AV落人の言霊〜殉教録〜

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help リーダーに追加 RSS あの夏の光と影は、どこへ行ってしまったの

<<   作成日時 : 2007/09/02 21:39   >>

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"悲しみさえも 焼きつくされた あたしの夏は あしたもつづく"

昨日・・・僕は自分の映画を見にいけなかった。
スクリーン上の己を見届けることが叶わなかった。
たまたま仕事が入ったのだ。
よりにもよって、その日に限って・・・。
その前日も前々日も、そして今日も明日も空いてるっていうのに。
その日に限って、よりにもよって・・・。
僕の人生は結局、こんなだ。
いつもいつも、くだらなさすぎるほど、語るに落ちる日々の繰り返しなんだ。

"あたしの 海を まっ赤に 染めて
夕日が 血潮を 流しているの"

映画「八月の濡れた砂」(71年 監督藤田敏八)のテーマ曲。
20年以上ぶりに見た。
70年代の青春が、ステレオタイプなほどに暑く熱く描き込まれていた。
若者は戦わない。
教師にも牧師にも、政治家にも牙を剥けない。
彼らに出来ることは、サッカーボールを教室のガラス窓に蹴り込むだけ。
教会のオルガンで「懺悔の値打ちもない」をひいてみせるだけ。
太陽族の残滓のような白いヨットを奪って、真っ赤に汚し、そこで強姦し、壁にライフルを撃ち込むだけ。
彼らは死のうとして崖から飛び降りても死なない。
暴力団に袋叩きにされ、純潔を奪われそうになった憧れの女高生に自殺され、ラスト、やっとの思いで一人の大人のオンナを二人がかりで犯す。
青春最期の夏、彼らに出来たことは、これだけのことだ。
あとはただ、太陽と海に包まれ、いや囚われ・・・黙って何かを睨み続けていただけだ。
あたしの、自分の、海を真っ赤に染めたものは、己の鮮血だったろうか。
それとも犯した女体からにじみ出た、熱く乾いた噴出だったろうか。
血潮を流しているのが己の太陽だったとしたら・・・もはや落日をとどめることも叶わない、若き己の魂の燃焼だったとしたら・・・。
僕には海もなかった。
焼けつく夏も、沈む夕日も、そして灼熱の血潮も、とうとう訪れやしなかった。
青春という言葉が、一番嫌いだ。
よりにもよって、その日に限って・・・。
僕は夏という夏に、燃えるような運命の脈打ちに・・・いつもいつも見放されて生きてきたんだ。

"あの 夏の 光と影は どこへ 行って しまったの"

光と影。
まさに映画だ。
まぎれもなく、僕が焼き付けられた映画のはずだ。
それを僕は見れない。
あまりに馬鹿馬鹿しい偶然から、目にすることが出来ない。
かろうじて、あと一回チャンスがある。
だけど・・・また駄目になりそうな気がする。
どうせ仕事が入るだろう。
一週間丸々空いていたって、きっとその日に限って、もう滅多に巡ってこないAV男優としての役目がまわってくるだろう。
よりにもよって・・・どうしようもなく、よりにもよって・・・。
僕はやはり"生涯AV男優"らしい。
それ以外、全ての社会から、あらゆる人間の交わりから、僕は一生隔絶されていくらしい。
僕の映画は、どこへ行ってしまうのだろう?
僕の、僕自身である人生の光と影は、どこへ逝ってしまったのだろう?

"悲しみ さえも 焼きつくされた
あたしの 夏は あしたも つづく"

そしてもうひとつ、僕はある宣告を受けた。
あまりに突然に、僕は一瞬で奈落に突き落とされてしまった。
この部屋を出ていけ、という。
お前のこの部屋が失くなるから、黙って立ち去れ、という。
僕にとって、現在のこの部屋は、まさに唯一の隠れ家だった。
絶対の一人になれる、この世でたったひとつの安息の逃げ場だった。
そこが無くなってしまう、という。
もう、どこにも、ここまで僕を静かに、あらゆる面で都合よく、包み込んでくれる空間はありえない、と確信していたのに。
ここだけが、僕をかろうじて守ってくれる、終の棲家だと信じていたのに。祈っていたのに・・・。
それが無くなる。
僕の前から嘘でも冗談でもなく消えて、なくなってしまう。
こんなに、突然・・・。

"打ち上げられた ヨットの ように
いつかは 愛も 朽ちるもの なのね"

この部屋は僕のヨットだった。
漂流の果てに流れ着き、至上の無人島にしがみついてくれていた、僕の愛艦だった。
それが朽ちたのだ。
5年にも満たないうちに、地上の風に払われてしまうのだ。
じゃあ一体、僕はどこへ行けばいいのだ?
もう一度、いや今度こそ何ひとつ命綱も錨も帆柱もないまま、どこかへ打ち上げられろ、というのか?
これ以上の無人島なんて、僕には見つけられない。
もう、再び漂流して、ゼロからやり直す気力なんて、今の僕には、それこそ朽ちて、千切れて、ひと滴も、残ってやしない。
一体これは何だ。
この唐突な、理不尽な、他人からしたらまったくとるに足らない、状況の急変は、運命の戯れ事は、まったくどういうことなのだ?
どこへ行け、というのか。
お前なんか、どこで朽ちろ、と誰が言ってるんだ?

"あの 夏の 光と影は どこへ 行って しまったの"

夏がなくてもいい。
青春なんて、どこにも拾えなくて構わない。
ただこの部屋は、どこよりも僕が長い時間を過ごしているこの部屋、つまり僕の最も生きている、息をしている光と影の溜まり場は、他のどこにもないんだ。
絶対に、きっと、必ず、代わりは見つかりそうもないのだ。
それにもう疲れた。
新しい、僕だけの部屋を探し出すエネルギーは、とっくに枯渇してしまった。
今さら、どうしろ、というのだ。
こんな僕に何をさせようというのだ?
自分の姿を見る機会さえ与えられない不運な奴に。
笑殺の価値すらない、下劣で卑小な、ツいてなさすぎの、ろくでなし、に・・・。

"想い出 さえも 残しはしない
あたしの 夏は あしたも つづく"
                作詞・吉岡治 作曲・むつひろし 唄・石川セリ

そう、それでも人生は続くのだ。
朽ちようと、忘れられようと、打ち棄てられようと、僕の人生は、まだ続いているようなのだ。
笑われるために?
無視されるために?
何もしてあげられませんが・・・と、笑顔で排除させられるために?
僕が死ねば、僕は終わる。
誰も僕を思い出したりなどしないのだから、いなくなった途端、僕は一欠けらも、残しはしない。
僕が生きていたことさえ、その瞬間、消え去ってしまうんだ。
僕という人間など、どこにもいなかったのだと、完全に断罪されてしまうのだ。
もうすぐ倒壊される、僕のこの部屋のように。
それが分かっていながら、死ぬほど、嫌というほど分からせられていながら、僕の人生、僕の夏は、僕の命は・・・明日も続く。
多分、何の理由も意味もなく、明日もまた引きずられていく。
自分の映画も見れないだろうに・・・己の寝ぐらも・・・地獄しか待っていないだろうに・・・。

今はただ、風邪が苦しい。
こんな時期にひいてしまった情けない疾病に、一人まいっているしかない。
たかが風邪だ。
どうせ不幸だ。
まったく大したこともない、と蔑まれるだけの、僕の耐え難い痛切だ。
しかし、僕は、ひとりなんだ。
ずっとずっと、ひとりで、生きることを強いられてきたんだ。
誰からも、何もしてあげられませんが・・・。
すべては、僕のせいなのだろうか。
だのに死なせもせず、さらに苦しめ、とばかりに僕を鞭打つ他愛も無いこの業苦は、誰に向かって叫べばいいんだ?
何を祈って泣けば、いいんだ?
死ね、死ね・・・と、わめいている。
僕を取り巻く、総ての"敵"が、嘲笑の河岸から僕の首を絞めてくる・・・・・。


「僕は毎日のように孤独な気持ちになる。仕事をしているときの仲間とか、そういう人達だって、結局は敵だもんな、そういう孤独なときに、蔵原、神代とかいったかつての先輩たちを懐かしく思うこともあるけど、あの人達だって僕とはまた違うしね。やっぱり抽象的な"神"のようなものが支えになるのじゃないかな。でも生きているうちに、自分の思いのタケをさらけ出したいといった、そんな気持ちはあるよね。だから映画を撮りつづけていくんだよね」
                                  藤田敏八  1997年8月29日 逝去

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
風邪ひいちゃったんですか? 
いくらかよくなったのでしょうか。
みなみ優
2007/09/04 15:27
初めまして、私は福祉の仕事をしている男です。
辻丸さんとは逆に、理由もないのに「いい仕事してますね」とか
「えらいですね」などと、初対面でも言われます。
でも、私とあなたとで、どこが違うでしょうか?
あなたは私より有名で、多くの人にわくわくするような楽しみを与えています。
そして今後も努力次第でより感動に近いものを私たちに与えられる可能性がある仕事をしていると思います。
人はやはり基本的にみんなひとりぼっちだと思います。
他人の評価なんて本当は関係ない。
自分への自分の評価がすべてだと感じます。
今後のますますのご活躍期待しています。
もっともっと、言葉で女性の羞恥心をいたぶってください。
わたしは、いや私たちはあなたにそれを期待しています。
最後に、ご存知かもしれませんが、ある詩のタイトルを紹介しときます。
作者不詳なのですが「足跡」という題の詩です。
一読されることを、願います。
では・・・。
ちょっとしたファン
2007/09/21 06:41

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