆説的な仇討ち?
AV女優は死者じゃない。大勢の女達は、誰も殺されてはいない。
討たれるのはサイボーグの方だ。AVのために、いや自分のために、顔もバストも心も改造して・・・・ひっそり消え去る。
皮肉な虐殺だ。
誰も気付かない、気付きたくない、気付いたら始まらない、スカウトも撮影も販売も始まってくれない、つまりカネにならない、賞金が出ない・・・・。
僕だけが頭の皮を剥がれた。
河童と呼ばれている。合掌は、しない。

テソンは遂に少林寺を出て行く決心をし、老師の前へ挨拶しにくる。見守る僧・・・。
老師「考えを変える気はないのか?」
テソン「嫌です!一日でも無駄にする気はありません!」
老師「無駄に?」
テソン「農民は家を追われ、飢えてます。寺の中にこもっていて何をしてやれますか?!」
老師「・・・祈るんだ、考えるんだ、そして」
テソン「何になる!あなたには周りで起こっている悲劇は見えないんですか?」
老師「見えているさ」
テソン「だが、何もしない」
老師「君は何をする?」
テソン「行動です!農民の窮状を訴えて、糾弾して、兵を集め、戦うんです!」
老師「大変な仕事だ。君の成功を祈ってるよ」
テソン「では、これでお別れです」
老師「体を大事に」
憤然と去っていくテソンを見送る僧・・・。
僧「流れに逆らおうとしています。そうでしょ?あれじゃ流されてしまいますよ」
老師「ああするのが宿命だと信じている」
僧「本当でしょうか・・・」
老師「人間なんだ・・・人間以上の者にはなれん・・・」
僧「・・・・・」

僕の考えは今さら変わらない。
僕は、ひとりだから。
一日一日を無駄にしている。
僕独りの人生だから。
家を追われ、飢えている人達がいる。
家を出て、セックスを売って食っている連中がいる。
家を誰にも渡さず、なおも食いたくて、売って売って、殺すまで売りさばいて贅沢三昧の特権どもがいる。
僕は何もしていない。
部屋にこもって、祈っても、考えてもいない。
僕はたった一人だから。
僕には悲劇にさえ見えないから。
喜劇?終劇?不条理劇?
戦いたがっている奴らがいる。
希望はセンソー・・・。
兵を集めておいて言う。
一億あっても生活は苦しいので・・・ここはいいクニ・・・。
誰を糾弾する?誰に訴える?誰と戦う?
大変な仕事だ。成功を祈りたくなる。それですぐノせられる。
君のためにこそ、しにイク・・・ヤりにいく、出しにいく、イキにいく、イカセにいく・・・・じゃ駄目か・・・・。
僕はAV男優。
他に能はない。
まさに、余人をもって代え難い・・・割に仕事が来ない。
宿命は人それぞれ。
流されるのも、逆らうのも、一人ぼっちも、本当にただのシュクメイ。
人間なんだ。
AV男優も、AV女優も、殺す側も、殺される側も・・・・。
人間以上の者などなれない。
なろうとするから、センソーが起こる。マコトが隠される。

オスカイと別れた僧がレイフ一味の前に現れると、何とムタというインディアンの男が立ちはだかる。案内人として白人に加担するムタに厳しい目をむける僧。怒ったムタが僧に襲い掛かり、争っているうちにレイフと僧はもつれ合って崖から湖へ落下してしまう。何とか助かった二人だったが、そこへオスカイが現れ、レイフを殺そうとして逆に腹を刺されてしまう。
レイフを捕縛し、オスカイに駆け寄る僧。
その苦悶する戦士の姿に、反乱に失敗し、傷つき果てて少林寺へ舞い戻ったテソンの姿を僧は思い出す。
軍隊に鎮圧された村は一軒残らず焼き払われた。テソンはお尋ね者となり、重傷を負って寺にかくまわれる。
テソン「・・・兵隊が後から後から来る・・・あれじゃかなわない・・・」
迎える老師と僧。
僧「ここなら安全ですか?」
老師「ああ・・・しかしテソンがここにいるかな?」

刺そうとした人間が刺される。
殺そうとした人間が殺されそうになる。
けれどそれは安全かもしれない。
刺さない方がいいから。
殺さない方がマシだから。
しかし法は違う。軍は違う。
刺した方が保護される。人権を尊ばれる。
殺せば・・・正義だ。愛する人達のためにやったのだから、と。
こんなところに、いられるものだろうか?
僕はもう48年もいてしまった。
刺さず刺されず、殺さず殺されず・・・・でも、そろそろ、だろう。
後から後から・・・同じ人間なのに。
AV女優も、後から後から・・・。


僧「仇討ちは出来たか?」
オスカイ「・・・」
僧「あなたの仇討ちは誰がするんだ?」
オスカイ「他の者がやるさ・・」
僧「それが死んだら、また次か。いつ終わる?」
オスカイ「・・・あいつや・・・その仲間が死んだら、だ・・・」
僧「手当てしないと、あなたが死んでしまう・・」

終わりはない。
僕の全否定はここにある。
誰かが死んでもまた誰か。
引退しようと、隠蔽しようと、独りで死のうと、他の誰かがまたやるさ。
仇討ちという名の、荒稼ぎ。
勝つという名の、無限侵食。
それをマコトと信じている。
僕は先に死ぬだけだ・・・。

僧「殺しちゃいけない。約束してくれ」
オスカイ「俺の使命なんだ・・・」
僧「重荷、だろう?兄弟として、君に頼む」
オスカイ「いやあ、駄目だ、それは出来ない!」
僧「約束を」
オスカイ「嫌だ!!」
僧「・・・・」
オスカイ「・・・わかった・・・殺さない・・・今のところは、だ」
僧「・・・それでいい・・・」

僕は誰とも約束しない。
もう裏切られるのは沢山だから。
また、独り、になった。
やっぱり、どうしようもなく、呆気ないほどに、唐突な裏切りだった。
僕の使命らしい。
運命との、これが永遠の約束らしい。
僕にはもう重荷もない。
生きていることは、偶然でしかない。
裏切りには慣れた。
こんな自分にも、とことん慣れ果てた。
だから・・・僕は僕を殺さない。
今のところは・・・・だ。

僧はオスカイとレイフをそれぞれ馬に乗せ、一味が追ってくる前にアパッチの村まで行こうと決める。
そのために、逃げないと約束するなら、とレイフの縛めもといてやる。
レイフ「約束はいつでも破れるんだ。それでもいいのか?」
僧「名誉はないんですか?」
レイフ「ないな」
僧の脳裏を老師との問答がよぎる。
「先生・・・マコトはひとつしかないんですか?」
「その質問は訊くだけの価値がある質問だ。深く考える価値もある・・・」

約束はいつでも破られる。
だからどんな約束にも意味なんてない。
人はすぐ約束する。そして騙される、傷つけられる、狂わされる・・・。
名誉を失くしたんだ。
人としての、生きるための、愛するための、己のための・・・。
僕に何が問える?
食うためにやったこと。家族のためにやったこと。法のためにやったこと。オクニのためにやったこと。
それがマコトなら、答えはひとつだな。
人間は自由だ。
騙しても傷つけても狂わせても殺しても、何をやっても構いはしない。
名誉なんて後から何とでも言い訳出来る。くっつけられる。
本番も、フェラチオも、アナルも中出しもスカトロも・・・AVならマコト。
AV女優なら、答えはひとつ。
だってテレビに出たいもん!テレビでしゃべりたいもん!もちろんAV引退した後で、ね。ついでにベストセラーも・・・。
名誉は、ないんですか?
ない、だろうな。
ただ僕の名誉とカノジョ達の名誉は・・・同じだろうか?
こんなことを訊こうとする、深く考えようとする、僕みたいな人間にも、生きる価値なんて、あるのだろうか?

テソンの介護をしていた僧に老師が尋ねる。
老師「テソンの具合はどうかな?」
僧「・・・熱は下がっても、怒りは冷めません・・・先生の批判をしています・・・」
老師「知っている。直接私にも言った」
僧「あの人は尊敬出来ません」
老師「ことわざにもある"情け深き者は、心の扉を閉ざすことなく、常に他人の心に触れる"とな」
僧「・・・・テソンは、かくまわれてるのに、先生の悪口を言っているんです」
老師「不満を隠しておけ、と言うのかね?名誉を貴ぶやり方だと言えるかな?」
僧「・・・おっしゃることは、よく分かりますが・・・」
老師「だが、何だ?」
僧「先生がおっしゃるテソンの長所には限界があるようですね」
老師「だが、長所はある。私達はそれを認めてやらなければ」
僧「・・・」

僕の怒りは冷めない。批判は枯れない。
誰からも尊敬なんてされない。
心の扉は閉ざしたまんま。
他人の心を退けるばっかり。
冷血な社会の中で悪運強くかくまわれて生きてこれたというのに、いつも誰かの悪口だけ。
僕はその不満をAVで晒す。
AV女優に向かってバラまく。
これが僕に残された唯一の名誉だ。
AV女優への罵詈雑言が、僕が貴ばれる最期のやり方だ。
僕の長所?
崖っぷちの、ヨレヨレの、死に損ないのAV男優の長所?
僕を認めてくれるAVが今年は何本日の目を見るだろうか。
AV女優に僕は必要ない。
単体にも、本物にも、NGなしにも、芸能人にも、僕みたいな罵倒男優はもう時代が必要としていない。
テロルなんてとっくに流行らないんだ。
誰でもよかった・・・そんな時代だ。要するに殺されるべき本当の敵は誰も死なない、昔のまんまだ。

レイフ「俺には名誉なんてものはねえんだ」
僧「私は信じない。さあ、乗るのを手伝います」
隙をついて殴りかかろうとしたレイフだったが、あっけなく僧にのされてしまい、渋々馬にまたがる。
だが、オスカイの前を行くことに難癖をつける。
僧「(オスカイは)殺さないと言ってる」
レイフ「信じるのかい?ヤツは俺と同じだぜ!隙があれば殺そうとするだろう」
オスカイ「・・・・」
僧「あなたが約束を破れば、だ」
レイフ「・・・よしてくれ、ヤツはアパッチだぞ!おめえには分かってねえんだ!」
僧「分かってます。信用してます。オスカイも・・・あなたも、です」
レイフ「・・・・・」
オスカイ「・・・・・」

誰にも名誉なんてない。
カネにならない名誉なんて、誰も欲しいと思わない。
信じることが出来れば・・・こんな僕とは違う!あの人は違う!そう固く信用出来る強さがあったら・・・。
だが、僕はまたひとりだ。
結局ずっと昔のままだ。
世の中も、歴史も、AVも、愛も・・・・。
僕は約束を破った。
でも僕だけか?僕ひとりの過ちか?罪か?宿業か?!
僕は僧にはなれない。
わかっている。
僕は独りだ。

僧が水を汲みに行っている間に、再び縛られたレイフはオスカイに取引きを持ちかける。ここで逃がしてくれたら、一味にはもう追わせない、と。
オスカイ「・・・お前の手はアパッチの血で真っ赤に汚れている」
レイフ「・・・仕事だい・・」
オスカイ「水や食い物ではなく、血に飢えているんだ!」
レイフ「今は水だけで我慢するさ」
オスカイ「この人殺しめ!」
レイフ「そういうおめえはどうなんだ?」
オスカイ「アパッチはカネのために人は殺さない」
レイフ「へぇ・・おめえは道楽で殺すよ。俺はカネを稼ぐ」
激昂したオスカイはレイフに迫るが、ギリギリ手は下さない。
オスカイ「・・・殺さない、と約束したんだ・・・」
僧「そして守った」
振り返るといつの間にか立っている僧。
オスカイ「・・・いつかは必ず殺す・・・」
僧「・・・・」

お前の手は人の心の血で真っ赤に汚れている。
「仕事だい!バカばか馬鹿!」
生きるためではなく、権力に飢えているんだ!
「あなたたちとは違うんです」
この人でなしめ!
「そういうおめえはどうなんだ?」
カネのために人は殺さない。いや、自殺はしても人殺しはしない。
「へぇ・・・気合が足りないんだよ!ファイティングスピリットが足りないんだよ!おめえは殺す真似しか出来ないよ。AVの中でしか・・・それも女優だけを・・・俺はカネを稼ぐ。生活が苦しいもので・・・」
いつかは・・・誰かがアンタを・・・・。

青年僧たちの食事の席で、怪我の癒えたテソンがひとり喚いている。
テソン「寄生虫だ!ヒルだ!恥ずかしくないのか?平気なのか?ここを出るんだ!剣をとろう!正義のために戦うんだ!」
青年僧「どうやる?」
テソン「農民たちと兵営に攻め込んで、皆殺しだ!」
青年僧「・・死が産み出すものは死だけだ。正義じゃない。君はまだ懲りないのか?テソン」
テソン「信念はなお強くなった。怒りも燃え上がった。一緒に来るか?!」
僧達は誰も答えない。
「意気地なしぃー!!」と絶叫し、食卓をひっくり返して出て行くテソン・・・。
「先生・・・マコトはひとつしかないんですか?」
「その質問は訊くだけの価値がある質問だ。深く考える価値もある・・・」

イジメられる方にも原因がある。
抵抗しない方が悪い。
マズイことは隠蔽すべきだ。
そして彼らはマスコミに乗る。活字は躍る。不気味なマスクがあちこちで映る。
死が産み出すものは、死だけ。
空しい言葉だ。
意気地なし、の一言でリセット、消去、資格なし、門前払い、退寮・・・本気で働く気あるの?何をしたいかはっきりさせないと。君たちは世襲じゃないんだから。
センセイ・・・行き着く先は、ひとつしかないんですか?
その質問は訊く価値もない質問だ。深く考える価値もない。
決めるのは我々だ。
名誉のセン死は、シモジモの皆さんだ。

僧たち三人はアパッチの村の側まで辿り着く。
ふてくされて座り込むレイフ。僧はオスカイがもう一人で村まで行けると確認すると、二人を残して去っていこうとする。まだ縛られたままのレイフは、殺意に燃えるオスカイに怯えて、僧に命乞いをする。
レイフ「縄ほどいてくれ!」
僧「なぜです?(オスカイは)殺しはしません」
レイフ「おめえがいなくなれは、すぐ殺される!」
僧「あなたでも死ぬのは嫌ですか?」
レイフ「手出しも出来ねえで殺されるのが嫌なんだ!」

みんな嫌なはずだ。
それなのに、みんな死んできた。殺されてきた。
僕もそうだ。
ただ僕はAV男優だった。このトシまで飢えずにすんだ。自分の部屋があった。
あなたでもイクのは、嫌ですか?
恥ずかしいですか?
情けないですか?
中出しも出来ねえで死ぬのは、つまらない?
僕は仕事も含めて生涯中出ししたことのない人間です。男優です。
あなたでも死ぬのはイヤですか?
ならどうして、他人ならいいんですか?
一億人の他人なら・・・。
みんな、AVみたいなことして、中出しして、コッカを支えてきたんです。

僧は回想する。
仏画の浮かぶ暗がりの中、老師の前にひざまずくテソンの姿があった。
老師「見違えるところだった」
テソン「申し訳ありません」
老師「よかった・・・帰ってきてくれたか・・無事に、元気で・・・」
テソン「・・・・」
老師「どうした?そんな貧しいものを着て」
テソン「私にはこれでも身に過ぎたものです」
老師「信念は、捨てたのかね?」
テソン「・・・間違いでした」
老師「飢えた農民を救うことが誤りかな?」
テソン「・・・私が手出ししたおかげで・・・彼らの苦痛は増えました・・」
老師「・・・・・」
テソン「・・・過ちは・・・正義の旗を、高く掲げながら・・・栄光を求めたことです・・・」
老師「経文にもある。
"自らを卑しめよ・・・迷いを忘れて案心立命を得ん・・・地に芽生え、母より産まれいづるもの、全てと己を帰一せよ・・・久遠の静けさに戻ろうを得ん"」
※案心立命(あんじんりゅうめい)・・・天命を知って心を安らかにし、下らないことに心を動かさないこと。

老師「どうだ?寺に戻るか?」
テソン「よろしいのでしょうか?」
老師「心は、開かれておる」
テソン「お許しを請わねばなりません」
老師「咎めはしない」
テソン「でもお許しは?」
老師「許しを請うなら、君が苦痛を与えた多くの者たちにすべきだが・・・」
テソン「・・・・」
老師「・・・嘆きは深いと思うが・・・いつかは・・・それも忘れてくれるだろう・・・」
テソン「・・・・」

人は栄光を求める。
光輝く己の姿に見惚れたがる。
そのための正義、そのための努力、そのための愛、そのための・・・。
許しを請う時でさえ苦痛を与えた他人に対してではない。
買う消費者も悪いし。現場が勝手にやったこと。風呂がないんですー!!!
自分のための更正。もう終わったこと。被害者は黙ってろ!加害者は苦しんでるんだ。そんなに金が欲しいか?ソーサは適正だった。
弱い者の嘆きなど、いつの世も泣き言扱い。
弱音を吐くな!気合だー!やれば出来る!願えば叶う。甘えるなよ!ホントに年金払ってたの?。
本物の懺悔に何の縁もない輩を、誰が許すだろうか?忘れてくれるだろうか?
自らを卑しめよ。否定せよ。
迷いを忘れて案心立命を得ん。僕の天命はAV男優。それでいい。下らないことに一生を使い捨てる。強い者なんかになるより、ずっといい。
地に芽生え、母より産まれいづるもの、全てと己を帰一せよ。地に還る。胎内に帰る。全ては灰だ、ゴミだ、人間はクズだ。それでいいじゃないか。
久遠の静けさに戻ろうを得ん。静けさが好きだ。静謐が好きだ。静寂が僕だ。
死んで久遠を得ん。
独りで逝くだけの僕には、これしかない。
全否定。
まこと、だ。

僧はレイフに問う。
僧「気にいらないのは・・・あなたの命が、アパッチの口約束と、中国人の良心にかかっていることでしょう?」
レイフ「・・・・」
僧「それほど難しいことじゃありません・・・彼はインディアンでもアパッチでもない・・・人間です。オスカイって名の」
レイフ「・・・・」
僧「私も同じです・・・中国人でもない・・・ケインという名の、人間なんです」
レイフ「・・・・・・・」
そこへ、ムタと白人一味が遂に追いついてしまう。槍を掲げて真っ先に襲いかかってくるムタ。しかし間一髪、駆けつけたアパッチの仲間が放った矢で、ムタは絶命する。インディアン同士の不毛の殺生・・・。
アパッチの襲撃に一味はさっさとレイフを置き去りにして逃げてしまった。
オスカイは地に伏したムタを蹴り飛ばし、その身からナイフを奪ってレイフに迫るが、僧がさえぎる。
オスカイ「今になっても約束を守れというのか?そいつは俺の部族を殺したんだぞ!」
オスカイは知らない。屍と化したムタが、かつてアパッチに迫害された部族の生き残りであったことを・・・。
僧「復讐を望めばあなたは破滅する。あなたの部族も、だ」
オスカイ「・・・・・・!!」
絶叫と共に怨念のナイフを大地に突き刺し、無言で山に去っていくアパッチの戦士・・・・。

もう破滅している。
○○の口約束なんて、○○人の良心なんて。
人間が人間を人間と見なくなったら、それはもう絶命だ。屍だ。
人間は知っているくせに。
誰もがわかっているくせに。
人間は人間でしかない。
神でもカリスマでも希望でも、、まして・・・センセイでもない。
裸になれば皆同じだ。
ハダカになれば誰も彼もが、AV男優AV女優、中出しで産まれてくる、無修正の潮吹き・・・。
僕は約束しない。
復讐もしない。
死ねば残らず奪われるだろう。僕のAVも、言葉嬲りも、イラマチオも、SMも、ザーメンも、全てが大地へ。
僕の怨念も呑み込まれる。
孤独の怨念。理不尽の怨嗟。裏切りの怨讐。
だけど・・・もう去る時だ・・・。

僧はムタの遺体を土に葬り、槍を添えてやる。
レイフ「なぜ埋めてやった?殺そうとしたんだぞ」
僧は何も答えない。
レイフ「ひとつだけ教えてくれ。なぜ、あいつを止めた?」
僧「・・・・・」
レイフ「アパッチの約束と中国人の良心か・・・」
僧「・・・・・」
レイフ「だから俺にどうしろっていうんだ?」
僧は何も答えず、歩きだす。
レイフは出るところへ出て、全てを証言すると約束し、僧についていく・・・・。

僕も答えない。
なぜAV男優になった?なぜAV女優を責め立ててきた?
彼女たちも弱者なんだぞ。負けてるんだぞ。
僕は約束しない。良心もない。
だから僕に、どうしろっていうんだ?
殺そうとした者が埋められ、殺さなかった者が生き延びる。
だが、それは権力と断絶していたからだ。
あらゆる権力を否定する魂が優ったからだ。
権力は人の頭の皮を剥ぐことに賞金を出す。カネで殺戮を煽り、歴史を塗りたくる。
僕には僧のような勇気も魂も、そして肉体も、もはやない。
独りなだけだ。
またひとりに、戻っただけだ。
孤影の天命、妄執との心中・・・。
僕の証言は届かない。
誰の心にも、辿り着けない・・・。
















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今、たまたま縁ありて共に貴兄とたたずむ私です。
貴兄と私、それぞれその存在をAV男優、そしてAV監督と自ら確定するのなら、その存在意義は創作物を目にしたユーザーの心にありきではないでしょうか?
これからも共に、そして女体拷問研究所をよろしくお願いします。
Koolong
2009/01/12 22:37
先の追記なのですが、
答えは見つからずとも私はともにその使命を、存在意義を考えていきたいと思っております。
Koolong
2009/01/12 22:41
辻丸さんの作品で明日も生きていけます(笑)。
そこでなんでなんですが、2009年版最新の出演作リストを書いて欲しいです。
女優さんと違って男優さんの出演作品を探すの大変なんですよ・・・
おかだ
2009/01/29 18:10

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案心立命・・・・「燃えよ!カンフー」詩録 AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜/BIGLOBEウェブリブログ
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