AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS WWE7〜悪が悪を裁く〜

<<   作成日時 : 2006/01/30 19:41   >>

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昨年十二月五日放送分のテレビショーを見た。
実に単純な構成の回だった。
悪が悪に裁かれる。これぞWWE!
大衆至上の、剥き出しエンターティメントが、またもそこにあった。

今回の放送では、実際の試合は二の次。
長きに渡って悪のゼネラルマネージャーとして君臨したエリック・ビショフを解雇するか否かの裁判ストーリーが、二時間生中継番組を完全に支配していた。ここまで一貫した起承転結ドラマが番組のメインを張るのも久々かもしれない。
それくらい、かつてのライバル団体WCWのリーダーだったビショフの追放劇というのは、おいしいネタだったわけで、悪のGMもそのヒールとしてステイタスを誇るべきだろう。
とは言え、ハナっから結末の知れた裁判物だけで、二時間も引っ張ってしまうWWEの底力には改めて感心する。
そしてその原動力とくれば、やはり世界最大のプロレス団体における絶対不滅の主人公、ビンス・マクマホンにトドメを刺すしかないだろう。

番組冒頭にその勇姿が現れるやいなや、リングサイドの観客は大袈裟なる神への祈りを捧げる。
WWEにおいては、ビンスこそが神なのだ。
しかも、悪のゴッドファーザーであるのだ。
よって、当然の如く裁判長はビンスオーナー。
悪が悪を裁く。二時間もかけて試合そっちのけでジワジワ吊し上げる(そのほとんどのやりとりは会場設置のオーロラビジョンの中。つまりショーの大半、リング上は無人のカラッポなのだ)。
WWEは悪が活躍するショーだ。悪が天下の、無法帝国なのだ。
こんな国は、世界中、どこにもない。中途半端な独裁国家は至るところに存在するが、ここまでデタラメに悪が栄えている御国はない。
WWEの魅力はここなのだ。
これがWWEプロレスの哲学なのだ。
そして世界中の大衆が支持する、肉体と快楽の桃源郷なのだ。

ドラマだけではない。試合の方も普段ならハッピーエンドとバッドエンドの巧みな交互作用で観客を満足させているはずなのに、その夜は違っていた。
オープニングマッチの3ウェイタッグバトルを大巨人&怪奇派が圧倒的な強さで制し、続く女子シングルマッチではお下品セクハラチームが悪辣な手段で、キュートアイドル系新人を下してしまった。
一服の清涼剤的に、先日急逝した名レスラー、エディ・ゲレロの甥チャボ・ゲレロが、正統派として伯父のフィニッシュホールドで勝利を天に捧げてみせたものの、どこか地味ジミなインパクト。
案の定、この日の、と言うよりWWEそのもののガラではない、とせせら笑わんばかりに、その後とんでもないコーナーが中締めに控えていた。

世界中からバッシングを受けるモノ本の不倫カップル、エッジ&リタのトークコーナー”カッティング・エッジ”。
本音トークで遠慮なくぶった斬ると息まいたエッジは事もあろうに、ゲストに予定されながら急遽来られなくなったレジェンドレスラー、リック・フレアーを罵倒する。
ヤツは傷害罪で逮捕された。情けねぇ、なんてザマだ、信じられない低落ぶり、お前達の尊敬している男の名声は地に落ちた・・・。
これはフィクションではない。フレアーは本当に現実に逮捕され、その日裁判所に出廷していたのだ。しかも会場はフレアーの地元。
シャレにならない悪口雑言で、エッジ達は超満員の観客のヒートを煽っていたのだ。
そして極めつけは、二人を諌めてリングから下ろそうとした、元レスラーで現エージェントのマイケル・ヘイズに放った一言。
俺を殴るのか?暴れるのは仲間の役目だったな、親友のテリー・ゴディはどうした?テリーは出てこないのか?ああ・・・うっかりしてた・・テリー・ゴディは・・・死んでた。

これもフィクションではない。
マイケル・ヘイズとテリー・ゴディは、かつてフリーバーズというタッグチームで80年代、一世を風靡した。そしてほんの数年前、テリー・ゴディは四十代の若さで病死した。
毎度のことながら、ここまでやるか?!のWWE。
本物の不倫カップルが、実際の被告をコキ下ろし、現実の死者を冒涜する。
しかも堪忍袋の尾が切れて激怒したヘイズを二人はボコボコにしたあげく、神聖なリング上で淫靡にキスしてみせる。
悪の華だ。救いようもない、悪の狂い咲きだ。
だが、ここまでやるから、フィクションが輝く。嘘で塗り固めた法廷芝居が爆笑とカタルシスの渦と化す。
しかもここでも徹底した悪ノリだ。
集められた証人達は、かつて被告とディープキスしたオーナーの実の娘、ヘタうまイングリッシュの日本人レスラー、80歳近くにしてスカート下ろし、ズロース股間を被告の顔面に押し付けた老女レスラー、ミニスカお色気振りまく小悪魔レポーター・・・そしてアラビア語でまくしたてるアラブ系”敵国”キャラ・・・まともな人間一人も出てこないのである。
笑わせるのにもワルのテンコ盛り。病めるアメリカ、イカれた文明社会。
どこまで行っても、醜悪の上塗り。

唐突に組まれたカードでは、不動のトップヒール、トリプルHが日本人タジリに貫禄勝ちを収め、メインではベビーフェイスコンビ、ショーン・マイケルズとシェルトン・ベンジャミンが、セコンドにアラブ系キャラを加えた嫌み金メダリストカート・アングル&傲慢プエルトリカンカリートのヒール組に、やっぱり負けてしまう。
それもラストは主役争いからの仲間割れ、という後味の悪さ。
悪は強くてカッコいい。しかも結束堅く、チームプレーに徹して、一人だけエエ格好したりしない。
これが現実か。
人の世の常なるか。
誰にも否定は出来ない。笑って済ませて・・・いい人間など、どこにもいない。

もちろん真のメインイベントはリング上に戻っての判決シーンであり、ビンス裁判官の決定は、もう言うまでもなくビショフ有罪、即刻クビ。
チェーンギャングキャラで人気爆発のヒーロージョン・シーナの必殺技を食らい、オーナービンス直々の手によってゴミ収集車にぶち込められる悪党ビショフ。
ビンス自らの運転でバックステージへ消える巨大なゴミ収集車が、生番組の完全なラストシーンとあいなった。

今回の放送は、まさに「水戸黄門」だった。
勧善懲悪、天下太平、御存じ裁きで、一件落着だった。
とは言え、WWEの御老公様はビンスである。印籠は・・・ゴミ収集車である。
どこが世直し道中か・・・まてよ、御隠居様だってしょせんは元副将軍、堂々たる権力者じゃないか。そのバックたる徳川幕府なんて・・結局は専制帝国じゃないか。
だからビンスは黄門様なのか。その活躍に世界中のファンが拍手喝采するのか。
巨悪が、小物を裁くのを、ざまあ見やがれ、とシモジモの者共はウカれまくっているのか。
そして頭(ず)が高い、控えおろう!に喜々として従って、我々は満足しているのか。

ラストを締めたジョン・シーナには、現在きびしいブーイングが飛んでいるとか。
エエかっこするな、調子に乗るな、ワザとらしいことするな、偽善者ぶるな・・・。
おいしいとこ盗りする正義派なんて、大衆は滅多に求めていない。
悪が悪のまま、のさばってこそ痛快なのだ。
ワル同士が、好き勝手し合うお馬鹿バトルを楽しみたくて、人々はカネを払うのだ。
本物のベビーフェイスなんて、ありえない。
善玉気取りの輩なんて、一人も信用出来ない。
WWEは、それを知っている。
どんな権力者、為政者よりも知り尽くしている。
だから、負けないのだ。
セガレであり舎弟である大衆のカリスマなのだ。
我々が切望する父は、兄は・・・神も悪魔もやリ過ぎも恐れない、極悪でなければ、もはや誰も納得しないのだ。

そして皆、いつか、喜んでゴミになるんだ。



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