AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 自然に”なる”・・「燃えよ!カンフー」詩録

<<   作成日時 : 2005/09/18 07:16   >>

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「あんた死ぬのが怖くないって言ったけど、あれホント?」
「ああ」
「どうしたら俺もそうなれるか、教えてくれない?」
「それは・・簡単に・・教えることが出来るもんじゃない」
「そう・・そうかもしれないね・・そういうことっていうのは多分・・自分自身で、悟っていくものなんだろうね」
「そういうことを尋ねる者は少ない。君のように理解出来る者は、もっと少ない」

銀行強盗を目撃した僧は、保安官に証人を乞われて彼の牧場で働くことになる。
保安官の息子はまだ少年で、小柄で足も不自由、性格も気弱な寂しがり屋だった。自分を馬鹿にしてくる奴にも殴り掛かることが出来ない。
言いたい者には言わせておくんだ。相手も君を怖れてる。
僧は息子に、からかってくる者など相手にするな、と諭し、母馬を亡くして暴れ馬になりかかっていた父馬に優しく右手をかざし、慈しみの心で懐柔すると、子馬と戯れさせてみせる。
お互いに寂しかったんだ、と。

その夜、僧は息子の前でインディアンの硬い弓を引く。
「その弓は親父にさえ引けないんだよ。すごい力持ちなんだね。それなら相手を一発で殺せるよ!」
僧「人殺しのために弓は引かない」
「じゃあ、なんのために引くの?」
僧「心を鍛えるためだ」
「こころを?つまり何か考えるの?」
僧「何も考えない。ただ的と、ひとつになるんだ」
「・・・そんなこと、信じると思う?ねぇ、どうして暗闇の中で的が見えるの?」
僧「私の目を見て・・(目を瞑ったまま的を射ぬく)」
「どうやってやるの!?」
僧「やるのでは、ない。自然に”なる”んだ」
「自然って、どういうこと?」
僧「的に当てようとしなくても、当たるんだ」
「どうして?」
僧「的と矢と弓は、ひとつだ。別のものじゃない。同じものなんだ。ひとつの」
「へぇ、そうかな・・・よくわかんないけど」
僧「それでいいんだ」
「何がいいの?」
僧「こういうことは、理解したいと焦っては駄目だ。焦りが消えた時、おのずとわかる」

自然に、なる。
男と女は、ひとつだ。同じものなんだ。当たり前につながれる。
そう思おうとしてきた。何も考えず、女とひとつになろうと十七年、現場に臨んだ。
でも駄目だった。滅多にひとつになれなかった。なれたと思っていても、それは目の前の女じゃなくて、別の、僕の頭の中に揺らめく愛奴とだった。僕は肌を合わせているはずの女優達をいつも殺してきた。心を野放しにしてきた。
今だに焦っている。もう理解したくもないのに、自虐的な焦りだけは続いている。
ヤることも、なることも出来ない。
おのずとなんて、到底わからない。

「ねぇ、どうして弓や馬のことにそんなに詳しいの?」
僧「馬も人も、同じ生き物だ。自然の恩恵を分かち合ってる。ひとつのものだ」
だから僕には女がわからない。分かち合う恩恵なんて、そんな相手はかつていない。

「ねぇ、そうやってあちこち旅して歩いて寂しくないの?」
僧「ひとりが好きなのさ」
「そう、俺もさ・・・でも時々やっぱり寂しいよ」
僧「若いからだ」
僕もひとりは好きだ。
でも時々やつぱり、いや、いつだって寂しい。たまらなく寂しい。四十四にもなって餓鬼のように寂しい。

翌朝、強盗一味に殺された妻の墓に老人が花をたむけていた。気丈な妻はただ一人一味に抵抗して後ろから射殺されたのだ。老人は僧と息子に言う。
妻はいつも、そのうちきっといい時もあるわ、そしたら二人で楽をしましょうね、と言ってた。わしはもう、生きる張り合いもないよ。
どうして一味を撃たなかったの?と息子は尋ねる。銃を持ってたのに。
「三十年ガンベルトをつけていても一度も使ったことはなかった。わしは腰抜けなんだ。犯人のことさえ怖くて言えなかった」
僧「あなただけじゃない」
「わしには何も出来ん。今までだって何一つとしてやったことはない」
誰も人を傷付けなかったんだから、それはそれで立派だよ。息子は答える。
「わしは駄目だよ、駄目なヤツだ、何一つ、やろうとしなかった・・・」

でもひとりじゃなかった。今はひとりにされても、ふたりで夢を語り合った時もあった。
あなただけじゃない。
僕だけが、何一つ・・・自分なりにやろうとしたのに・・・。

一味が僧を探しにやってきて激しい銃撃戦となった。老人の撃った弾が一味のボスを捕獲した。だが、駆け付けた保安官は殺され、頼る術を無くした息子は、一味が必ずボスを取り返しに来ると思い、途方に暮れる。

僧「先生、寂しいと思うことはありませんか?」
「お前は寂しいか?」
僧「いいえ。世間の人のように別に、家庭が欲しいとも、家族の団欒が欲しいとも思いません」
「初めてここ(少林寺)へ来た日を、覚えているか?お前は雨の中に立っていた。他の子と遊びもしなかった」
僧「早く両親に死に別れ、いつもひとりぼっちでした」
「それでこの寺に入るために、あのように辛抱強く待っていたのか?」
僧「はい」
「寺はにぎやかな所だと思ったか?」
僧「でも、ここでは皆が一緒に暮らしていました」
「他の生物と同じように、人も仲間と暮らすようにできている。しかし仲間と暮らすことの意味は、しょせん人間はひとりであるということを、しっかりと見極めることだ」
僧「それを教えて下さるために、入門を許して下さったのですか?」
「お前はすでに知っておった。だから入門を許したのだ」

仲間と暮らす意味。
僕の場合は、仲間だと信じて裏切られる意味か。
いずれにしても、しょせん人間はひとり。嘔吐したくなるほど、知っているさ。

保安官のいなくなった街で、息子に手を貸そうなどとする者は誰もいない。息子は仕方なく、留置所を守るのに協力してくれ、と老人に泣きつく。じゃあ少しだけ手伝うが、奴等がまた襲ってきたら逃げるからな、と老人は言う。わしは腰抜けだ。
よく平気で言えるねぇ!自分で自分を腰抜けだなんて。恥ずかしいと思わないの?
「思わんな。自分を誤摩化してもどうにもならんよ」
そうだ。老人にもなってないのに、僕はそう思う。

あくまで保安官の父の意志を継いで、一味と応戦しようとする息子に僧は言う。
僧「しかしそれは君のような子供の仕事じゃない」
「子供じゃないよ。もう大人だよ」
僧「大人か」
「そうさ。銃だってもう立派に使えるんだ」
僧「銃を使える、それだけでその人間が大人になったと言えるだろうか?」
「僕は腰抜けじゃないよ」

息子は死ぬ気だった。戦って死ぬならそれも仕方ないと思っていた。誰かがやらなければならないことだから。
老人は、だったらほっておけない、と逃げずにライフルを持つことにした。
どの道助かる見込みはない。お祈りをしておこう。
ふたりは膝まずきテーブルの上で手を合わせた。
が、僧はやらない。
あんたはやらないのか?
僧「カマキリを見たことは?」
カマキリって、あの足の長い虫のことかね。
僧「祈る姿に似ている・・・敵を殺す前の姿勢だ」

祈っているのは自分が助かること。そのために敵を殺すこと。
そんな祈りは、本当の神への祈りではない。
自分がイけること。そのために相手の女優を殺して自分の中に封じ込めること。
そんなエロスは、本当の男女のエロスではない。快美も至福も、あるはずがない。

三人は力を合わせて一味を撃退するが、留置所は火にまみれる。僧はひとりで猛火の中、ボスを助けに行く。なおも燃える椅子を振りかざす恩知らずのボスを蹴り負かして、外へ運び出してやる。誰一人殺されることなく、息子と僧は微笑み合う。
僕も誰かに助けられてきたのだろうか。
恩知らずのまま、生きてきたのだろうか。
誰とも微笑み合えないのは、そのためだろうか。

新しい保安官も来ることになり、息子は学校に戻る決心をする。老人と一緒に暮らすことになるかもしれない。
旅を続けるという僧に息子は言う。
ボスをブン殴ってやろうと思った。でも・・・やっぱり殴れなかった。
僧は答える。
「それでいいんだ」

僕も殴れない。いじめられっ子の頃から殴れない。付き合ってくれた女は殴れない。
ただAVでは殴れる。撮影なら血も涙もなく殴れる。魂の底まで殴りつけてやれる。
それがいいんだ、と十七年言われてきた、言葉嬲り男優。

「何してたの?また瞑想してたの?」
僧「無念無想。雑念を払って、こころを清めるんだ」
「で、それをやればどうなるの?」
僧「あらゆるものの真の姿が見えてくる」
「ものの真の姿?」
僧「真実と言ってもいい。なにものにも囚われない心だけが真実を見ることが出来る」










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