AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS WWE12〜悪魔の観衆?〜

<<   作成日時 : 2006/06/30 18:32   >>

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2004年のビッグマッチ「サマースラム」をDVDで見た。
何とも奇妙な大会だった。
試合や構成がおかしかったのではない。
変な観衆だったのだ。WWEらしからぬ?天の邪鬼ファンが群居していたのだ。

舞台はカナダ。もう何度もWWEが過去にビッグイベントを開催した常連の地だ。
それなのにどうもおかしい。前座は別に大した異変もなく順調に進行していたが、前半終了あたりから、何かファンの歓声が怪しく迷走する。
まず御当地出身の若手スター、エッジへのブーイングだ。
3ウェイ(三人同時に戦う形式)のタイトルマッチで、エッジは唯一のベビーフェイス・・・のはずで、事実入場時には歓迎の黄色い声が飛び交っていたのだが、試合が進むにつれて何をやってもブーイング、それもどこか白けた、からかい罵声。
別にエッジが意識的にダーティなファイトをしていたわけではない。キザったらしい正統派スタイルを見せつけていたのでもない。
良くも悪くもごく普通のファイトだったのだ。残る二人のバティースタとクリス・ジェリコにしても技中心のスピィーディーで目まぐるしい、いかにもオーソドックスな3ウェイマッチだったはずだ。
それなのに自然発生的に沸き上がった地元選手への嘲笑。
ベテランのジェリコに対してさえ、後半には似たような揶揄がふりまかれる始末。
彼にしてもヒールとはいえ、れっきとしたカナディアンなのだ!
結局、当時では最も憎々しげヒールであったはずのバティースタへは大した罵声も飛ぶことなくフィニッシュはエッジの見事なスピアが決まり、タイトル奪取。
と、それまでのタルいブーイングを忘れたような、といってひっくり返るようなパッションもない定番の賞賛スコール。
一体観客はこの試合をどう楽しんでいたのか?
凱旋スターをオチョくるようにもて遊んで、本当に満足していたのか?
どうにも後味のよろしくない試合だった。こちらも同じ観客であることの違和感が、WWEならではのストレートな娯楽性を無惨にも汚染していた。

その後はまた普通と言えば普通の、しかしどこか冷めたような一万以上の視線を浴びながら、スーパースター達はそれぞれの役割を全力でこなしていく。
妊娠した?女子レスラーとの結婚を賭けた、ケイン対マット・ハーディの”死が二人を分かつまで”マッチ(凄過ぎるネーミング!)。
珠玉の名人対決とも言えるカート・アングル対エディ・ゲレロの純生レスリングマッチ。
不良キャラで人気爆発のジョン・シーナがベテラン、ブッカーTに金星をあげた出世試合。
しかし一度は鎮静したかに見えた魔のカナディアンフーリガン達は、やはりいつまでもおとなしくしているタマではなかった。
トップヒール、トリプルH対おバカキャラ、ユージーンのある種フリークマッチにおいて、待ってましたのブーイングはやっぱり当然、愛すべき人気者ユージーンへ集中。
滑稽ファイトで売っている彼の試合が冷たいブーイングに包まれれば、その一挙手一投足がわざとらしい不快モードに堕してしまうのは自明の理。
確かに強引なマッチメイクではあったろうが、目の前で起こること全てを徹底して楽しんでやろう、というのがUSA気質ではなかったのか(あっカナダ人か。でも同じ白人だろうに)。
みすみす盛り下がるようなムードを自らこしらえようとする、この日の観衆の偏屈ノリはやはりどこまでも理解不能。
そしてトリプルHの貫禄勝ちで試合終了となるや、またも手の平返したようなユージーンへの温かい拍手拍手。
どっちつかずのこのヒネクレまくったような集団心理は一体どういう土地柄なのか。それともたまたまこの日だけの、単なる恐ろしき偶発なのか。
思えばこの大会で最も普段通りの反応を受ける仕事をしたのが、生真面目ヒールのトリプルHだったとは・・・この日の観客は本当に、どういうWWEマニアだったのか。それくらい当時のWWEは、内外共に酔狂しまくっていたのか。

そしてこのおぞましき混乱が頂点に達したのがダブルメインイベント第一試合。
復活墓掘り人ジ・アンダーティーカーが悪の証券マン、JBLの持つタイトルに挑戦したWWEチャンピオンシップ。
何と試合途中から唐突にウェーブが起こったのだ。そんな予兆も何にもなく、自然発生でも極地的騒乱でもなく、いつの間にか、まったくのデタラメにその馬鹿騒ぎが会場を席巻してしまったのだ。
この時ばかりは天下のスーパースター二人が何と気の毒にして、当たり前の人間らしく見えてしまったものか。
もちろん二人はそれぞれのキャラとファイトスタイルにあくまで邁進し、微動だにしていなかったのだが、テレビ映像を圧倒する不穏な空気の中では嫌が応にも浮きまくって、哀れな孤絶舞台を務めるのが精一杯。
とんでもなく退屈な試合展開だったわけではない。第一それならそれで、強烈な雑言を叩き付けるくらいのパワーは幾らでも有り余っている観客のはずだ。
それがどういう皮肉かイヤミか、悪意の果ての愚劣な仕打ちか・・・WWEの会場で初めて見たウェーブがこんな醜悪な形で噴出しようとは・・・。
僕は何かの呪いを感じた。
この日の大会は何から何までもが、とにかくおかしくて忌まわしいムードに包まれた悪夢の厄日だった。

かくて迎えた最終試合は二十三歳にして史上最年少チャンプとなった三世レスラー、ランディ・オートンの涙の戴冠マッチ。
小悪党な若造ヒールから、実力で勝ち取った世界最高峰のベルトによる、ニュースターの誕生。
確かに感動的なエンディングだった。レスラーの血を受け継いできたサラブレットにとってそれはアングルを越えた感涙のドリームカムズトゥルーだったことだろう。
だが、この日の観衆の中にあっては、どうにも素直にその感動に浸る気分には成り切れない。
この時ばかりは歪んだ嬌声一切無しの真っ当な声援に満たされた会場ではあったが、もう散々揶揄されてきたこちら側としては、最後まで単純に娯楽感性を解放出来なかったのが、何とも悔しい限り。
屈折とまで言ってしまいたいほどのねじ曲げムードによって、ほとんどブチ壊しにされてしまった、結局そんな真夏の祭典だったのだ。
興行は水もの、とはよく言われるが、ここまで大衆の自虐的意識によってかき乱されたイベントも珍しかったのではないだろうか。

こういうこともある、と割り切って見るにはWWEは巨大過ぎる。揺るがない帝国としてのカリスマ性と絶対的な信用が、この手の誤算を、どうしても許しがたいものにしてしまっている。
それもこれも、壮大と化したものゆえの悲劇だろうか。
頂上を極めた選ばれしエリート群のみが持つ宿命だろうか。
とすればこの日の観衆1万7640人は、神の領域に対しての怖れを知らぬ叛乱軍だったのかもしれない。
本人達の自覚しないまま発作的に蔓延した、倒錯のレジスタンスだったのかも分らない。
するとこれは稀に見る貴重な大会だったのか。
それとも我々はこのような形の集団催眠的な恐怖を、いついかなる場所で体感するかもしれない悪魔性を秘めた暴徒なのか。
WWEは、やはり深い。
僕はこんな地獄の迷宮を味あわせてくれるエンターティメントゾーンを、他に知らない。

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