AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 続・AVとは何か?

<<   作成日時 : 2006/01/05 20:09   >>

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再び、AVとは何だ?
とっくに世間様は仕事始めだというのに、僕はまだこの辺りでウロウロしている。
仕事が始まらない。だから考えるしかない。
AVとは、何か?僕は、何か?

去年、やはりこんな現場があった。
スタジオ入りしたらすぐ渡されたシナリオ。やたらとセリフが多い。普通の半分の版型、ほとんど文庫本並の小冊子にびっしり書き込まれた会話の山。
頭をかかえた。たったワンシーンとは言え、まさかワンカットでいくはずもなかろうとは言え、これはキツかった。キツいと思った。
トシのせいかセリフ覚え悪いし、棒読み芝居してると段取り忘れてしまうし、だからこんな・・・と、読み進んでいくうち、ちょっと印象が変わった。
こりゃどう言うんだ?何かこそばゆい気分に襲われてきた。苦笑いを含む、柄にもない羞恥の感情に見舞われてきた。
このセリフ、このしゃべり、このキャラクター・・・ひょっとしての、疑念が湧いた。まさか、と感じつつも、怪しさと自嘲の困惑が拭い切れなくなった。
これは、俺だろう。
俺のための、いや俺しかないセリフだろう。
だってこれは俺だから。
俺くらいしか、こんなしゃべり、やらかさないから。

平凡な職人の役だった。
有閑マダムに馬鹿扱いされ、一気に激昂して犯してしまうという設定だった。
何気ない一言にぶちキレる性的プロレタリアート。
男はこんなことを言うのだ。まくしたてるのだ。
”ひでえよ、奥さん。こんなにバカにされたの初めてだよ、生まれて初めてだよ。
そりゃどうせオレは、貧乏育ちの中卒の、無学で能無しで、毎日泥の中這いずり回って働いてさ、クタクタになって汚い狭い寒いボロアパート帰ってさ、安い焼酎かっくらってAV見てさ、オナニーしてさ、そんなことしか楽しみがなくてさ、たった一人でひっくり返ってウジウジグジュグジュ、不貞腐れてはオダ上げてさ、いいトシして独り者でさ、なーんも世間の役にも立たなくてさ、ダーレもオレのことなんて相手にもしてくれなくてさ、それどころかどいつもこいつもコケにしてさ、クズ扱いしてさ、とっとと死ねってなもんで、そりゃあ、こんなどうしょうもない、みっともなくて情けなくて、ミジメったらしくて、カスみたいなさ、ゴミみたいなさ、それがオレだよ、こんなオレだよ、蛆虫だよ、蛆虫みたいなオレだよ!
でもさあ、でもよお、オレにだって、こんな最低の奴にだって、意地ってもんが、プライドってもんが、オレにだってさ、あるんだよ、蛆虫には蛆虫なりの、ちゃーんとあるんだよ!・・・それを奥さん、アンタ、奥さん、ひでぇよ、メチャクチャだよ、アンタはさ、オレのプライドをさぁ、踏みにじったんだぜ、ズタズタにしてくれたんだよ、ズタズタにさ、ズタズタにだぜ、ズタズタ、ズタズタ、えぇ?ズタズタなんだよ、えぇ?どーしてくれんだよ、オレのプライド、蛆虫のプライド、えぇ?どーすんだよ!ズタズタ、ズタズタ、ズタズタ、ズタズタァー!・・・”

このテの本物だったら、かつてのV&Rプランニングの作品でよく見かけた。「特殊男優」と呼ばれる、素人の応募男優によくこういうタイプがいた。
普段は極めておとなしく、むしろ朴訥なくらいなのに、一旦ネジが外れるや、もうどうにも止まらない。周りがまったく見えない。撮影もヘチマもない。
そして相手の女優にしゃべっていない。誰にもしゃべっていない。
一人で、自分の中だけで会話している。自分にしゃべって、自分に怒って、自分に吐き散らして、自分にまいってしまう。
自分のことだけをひたすら語る。自分の世界だけを絶対のように謳う。自分の訴えだけを執拗に、どうしてほしいとも一言も口にせずに、わめき続ける。哭きじゃくってみせる。
ただもう、自分をさらしまくる。
同じことを、わかったことを、それだけでしかないことを、何度も何度も、うんざりするほど延々、馬鹿みたいに・・・しつこく・・しつっこく・・・。

だが、彼等は芝居ではなかった。与えられたキャラクターではなかった。
一方僕は、この僕は、こんな長セリフをもらって、自虐まがいに、これは俺だ、こいつは俺だ、と納得している僕は、こんな馬鹿の、こんなアホの、こんなどうしょうもない、みっともなくて、情けなくて、みじめったらしくて、人間のクズの、どん底の蛆虫の、こんな汚らしい駄目な奴の・・・何なんだ?一体何なのだ?
僕はクズか、本当の蛆虫か。
こんなオダを、こんなタワ言を、意識して、自覚して、自分の言葉として紡ぎ出して、僕は何が言いたいんだ?
誰に何を訴えたいんだ?
自分のみじめさ、どうしょうもなさ、それをわめいて、当たり構わずわめき散らして、いつまでも、延々と、飽きもせず、叫んで、呻いて、哭きはらして、これが僕なのか、これが俺なのか、そう、これがアンタだ、これが間違いなくアンタだ、アンタという人間だ、我々の知ってるアンタの正体だ、成れの果てだ。
そうだろう?
そうとしか言えないだろう。否定出来ないだろう?
だってアンタは書いてるじゃないか、毎日毎日、呆れ返るほど、書き散らしてるじゃないか?
こんなことを、こんな無様で、みっともない、泣き言を、タワ言を。
違うのか?違うってのか?
俺じゃないってのか?
俺はこんなみじめな奴じゃないってのか。クズでも蛆虫でもないってのか?
嘘つけ、嘘をつけ!
さっきの顔は何だ、苦笑いは何だ。シナリオに目を通した時のあの表情は何だ。
思わず歪めてみせた、あの降参の、素直な、正直な、アンタそのままの、素のアンタの、アンタって人間が、隠しようもないアンタという人間の顔が、そこにあったじゃないか!そのセリフにあったじゃないか、その役にナマ剥き出しで、あったじゃないか、アンタじゃないか、アンタがあったじゃないか、このAVは、やっぱりアンタじゃないか!。

男優を想定してシナリオが書かれることは、ままある。僕の場合は、特に責め方のキャラクターを僕に合わせてくれることが、よくある。
いや、最近は、良くも悪くも、僕ならでは、の仕事がほとんど。
それは、ありがたい。好き嫌いは別にして、自分の個性を重宝してもらえるのは、やり甲斐を感じられる。
しかし、とうとうここまで来たか、と・・・。
僕が常日頃、ブツブツブツブツ、一人ゴチている空念仏まがいを、作品の中で再生させようという、物好きな御仁が現れたのか、と・・・。
ちなみに監督は若手の人である。
「まだ、自分の好きなものを撮れる立場じゃないもので・・・」
充分、好きなことをやっている。いや、やろうとして、大いに牙を磨いていらっしゃる。
監督は僕のこのブログを見て、あのセリフを書いたという。僕の甘苦しい予想通り、僕に用意されたセリフは、逃げも隠れも出来ない、僕自身が背負うべきタチのものだったのだ。
僕の口から発するしかない、僕の言葉だったのだ。

AVは、監督のものだ。セリフも監督の言葉だ。
しかし、僕のAVでもあり得るのだ。僕の言葉が、AVの放つ言葉にもなるのだ。
作品として面白いか、AVとしてヌけるか。今は問うまい。問う気もない。
このAVは僕だから。僕が、AVになれた現場だったから。
それだけで僕は、AVとは何か?わかれたような気に、させてもらったのだから。

V&Rの彼等は「特殊男優」ではなかった。
彼等こそが、「AV」男優だった。
そして僕も、相変わらずの、ありのままの、AV男優であるのだ。



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