AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS AV女優が泣く時

<<   作成日時 : 2005/10/01 20:21   >>

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僕が現場に行くたんびにAV女優が泣く。呆れ返ってしまうが、これは事実だ。
最初から涙が目的のコーナーも、もちろんある。が、ごく普通に怒らせたり困らせたりの表情が撮れれば充分のはずが、結果は大泣きなんてパターンにどういうわけかなってしまう。別に僕が極端な鬼だなんて思ってはいない。それなのに女優は泣く。待ってましたばかりに泣きわめく。僕の方にはちっとも向いてくれないで、一人で泣き、優しい男達に慰められる。

「女の園」(54年 監督木下恵介 出演高峰秀子 高峰三枝子)という映画を見た。封建主義の女子大で、様々な管理抑圧に抵抗の狼煙を上げんとする女子学生達の葛藤のドラマ。正直、古い。親や教師の命令に必死で闘おうとする改革運動的な描き方が、まるで政治思想映画みたいになっていて、あまりにも大時代ノリすぎる。親の決めた結婚に縛られたり、貧富の差で純愛を引き裂かれそうになったり、はては共産党だの再軍備だの、アカなんてセリフにいたっては、やはり半世紀前の一種の社会風俗物。
ただしこの映画には、一人滅法泣きまくるヒロインが出てくる。そのすさまじいまでの泣きっぷりのみが僕の印象に強烈に残っている。

彼女は貧しい恋人との交際を豪商の父親に反対され、無理やり結婚させられそうになるのを避けるため、女子大に入学した。しかしそこでも雁字搦めの規則規律で、勉強の時間を制限され、恋人との手紙は検閲され、学生の自治闘争でも挫折し、とうとう恋人の元へ逃げ込むものの、親や学校がどこまでも追いかけてきそうな重圧に耐えられなくなって自殺してしまう。
こうして、とにかく彼女は泣くのだ。
勉強させてくれない、といって泣き、恋人との関係を蔑まれては泣き、恋人と自由に会えないことに泣き、無理解な父親の叱責に泣き、女教師の冷酷なイジメに泣き、運動でスパイ扱いされたことに泣き、同級生達の中に居場所を失って泣き・・・。
やっと恋人と二人切りになれたというのに、あなたの重荷になりたくない、と死を選ぶ彼女は確かに古典的すぎるヒロインぶりだろう。アナクロ調の悲劇オチが少々ワザとらしくも感じられるだろう。
だが、たとえ現在から見れば滑稽にさえ思える理由であろうと、女は泣くのだ。彼女の哀れな死に、恋人の男だって泣くのだ。
彼女は己の運命すべてに絶望したのだろう。自分を取り巻くあらゆる状況と戦うことに疲れ果てたのだろう。恋人との未来に夢を託す気力さえ奪われていたのだろう。
それは彼女が、今のその瞬間だけを永遠だと信じ込んでしまった若さゆえの過ち、幼さ。
しかし人間が泣き出してしまうのは、まさにそんな瞬間ばかりではないのか。
今、自分の置かれた耐え難い現実が絶対だと勝手に一人で思い込んでしまうから、その苦痛のあまり泣くのではないか。
とりわけ女性という、男性社会つまりチカラ優先の世界における普遍の弱者にとっては、瞬時のヒロイン化こそが、産まれながらの防衛本能であり、宿命的な駆け込み寺ではないのか。

時代は変わっても、思想や感性が変貌しても、女は泣く。悲しくなれば、耐えられなくなれば、いつでもどこでも、誰の前でも泣く。

先日もそんな現場だった。
オープニングのインタビューからその子は泣いた。ちょっと嫌み口調でこづいてみたら、たちまち涙がつたった。次のキモ男優との絡みでも僕に強制されるとすぐに泣いた。五人がかりの連続イラマチオでは、もうイヤァー!と叫んで泣いた。やっと終えて僕との最後のコーナーでは、暴れ回って号泣した。
しょっぱなに泣いちゃったからね。
監督は全コーナーで泣かせようとした。泣く度にマネージャーがスタッフが、総出でなだめまくった。
頑張ろう、頑張ろう、もう少しだから頑張ろう。
大の大人が揃いも揃ってハタチそこそこの女の子を一日中、泣かせては慰め、泣かせてはヨシヨシを繰り返していた。
仕事、ギャラ、カネ・・・。
親や学校や国家に象徴される権力支配は、一応過去のものとなったかもしれない。
その代わり、カネのため、稼ぐため、売れるための管理、命令、抑圧が、結局様々な集団を小宇宙を、もっともっと狡猾に、あざとく支配し尽くしている。

僕との本番。最初から涙目の彼女を僕はののしった。怒鳴り付けて罵倒し、頭をしごいて喰わえさせた。大声で嬲りながら無抵抗の彼女を犯した。声を荒げすぎて喉が嗄れてしまった。
すべては監督の指示だ。男優の仕事だ。マネージャーもメーカーも認めたことだ。
そして女優もまた、泣く以上の抵抗をちゃんと自制しているのだ。
泣いているのは彼女だけではない。僕だってフラフラになる寸前まで全力でわめき、あがくようにレイプしていた。狂いかねないエネルギーを注ぎ込んでギリギリの七転八倒を演じてみせた。
泣いているのは僕の方でもあったのだ。

「女の園」のクライマックス・・・。
生徒「嘘泣きはやめて下さい!あなたは自分も他人も欺いて嘘の固まりで生きてる人です。子供まで産んだことがあるのに、どうして私達の見方にならないんですか?」
女教師「あなた方は二言めには人間だとか人権だとか叫びます。でもあなた方には人間の本当の苦しみはわからない。あなたは私のことを嘘の固まりだとおっしゃった・・・でもその嘘の固まりが、愛人と引き裂かれ、子供までどこの誰だかわからない人のところへ闇から闇に葬られた苦しみを知ってますか?」
生徒「だから嘘つきだって言うんです。その苦しみをなぜ吐き出さなかったんですか?ただ冷酷になってただ高慢になり、あなたは自分の苦しみを私達の精神に突き刺したんです!」
女教師「じゃああなたはどうなんです?自分の環境や周囲に対する不満をただ外に向かってブチまけてるだけじゃありませんか!自分の胸に突き刺すといいんです!」
生徒「だから苦しんでおります。今だって、明日だって、永久に苦しみながら不合理と戦っていきますわ」

だからAV女優は泣く。
死を覚悟する銀幕のヒロインに比べれば、馬鹿馬鹿しいほどチャチな状況であろうと、その夜のうちにケロッとして癒える底の浅さであろうと、彼女達もまた自分に与えられた運命にその瞬間だけは精一杯泣いて、己の弱さを苦しみを、周りの者に突き刺す。

すると僕はどっちなのだろう。
生徒・・・教師・・・。
嘘の固まり。闇の中の苦しみ。僕は冷酷に高慢に自分の苦しみをAV女優の精神に突き刺す。それで金をもらい、孤独を守りながら自分の胸に突き刺す。
だから苦しむ。今も明日も、永久に苦しみながら、AVという世界の、生きるということそのものの不合理と戦う。

一体何をしているんだか・・・。
スタジオの真ん中でヒーヒー泣きじゃくってる小さな娘を取り囲み、笑顔と生暖かい言葉をいつまでも降り注ぎ続ける男達。
これが仕事。ここにいる男達の仕事。
みんなわかっている。こんな泣きはただのマヤカシ。線香花火みたいな、涙の炭酸。
泣いてる本人ですら、次のきっかけで笑いだしそうなくらい、アテにならない自分をちゃんと知っている。
誰も死なない。誰も謳わない。誰のシュプレヒコールも聞こえてこない。

AV女優が泣く時。
それはみんなが笑う時。
自嘲する時。
僕が・・・闇の向こうで・・・突き刺されるとき・・・。


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内 容 ニックネーム/日時
こちらのエントリーに記載されている記事なんですが、

> オープニングのインタビューからその子は泣いた。
> ちょっと嫌み口調でこづいてみたら、たちまち涙がつたった。
> 次のキモ男優との絡みでも僕に強制されるとすぐに泣いた。
> 五人がかりの連続イラマチオでは、もうイヤァー!と叫んで泣いた。
> やっと終えて僕との最後のコーナーでは、暴れ回って号泣した。

2005年の記事のようですが、こちらは作品化されているんでしょうか?
もしされていたら、作品名と主演女優を教えていただけないでしょうか?
宜しくお願いいたします。
GIL
2008/07/17 15:04

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