AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 女は顔でイくわけじゃない

<<   作成日時 : 2005/11/12 20:41   >>

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その日、彼女の顔はずっと歪んでいた。怪しく崩れたAV女優の顔しか僕は見れなかった。
女を徹底的にイかせる現場。女が感じることしか、しない撮影。それなのに女優は啼きっぱなしだった。彼女のアクメ顔が、最後まで醜いほどに痛々しく見えた。

恥じらいや屈辱で女の顔が歪むのは、当たり前だ。彼女も服を剥ぎ取られたり、あられもないポーズで拘束された時の表情は、眉をしかめ、唇を噛み、頬をねじらせて普通に乱していた。
問題はそれからで、以降は容赦のない連続性感責め、当然彼女の顔は狂おしい快感をひたすら伝えて来るのだが、どうにもそこには女の喜びが溢れない。悦楽に浸っている陶酔ムードが漂ってこない。
もちろん無理矢理好きでもない男達にイカされるという設定なのだから、立派な演技と見ることも出来るだろうが、彼女の上半身をずっと押さえていた僕には、彼女の激しい悶えに、必死の演技などは感じられなかった。
そもそも外でも中でもイきやすい、オモチャも大好き、と面接紙に記入している女優だ。ローター、バイブ、電マ、と性具も揃っていて、責め手のテクも熟練で申し分ない。
つまり明らかに彼女は、芝居ではない本気の快感に見舞われていた。それもひょっとして過去の経験や想像を越えた、強烈な刺激に、とんでもないショックを受けまくりながら、なおヨガらされていた。
だのに僕の目には、彼女の顔はひたすら苦悶にしか見えなかった。苦痛に焙られた、悲惨な悶えにしか写らなかった。
痛いのか?
やめて、ダメ、とは口にする。気持ち良過ぎる時ほど、女はこんな風に言う。
彼女もアエいでいる。首筋まで真っ赤にして火照った息を吐き続ける。そしていよいよ体全体がのたうちかかってくると、「イっ・・、イっ・・」と呻いてみせる。
やっぱりイタイのか?
でも違う。イくぅー、のイであって、そのふたつ目の文字さえ言葉に出来ずに絶息する。
顔はただただしかめっぱなしだ。串刺しにされて抉られ続けているような、断末魔の叫び面だ。
女のアクメ顔なんて散々見下ろしてきた。
にしても、彼女の顔はあまりにリアルな痛がりようだった。
気持ち良くないのだろうか。気持ちがいいのは本来、女にとって苦痛でしかないのだろうか。

正直、彼女に対しての思い入れがさほどなかったことは事実だ。カメラ前以外ではほとんど会話しなかったし、設定上、意識的に距離を置いていたこともあったが、それ以前に彼女のホノボノ顔にはあまりソソられなかった。年々ひどくなる僕のヒネクレ性癖は、癒し系のあったかムードや、単体女優的な営業調の明るさ爽やかさを、どうも素直に単純に受け付けられなくなっているらしい。
やはり思い入れがあれば女優の悲痛な表情にも切なる慈愛を覚えることがある。被虐に耐える捕われの女に、倒錯した甘美を味わうことが出来る。
だが、それらいつもの極私的な情念が、まったく膨らんでこないほどに、彼女の顔は乾いていた。官能のロマンよりも、拷問の激烈さだけをストレートに表す、剥き出しのアイコンだった。
”その痛苦と快美感の狭間で脳乱する女の姿こそ、最高のエロだ!”
AV的にはなるほどそうだろう。事実、カットは一切かからなかったし、むしろ彼女のヨガリッぷりに煽られたごとく、道具も攻撃もエスカレートし、寸止め地獄に底無し絶頂、あまりのクラッシュぶりに四人がかりでも押さえきれなくなりそうなアクメパワー大痙攣がたっぷり映像化されたことは、間違いない成功だった。
要するにまたもひとり黙考遊戯に浸りまくるのは、言葉嬲りと睨めっこ専門の孤愁男優。
どうしてあんなに苦しそうなのか。何があそこまで彼女の顔を、いびつにねじ曲げてしまったのか。
考えても仕方ないことばかりに、毎度毎度厄病のごとく取り憑かれてしまう。

男だって痛い苦しいと喚くみたいな顔でヒーヒー哭きまくる奴はいくらでもいる。
しかし男のゴツゴツした顔つきをもってしても、痛みに勝る快感の香華は、その表情から充分読み取れるもの。女性ならなおのことで、美しさに彩られた過激な陶酔の様が、妖しい淫臭を、これでもかとばかりにまき散らすはず。
では、彼女のどこがそんなに違っていたのだろうか。
腰を浮かせ、全身を仰け反らせ、涙目をひんむいて、彼女は咆哮した。
視線の先には僕の不浄な顔があったろうに、彼女は虚空を睨み、自分の絶叫だけを頭に木霊させながら何度も何度もイッた。
実に痛そうに、しんどそうに、辛そうに。
美しく見えなかった。ヌくことをためらわせる、場違いな生々しさが、そこにあった。

彼女は我慢もしていたらしい。といって、だからあんな顔になってしまったという説明は当てはまらない。
彼女はワンプレイで二三回しかイッたことを記憶していない。だが、監督も責め手も、十回以上は軽くイッたことを、間近にもモニター越しにも確認している。
つまり彼女は痛みはもちろん、快感すらもわかっていなかったのか。自分では演技への意識を残していたつもりでも、実は自分のカラダが、今、本当に感じているのか、痛みに耐えているだけか、別の感覚に呑み込まれてわけがわからなくなっているのか、全然判別がつかなくなっていたということなのか。
恐らくそうなのだろう。
僕がどうしても彼女に嗜虐の魅力を感じなかったのは、その性的ノー天気ぶりにあったのだと思う。あまりに無防備で、そのくせどこか、素直で健気な意識が見つけられなくて。
ひょっとして本当の意味で未開発な子なのかもしれない。それ以上に、何か悟ってしまったような肉体を持つ、不幸な女なのかもしれない。

女は顔でイくわけじゃない。
しかしイきそうな、イきたくなった、イってしまった、女の顔は、やはりこの上なく美しい。
安物のアクメが粗製濫造されている昨今のAV業界。
その一方で彼女のように痛みや勘違いによって、最高のアクメを出しそびれ、宝の持ち腐れにしている、性の迷い子もいる。
僕みたいな貧者は、彼女達に何もしてあげられない。すっかり幸福に生きてます、という素振りに憐れみはおろか、自然な好意すら注いであげられない。
痛みを感じているのは、僕の歪んだ心の方なのだろうか。
女を顔でイかせたい、そのくせ股間を操る勇気も情愛もない。
卑怯者の苦々しさだけを思い知っているとは、あまりにみじめだ。





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