AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

アクセスカウンタ

zoom RSS 己を見た・・・前編。

<<   作成日時 : 2006/06/15 09:22   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

またも見た。
「AVアイドルを舞台に上げてヤジとイジメで犯しまくる 3」(甲斐正明事務所)
今度は自分だけを見た。己が映っている部分だけを苦々しく辿った。
こうなるともうAVじゃない。自分で自分をヤジるために、向かい合ってるようなものだ。

一対一と違って、他の人に続いて言葉責めする場合、頭の中は状況を追ってフル回転している。
自分だけなら白紙の世界から始められるわけだが、先に何人かの発言があった場合、すでにある程度のカラーや方向性が出来上がっているからだ。
僕はそのムードを壊す場合もあるし、後押しする場合もある。
ただいずれにしてもその流れに何かインパクトを、特に具体的な何物かを投げ込んで波紋を起こそうとは、いつも強く考えている。
そのためには状況を冷静に分析し、その方向性を吟味しながら逆転の発想めいたものを瞬時に発掘しなくてはならない。
つまりキーワードだ。それもより迫真性のある、やや掟破り的なパッションがなくては影響力を持たないわけだ。
ただし、しょっぱなから殺し文句や切り札を出してしまっては、後が続かない。徐々に盛り上げていけるよう、小出しが可能なように、頭の中で整理して、カードの出し順を決めておかなければならない。
人の話を聞きながらだ。女優との会話を検証しながらだ。
すべてのキーワードは、女優を通じてしか発せられない。
僕はそれを拾い集め、床に並べ、卑しいまでの妄執でもって、己のエサに変えてゆくしかない、猟犬、いや野良犬なんだ。

具体的な突っ込み所の第一は、小さな部分に着目すること。
彼女の場合はマイクだった。ただでさえ声が小さいのに、一向マイクを口元に近付けない態度を僕はまずナジり、その不真面目さを糸口にして責めた。
こういう小さな行動上のミスにケチをつけるのは意外と誰もやらない。大したことではない、と世間一般では見過ごされがちのようだからだ。
ましてAV女優の多くは現場ではチヤホヤされていて、そういう常識的な注意などあまりされない。よってすっかり鈍感になっている頭には、このテの突っ込みは、まず困惑しやすいのだ。
もっともこの時の僕は彼女への加虐だけに集中して、このネタを第一に持ってきたわけではない。
以前書いたが、僕の付き合った数少ない女性との会話でこれとよく似たケースがあった。それは電話でだったが、別れ話めいていた関係上、とにかく彼女は終始くぐもった低い声でボソボソと、一人ナルシスにしゃべっていて、僕にはほとんど聞き取れなかった。
聞こえないよ、もっとはっきりしゃべって・・・四五回僕はこう言ったはずだ。けれどその人の口調はとうとう変わらず、ゴニョゴニョの自分に酔っ払いぱなしで、僕は決定的に彼女との距離を確信してしまった。
相手がいながら、ひたすら自分の世界に浸って悲劇の一人芝居に恍惚とするのは、まさしくエゴだ。おぞましいまでの偽善と高慢だ。
僕はその憤怒を仕事でもぶつけてしまった。自分の体験からにじみ出た憎悪を、目の前のお目出度いヒロインにぶちまけてしまった。
僕の言葉責めは決して普遍性に満ちた冷血な論理によって支えられているばかりではない。
むしろこのような、私的感情の積み重ねが、偶然のきっかけによって爆発することも珍しくないのだ。
それは僕の総合的な女性不信、人間嫌悪に由来しているのだろうか。
裏を返せば、過剰なまでの女性憧憬、人間飢餓に帰結すると、エゴにまみれて自問することもあるのだが・・・。

ともあれこういう突っ込みは所詮きっかけ作りでしかなく、女優は大抵その程度では大してたじろぐこともなく、むしろ開き直るケースが多い。たかがマイクじゃないの、てなもんで、あくまで自分の主張、私は本気だ、を揺るがす素振りは見せない。
だがそうきてくれると、こちらの次のキーワードが返って生きてくる。
この子の場合は、本名公表の追求だ。
もちろんこれはAVにおける最大のタブーのひとつであり、僕も滅多に使うカードではないが、作品の求めるドキュメント性のレベルによって、こういう風に切ってみせることがある。
本名ウンヌンまでプライベートに突っ込んで大丈夫か?
事務所的に、監督的に、女の子的に・・・つまり覚悟の問題であって、大袈裟に言うなら僕はここで、本作に対しての踏み絵を行ってしまったわけだ。
ここでNGなら、そこまでのドキュメント。
ここをクリアするのなら、並のレベルではない本気AV・・・。
結果、彼女は本名を名乗り、ついで一番愛する祖母の名前まで口にしてしまった。
どうせピーが入るだろう、という揶揄を自覚しながらも、僕にはちょっとした達成感があった。一瞬静まりかえった場内に、少なからぬ優越感さえ覚えていた。
この作品はここまで真剣なのだ。監督も女優もこれくらい、マジの勝負に挑んでいるのだ。
同時にそれはAVというものの、AV女優というものの、どうしようもない愚かさを表出してしまっていたのだろうが、僕はまずここから始めなければ、あるいはやや単調で弛緩気味の論争にこういう形で活を入れなければ先へ進まない、と狙いすましての爆弾投下だった。
彼女は哀れにもそれに乗って、さらなる侮蔑を呼び込むことになってしまうのだ。
しかし・・・僕はそこまで予想しえてはいたが、ほんの一瞬の躊躇の末にプライベートを告白してしまったハタチそこそこの女の子への罪悪感を、その時も、半年経った今もなお完全に拭うことは出来ないでいる。
完成した作品には、当たり前としてピーが入った。そもそも本当に実名を明かしたかどうかだって、我々には確かめる術はないし、それで全然いいのだ。
ただ一人の追い詰められたAV女優が、タブーをタブーと自覚しないまま、無防備に犯してしまった。
それは中出しやら露出やらよりも、僕にとっては罪であり、また彼女の幼い業だと感じざるをえないのだ。
そんな目に合わせた己の冷静な奸計ぶりに、僕は改めて呆然としながら画面を辿っているばかりだ。

それでも現実の撮影は停まってくれるわけではない。
次なるキーワードは、”おばあちゃん”。
AV女優には、愛憎入り乱れた核となるべき人物(多くは親族だが)がよく存在しているが、彼女のような場合、それは泣かせどころであり、また残酷な日常的現実を浮き彫りにする象徴ともなる。
誰よりも大切なおばあちゃんが、でもたとえ理解してくれなくても、どんなに悲しんでも、AV女優はやめない・・・不特定多数の他人に対しては体を張って喜んでもらうことを願いながら、最も愛する身内には断固として悲痛を乗り越えてもらおうと祈る、大いなる矛盾。
理解してほしい、喜んでほしい、愛してほしい・・・底知れない甘えと依存。
結局は、とにかくカネでしょ?
自分さえよければ周りはどうなってもいい、と?!
僕は激しく彼女を追い込みながらも、カネや無責任が決して彼女の本意でないことくらいは充分分っていた。
それが嫌というほど理解出来るからこそ、AV女優にこだわる彼女を罵倒した。
なんで今回はあなた一人なの?
あんた、馬鹿!
馬鹿とは無論、子供という意味だ。肉体をほっぽらかして、子供のまま成人産業に紛れてしまったことへの憐れみを込めた糾弾だ。
それはイコール悪しき男達の世界、欲望と虚飾に満ちたAV業界の糾弾にも繋がる。自己批判を含めた呪わしい暴露にも連なってゆく。
子供であるAV女優を売り物にして稼ぎ、その幼児性を嘲笑する欺瞞と驕慢と、廃頽・・・。
僕の言葉嬲りは終局、この地点に到達する。
本名や涙を通過した果てには、際どい体制批判へ鉾先が転化してしまう。
いや、それはAVにおけるドキュメントとしての必然ではないのか。それを自らが言葉にして告発する自虐な奴がいるかいないかの違いなだけで、こういう女優イジメのガチンコ作品では、視聴者の意識に当然叩き込まれる汚辱の挽歌ではないのか。
僕はあえてそれを自演してみせることで、アイロニカルな苦渋をさらけ出してみせているだけではない。
作り手が白状することによる見るだけの側への挑発・・そこにそうしているあなた方は、どういう立場でいられると言うのか?
僕は彼女に、責任とれよ、と絶叫した。プライドは、本音は、とわめきちらした。
一言の反論も差し挟む余地を与えず、ここぞとばかりに怒濤の勢いで、咆哮した。
ターゲットをあくまで女優に絞るという展開へ戻すための強力な舵取りではあったが、それだけのつもりでは、もちろんない。
責任は、すべての人間にある。
今この状況は、すべての人間によって作り上げられている。
馬鹿なのは、皆。
子供、いや餓鬼なのも皆。
同時に歪んだ大人なのも、皆。
責任をとるべきなのも、皆。
一人残らず、罪がある、過ちがある、甘えがある、そして愚劣である・・・。
僕は彼女へではなく、すべての人間にこうアジっていた。彼女を含めた全ての反論を一切許さない、あれは僕の傲慢なる呻きなのだ。
                     

前半はここまで。
僕が舞台に上がる後半は、また来週にでも・・・。






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
己を見た・・・前編。 AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる