AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 雪の思い出

<<   作成日時 : 2006/01/22 17:04   >>

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雪だった。いきなり昨日は大雪だった。
丸一日閉じ込められた。心地よい隠遁だった。
仕事がないと、雪の日は、静謐なる独居と化す。僕は怠け者だ。寒がりのエセ行者だ。

久々の東京豪雪デーらしい。
僕の記憶では2002年の12月9日にもこんな風に雪景色が覆った。
やけに記憶が細かいのは、よりにもよってこの日が仕事だったから。それも相手女優が、かの倉沢七海チャンだったから。
雑誌付録のDVD撮影だった。彼女とは最初で最後の一対一絡みだった。
キスする寸前の、彼女の艶麗な表情だけ強く覚えている。
本気の香りをさせてくれる博愛のエロティシズムが溢れていた。
彼女は暑い寒いを言わない子だった。
もっぱらH話に終始する、無邪気な下ネタGALだった。
あれはフリかもしれない。営業かもしれない。仮面かもしれない。道化かもしれない。
優しさだったのかもしれない。
七海チャンはあれから二年後に逝った。暑くも寒くもない日に翔んだ。
彼女は雪が好きだったろうか。子供の頃、雪だるまを作ったりして、遊んでいただろうか。

嫌な思い出もある。
やはり仕事の日。朝からやけに冷えて雲ゆきも怪しかった。
製作事務所に集合して、いざ出発となったところで、小雪が舞い始めた。
こんな時に何と野外ファックだという。公園の薮の中で立ちマンしてくれ、と当たり前に言われる。
それだけでも内心うんざりだったのに、監督のこの一言。
「あははー、雪降ってきちゃったぁー(笑)」
冗談じゃない。こっちは脱ぐのだ。ケツを晒すのだ。
底冷えの中、ちぢみ上がりながらヤらされるのだ。
それをからかうなんて。笑い飛ばすなんて。ふざけてみせるなんて。
悪気がないのは百も承知。すべては僕の卑小な精神。
でも許せなかった。断固として聞き流せなかった。笑い返すことなんて到底出来なかった。
結果どうなったかは・・・よく覚えていない。仕事はした。外でヤッた。雪はどんどん降ってきた。
その監督とは二度と仕事していない。

東京は雪に弱い。
僕は知らなかった。僕の田舎では当たり前の降雪で、たちまち電車が止まった。
二十年前からそうだ。
僕はあるAV監督と待ち合わせしていた。ちょっとお茶でも飲もう、という程度の約束だった。
その日が銀世界だった。
僕は午前中、映画館で何か映画を見ていた。外へ出ると白銀の町だった。
約束の時間に監督は来ない。当時はまだ携帯電話もなかったから僕は連絡した。
「カンベンしてよー」
これだけだった。
しかしまだ二十代半ばだった僕は、別に腹を立てなかった。仕方ないですね、と納得して電話を切った。
確か、電車が止まったので、駅三つ分歩いて帰ったはずだ。
若かった。雪など少しも怖くはなかった。

もう一つ記憶がある。
何をトチ狂ったか、ある男優にバク転を教わることになった。
その頃、僕はアクションにハマッていた。バク転くらいこなしたい、と本気で考えていた。
彼はアクションクラブ出身の若手マッチョ系。快く引き受けてくれた。なぜか、某駅ホームで待ち合わせした。
そこで雪に襲われた。ホームの中心線以外、白く溶けてみぞれの川になっていた。
そんなかき氷ロードの上で、僕は延々一時間近く待ち続けた。
次の電車、次の電車と、彼が笑顔で降りてくるのをじっと凍えて待っていた。
電話しても誰も出ない。
向かっている。多分、きっと、もうすぐここへ・・・。
彼は寝ていた。かったるくてずっと電話に出なかった。
約束は雪に埋もれた。彼とはそれっきりになった。
僕がバク転を諦めたから。
セックスマシーンになりたい、と雑誌のインタビューに答えていた彼が、それからじきに引退したから。
でもその時は怒っていた。むかつきながら帰った。
何をしてるんだか。この天気は、どういう因縁なのか。
普通、駅のホームは別れの名舞台だ。
僕にとっては、冷た過ぎるだけの、心の墓場だ。

昨日。
僕は一歩も外へ出なかった。カーテンすら開けなかった。
僕は自分を閉じ込めた。逃げ込むように、自嘲するように、狭い部屋に封印した。
このまま化石になるのも悪くない。
大都会の、雪に埋もれた古い部屋。僕の草庵だ。
僕は都会で仙人を目指す。世捨て人を目指す。乞●庵主を夢見る。
何という欺瞞。
何という、下劣。
僕はまやかしの雪んこの中、ただの腐りかけたワラ人形だ。

”わかれてからのまいにち雪ふる”
”生死の中の雪ふりしきる”
           山頭火

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