AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS ふたりぼっち、イジメられっ子同志

<<   作成日時 : 2005/09/09 21:46   >>

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僕の代表作と自他共に認める「ジーザス」シリーズ(V&Rプランニング)について書く。この伝説のヒットシリーズは現在までのところトータルで25本。88年から続いている不倒のロングランだ。「ジーザス見てましたよ」と若い業界人から何度言われたことか。だが、大抵名前が挙がるのは樹まり子か藤田リナあたりで、僕個人にとってのベスト作品はなぜかほとんど話題に上らない。だからここに書く。タイトルは「ジーザス栗と栗鼠スーパースタースペシャル 池上恵美」(96)。

彼女は前作「藤田リナ」を見て出演を志願した、と言う。
その作品における藤田リナは文字通りボロ雑巾にされていた。体力気力の限界以上に、罵倒され泣かされ踏みにじられた末の単体女優は、すっかりメイクも落ちた吹き出物まみれの泣き顔で、もう出来ない、帰る、をうわ言のように繰り返した。あとひとつ絡みをこなせば目出たく完遂というのに(その相手が散々嬲った僕なのだが)・・・嫌だ、耐えられない、もうカラダが・・・私だってテレビの仕事とかもやってるしぃ・・・。
結局シリーズ初の真性ギブアップ、ヤラセ無しの職場放棄と相成ったイワク付きの一篇。
そんなよりによっての問題作を見て、今回のチャレンジャー池上恵美はなんと言ったか。
「あそこまでキレてるのが・・・うらやましく思えた・・・」

池上恵美。十九歳。中卒。元お水。元イジメられっ子。当時としては単体ながらハードファック系の出演作多数。兼ストリッパー。
雑誌での彼女のインタビューから得ていた知識は大体こんなものだった。
でも僕には現場に際して、この言葉ひとつで充分だった。
元イジメられっ子。

「ジーザス」シリーズはまず恒例の連続フェラ十人抜きからスタートする。そのものズバリ十本のチンチンをしゃぶり抜いて発射させるわけだが、完全なるノンストップ。髪から顔から胸にまでザーメンシャワーをベットリと浴びっぱなしでの長時間労働だから、少なからぬ女優はここでいきなりダウンしかかってしまう。
彼女の場合もリアルタイムで丁度二時間半。実際五人目くらいからかなりのバテ気味だったが、なんとか過不足なくこなした、というのがせいぜいのところ。
モニター越しに前九人の様子を眺め、ラストの自分への御奉仕ぶりを体験してみての僕の感想は、正直期待外れなものだった。
確かに頑張ってはいた。手抜きというほどの態度も見られなかった。
それでもこれは彼女特有のかもし出す雰囲気なのか。どこか投げやりで、どうにも冷たいのだ。生身の肉体を相手にしている彼女の温度が伝わらないのだ。
ハーフかと見まがう目鼻立ちのクッキリしたモデルフェイス。小柄な方ながらスベスベした美肌の光る均整のとれたナチュラルボディ。ケバさに裏打ちされた高級感漂うエロスフェロモン。
これだけAV女優として上質なのに、どこか生々しい淫乱さに欠けるのだ。単純なH度、若い女のスケベさ加減が圧倒的に足りないのだ。
魅惑的な裸をさらしても、ワイセツ感あふれる口吻行為に埋没しても、さっぱりイヤらしさを味あわせてくれない硬質なヨソヨソしさ。動くマネキンのごとき無味なる風情。
僕の出番はオーラスだ。おそらく明日の午後を過ぎる頃だろう。
こりゃあ先が思いやられる。
とことんまで弛緩しまくってのどん底ムードのなか、締めくくりだけ御任せか?と頭をかかえそうになったところで、メイク室から思いもかけない彼女の声が聞こえてきた。
うまく出来なくて皆に申し訳なかった。ある男優から、お前フェラ下手になったなぁ、と言われてショックだったし・・・。
ああ、彼女もわかっていたんだ。反省はしてるんだ。人に言われたことをずっと気にしながら、そうなるまいと彼女なりに努力していたんだ。
僕は少し見直した。自分のコンディションより相手や出来映えのことを気にやんだ彼女を、これなら期待できるかも、なんと言っても、あの女優崩壊の様を見た上で、自ら挑んで来た子なのだから、と考え直していた。
明日が楽しみ。どんな見事なハジケっぷりでこれからの6コーナーをこなして、僕を迎えてくれるか。
元イジメられっ子というキーワードを、純心な健気さだと解釈して、僕はすっかり日も暮れた流行に色付く街へ、ひとり紛れ込んで行った。

さて翌日の呼び出し電話は夕方かかってきた。
過去の例からすると決して押しまくりではないが、前日の期待から考えるとかなり意外。テンションが下がったのか、カラダがもたなくなってしまったのか。
思いドアを押し開けてみると、徹夜状態の疲弊したスタジオ内に昨日と変わらない監督の姿が見えた。第一声がこの淀みきった十八時間をアッサリと総括する。
「うーん・・・つまらない・・・ビジネスライク・・・」

なるほど食事時間以外まったく休みのない過酷な撮影。本番が一日で六回。そりゃあ上も下もお口はヘトヘトだろう。睡眠不足と体力低下でモチベーションも下がるだろう。なんでもいいから早く終わって!とヤケっぱちな気分も湧いてくるだろう。
だが・・・と僕は鏡の前に座っている彼女の背中に問いかけてみる。
君は追い詰められたかったんじゃなかったのか。泣きわめいた藤田リナに憧れたのじゃなかったのか。
なにより、昨日の自分の仕事に不満と悔恨を持ち、まわりの人々の期待に精一杯応えようと宣言したのではなかったのか。
僕は思った。
元イジメられっ子に、裏切られた、と。
そして直後に始まった男優との絡みを間近で見て、彼女への審判は決定的になった。
彼女はてんで男優を見ていない。自分から少しもぶつかっていこうとしていない。
キスもフェラチオもネチッこくこなすし、アエギも途切れない。
でもやはりそれだけなのだ。相手の目を見ない。言葉をかけない。肌を合わせまくっている男と、同じ体温を共有してない。つまりは、芯から交わってなどいないのだ。
口を開くのは撮影を止める時。サングラスをなぜか外さずに絡んでくる素人男優への抵抗、「恵美チャンが僕を好きになってくれたら・・・」というアブないつぶやきへのはっきりし過ぎの拒絶。そーりゃあ、無理だわ!
レイプシーンでは、疲労によるだるさがモロ見え。そのくせ優しいテニス娘という設定をまったく無視したヤンキー口調全開。何すんだよ、テメェー!ざっけんじゃねーよ!
相手の気持ちも、仕事としての状況も把握してない。頭がちっとも的確にまわってない。ココロが通っていない。
あまりにも空しくなってくる。血も涙も枯れ切った裸業オンナの成れの果て・・・。

いよいよ僕のコーナーだった。不快な予感を覚えつつも、あえて定番の質問から始めた。
自分では今回の出来はどう思ってる?
案の定、池上恵美は答えた。僕の目を見据えて、言い淀むこともなく、こう言った。
一生懸命やった。今までのAVで一番頑張った。
僕こそ言い淀みなんてなかった。
みんなはそうは感じてないようだよ。嘘だと思うなら監督に聞いてごらん。
もちろん監督はズバリと、作品の責任者としての不満と評価を語った。
実につまらなかった。これまでのジーザスのなかで最低。
僕は追い討ちをかけた。
君はイジメられっ子だったんだろう?イジメられっ子ってのは、誰も支えてくれないから、自分で自分を強くするしかない。ひとりで周りのイジメっ子どもに対抗して、自分のなかで潰していかなくちゃならない。
だけどその結果が君の場合はどうだ?この周囲のスタッフキャストのくたびれぶり。どうしょうもない徒労感。
なんのことはない、イジメられっ子だった君が、今はこれだけ大勢の人を堂々とイジメてるじゃないか。しかもそのことにまるで気がついていない。それこそ君をただ面白がってイジメまくった罪悪感のカケラもない連中と、君が本気で殺してやりたかったほど憎んで憎んで生きてきた鬼共と、まったく一緒になっちゃってるじゃないか・・・・。

池上恵美の涙が落ちた。
けれども泣き出したりはしなかった。自分がなぜこのシリーズに出たくなったのかをもう一度口にした。
あそこまで追い込んでいけるなんて、女も男も凄い。うらやましい。
何だい、それは。イジメられたいのか?そんなに滅茶苦茶にされたいのか?
池上恵美はうなずいた。
イジメられっ子にはもう絶対戻りたくないと叫ぶAV女優が、今のお前こそ最大のイジメっ子だとののしられて、再びイジメと戦う道を選んだ。
どんな風にイジメられてたか、ここで言ってみろ。
金とられて、自転車盗まれて、家壊されて・・・・空いてる教室呼び出されて殴られて蹴られてチョークの粉頭からぶっかけられて・・・・。
池上恵美は泣きながら、天井を睨み付けて言った。太いバイブで唇を股間をえぐられようと、それでも鋭い眼光のまま訴え続けた。

だが、アナルを責められて初めて弱々しく呻いた。NG項目だったのに、別の現場で男優から勝手にヤられてしまい、だったらもういいか、と適当にOKにしてしまっていた箇所だった。当然冷静に受けとめてみると、なにかされるとわかっただけて恐い、実際だと指一本でも痛い。
我慢出来なくなって池上恵美は僕を凝視した。真っ赤になった必死の目で僕に挑んできた。
耐えられないのか?
耐えられないね。
じゃあやめるか?オリるか?オリたっていいんだぞ。
ここでオリたら・・・これまでと同じ・・・別の意味で、弱虫になるでしょ!
じゃあ意地通すのか?
意地通すよ!
池上恵美はまた泣き出した。とっくに化粧もズタズタに剥げた醜悪なすっぴんマスクで、いつになったら許してくれるのかもわからないアナルの激痛を耐え忍んだ。長い栗色の髪をかきむしって、痛い、ムカつく、と繰り返しながら、絞り出すような嗚咽を広い広いスタジオに地の底から響かせ続けた。

監督の合図で僕は彼女を抱き起こした。無言で静かにキスを交わした。
もう彼女には何もしなくてもいいようにした。仰向けに寝かせて、足を開かせた。散々昨日から酷使されてきた部分に顔を埋めた。
ひたすら舐めた。ありったけの唾と舌で奉仕した。
彼女は声を上げる。切なさから、また泣くような、やがて歓喜のアエギに変わる。
僕の体に手を触れている。僕の存在を感じとっている。かたく目蓋は閉じていても、指と心がつながっている。
いい、気持ちいい・・・・。
AV女優のありふれたアドリブだろう。僕には相応しい。サオ師としてのテクなどカラキシ持ちあわせていない僕には全霊で舐めてあげることしか出来ない。その僕の全身の愛撫に彼女は反応している。未体験の疲れに、もう肉体の性感など麻痺しているだろうに、彼女は感じ続けている。ヒネリを効かせたミエミエの艶技ではない、シンプルで正直な、素っ裸の女の歓びを返してくれている。
それから僕等はつながった。彼女にフェラもさせずにクンニの流れから自然に合体した。
僕もバテていた。ほとほと疲れ果てていた。まるであったかい布団に潜り込むようにセックスを始めた。
僕等は抱き合いっぱなしだった。互いの体温に浸りきっていた。このまま丸く熱く、どっぷりと水かさが増していくみたいに、ひとつになりたかった。ふたりだけの宇宙になりたかった。
幸せ・・・・彼女は僕だけの耳もとで、こう囁いてくれた。

イジメられっ子だった女の子がいつの間にかイジメッ子になっていた。彼女のヤンキー口調は身についた鎧だった。そんな言葉で周りを絶えず威圧していかなければ生きてこられなかったのだ。
そんな凶暴になっていた女の子を、僕はイジメた。同じ元イジメられっ子が、彼女に対して容赦のないイジメっ子になっていた。
僕も他人を常に否定して生きてきた。自分を守るためにことごとく踏みつぶして生きてきた。言葉嬲りを売り物にして、彼女の倍近くも生き延びてきた。
けれど、僕はイジメっ子のままだ。誰も鎧を剥ぎ取ってはくれない。それどころか徹底した言葉責めだけを永遠に要求する。いつまでも絶賛する。あれから十年近くたってもまだやらせようとしている。
池上恵美はイチかバチかのイジメられっ子の追体験で、強がりにまいりかけていた自分を解放出来た。
体当たりで己の深層に飛び込んで行ったことで、憧れだった再生の境地に辿り着けた。
「ありがとうございました」。
僕が聞いた池上恵美の最後の言葉。
彼女はもう池上恵美ではない。池上恵美というAV女優はとっくに存在しない。
しかし、一人のイジメられっ子は今も残る。たとえ現在はもっとたくましいイジメっ子として精一杯生きていたとしても、彼女の愛憎こもごもたる原点はきっとどこかでしっかりと息をしている。元池上恵美を支えている。
僕だけが、いまだ僕のままだ。
健全な人間社会のイジメられっ子。AV業界に巣食う、死に損ないのイジメっ子・・・。

「ジーザス」シリーズでの僕は、単体女優をイジメるためだけに存在する。一歩外に出れば情けないイジメられっ子のくせに。
一方女の子達はイジメられに「ジーザス」に出る。だが、ほとんどの子達は、外でも内でもイジメられっ子じゃないし、イジメっ子でもない。どちらにも無縁な普通の多数派、一般世間を生きていて当たり前の、強者寄り。
池上恵美だけが違っていた。二十五人中彼女だけが、僕と同じ苦々しいもがきの中から「ジーザス」に出て、そして映像に刻まれてくれた。

幸か不幸か、「ジーザス」シリーズは一本もまだDVD化されていない。このままちっぽけな歴史の向こう側に消え去っていくのかもしれない。
それでもいい。僕の手元には一本だけ、残ってくれているから別に構わない。
「ジーザス栗と栗鼠スーパースタースペシャル 池上恵美」
たった一本の、僕だけの、ふたりぼっち・・・。

























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内 容 ニックネーム/日時
 はじめまして、私が辻丸氏の作品を見たのはタイトルは覚えていません。しかしすごく印象に残った男優さんです。よく他の男優さんはレイプ作品では脅したり脅迫したりもしくは手を出したりする男優さんが多いですが辻丸氏の場合その暴力的ではなく本当に相手の嫌がること精神的に追い詰めるような言葉攻めもっていてすごく驚きを覚えました。最近ベイビーエンターテイメントの作品を気に入り購入しているのですがそこで再び辻丸氏を見れてわたしてきにはべいび-さんのだんゆうじんではNo1かと思っています。特に女体拷問研究所4や女体拷問研究所アナザー2、お嬢様系恥辱の公開色攻め6などすごく良かったです。しかしこのブログを読み辻丸氏の苦悩や葛藤悩みなどがあったことをまったく映像だけでは気がつきませんでした。私もいじめられっこでした。ですからこの女優さんのように鎧をまとって何とか生きています。いやなことを無理やりさせられたり、詳しいことは書けないですがたぶんホモ系がある先輩に迫られたこともありました。これからの時々参加あせていただきます。
三戸
2005/09/10 10:44
ただの感想ですが…
当時、ジーザスシリーズは何本も見ました。彼女の主演作も何本も見ました。
ジーザスシリーズの中でも、彼女の主演作の中でも、1番「見て良かった」と思っているのは、この1本です。これは当時も今も変わってません。私の頭の中から消え去りそうにない作品について、貴重な話が読めて嬉しいです。
30歳
2005/09/22 08:46

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