AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS WWE2〜真実は残酷だ〜

<<   作成日時 : 2005/09/15 20:26   >>

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僕が唯一頭をスッカラカンにして楽しめるエンターティメント、WWEについて一月ぶりに書こう。今回CSの無料放送(本国では八月八日生放送)で見たTVショーは正直低調だった。すべてが夏のスーパーイベント「サマースラム」に向けての予告編であって、ディーバコンテストなんてものを挟んで長ったらしいマイクトークが前後二回、結局マトモな試合は三つだけというバラエティショー形式の出し惜しみの回にとどまってしまっていた。
だが、そんなハズレッぽい内容にあって一人輝いていたのが、復活のスーパースター、マット・ハーディーだった。彼の勇姿に僕は素直に感動した。こういう思いもかけない僥倖に出合えるのが、WWEのたまらない魔力なのだ。

マット・ハーディーは今年で31歳。93年に地元の独立団体でデビュー後、99年に三つ年下の弟ジェフとのコンビでWWE入りし、危険なラダーマッチ、テーブルマッチなどでの命がけのファイトでヤングパワーの魅力を爆発させ、絶大な人気を誇った。タッグ王座にも五回ついた。
しかし先行していたのは常に弟ジェフの方で、彼の無鉄砲なまでの空中殺法とサイケ調のヘアカラーファッションによるカリスマ人気の前に、どこか堅さと不器用さを隠せない黒髪の兄は、長い間弟の引き立て役に甘んじていた。
このジェフは元々ミュージシャン志望でもあり、ロッカー並の自堕落な性格か、試合の前日も朝まで深酒、会場でも練習よりギター片手の時間が多いような生活ぶりなのに、リングの上ではド派手な空中ムーブを難無く披露してファンのハートをガッチリつかむ、要するに一種の天才タイプ。
対してマットの方はこれといった目玉の大技もなく、やや整いすぎたアクのないマスクもあいまって、とにかく何をやっても地味でハマらず、コンビ解消後もヒールとしてはさっぱりブレイクしない苦しい状況だった。
そんな折り、ジェフは会社のプッシュもどこ吹く風と、音楽活動に専念するために自主退社。
一方のマットはどうにも煮詰まりかけていたところへ怪我による長期欠場、待ってましたとばかりに、戦力外通告を受け、特に話題になることもなく解雇されてしまった。
やりたい放題の弟がスターのまま好き勝手に自由の空へ飛び出していったというのに、クソ真面目にプロレス一筋の努力に励んでいた兄が無情のクビ。
これだけでもショービジネスを舞台にした、人間の不条理な運命を描く、シリアスドラマになるだろうに、さらに追い討ちをかけたのが、先月ここにも記した悪夢の不倫騒動であった。

四年間同棲していた女子レスラーのリタが、エッジという妻帯者のレスラーと恋仲であると知って、マットは彼女を追い出した。ただでさえつらい自宅療養の生活なのに、守ってくれるべき永年の恋人に裏切られ、しかも相手は自分にとっても親友だった男子レスラー。傷心のマットにトドメを刺したのは自分一人だけのお役御免。毎週の全米放送では、そんなトラブルお構い無しにエッジもリタも世界のスーパースターとしての活躍を続けている。元々誰がどう見ても番付的にマットは二人よりも下。これが非情のビジネスルール、とわかってはいても、いざ自分がこんなみじめな立場に堕とされてみると、どうにも腹の虫は治まらない。

かくしてマットは自らの公式サイトに自分を襲ったすべての現実を暴露した。ゴシップはたちまちアメリカ中を駆け巡った。リタとエッジはショーの進行とは無関係に完全無欠のヒールにされてしまった。こうなると商売とあらば悪魔も魂も売りまくる地上最大のプロレス団体WWE。マットVSエッジ&リタという旬を極めた遺恨ドラマが、ブラウン管上をセンセーショナルに破戒したのだ。

この日、まずエッジがリタの肩を抱きながらカメラに向かってマットをののしった。
かかってこいよ。お前に泣きを見せてやるぜ。本当に情けない野郎だな。だからリタはお前を捨てて、俺を選んだのさ。
(終始無言のリタが返って無気味だ・・・・)
お前は六年もリタと付き合ってプロポーズ出来なかった奴だ。
俺はずっと主役級の立場で団体にいた。
お前は、恋人が俺にホレたお陰で団体に戻れたんだろ?
俺に感謝しろよ。かつてないほどの注目を浴びて「サマースラム」に出られるんだからな。

ここまで言うか?
言うのだ。これがWWEだ。
しかもこれはフィクションではない。哀しいかな、エッジの罵声は全部事実の的を射ている。マットはリタに捨てられた。結婚したかったのに、いつまでも人気はリタの方が上回っていた。エッジはさらにスターとしてのランクでとうてい適わなかった。
そして間違いなく、スキャンダルのお陰で団体に戻れた。ふたりの不倫があったから、マットは初めてここまでのスターの座に登りつめた。

あまりに露骨すぎてキツかったか?
エッジはニヤリと笑い、この一言で締める。
真実は残酷なものだ。
ふたりは見せつけるように濃厚なディープキスを交わす。

この後、久々のカムバック戦に臨んだマットにはもちろん大歓声。
だが、試合はまだカンを取り戻せないのか、得意技でピンフォールは奪ったものの可も無く不可も無しの出来映え。
と、そこへエッジの乱入。この乱闘こそ、この日一番の盛り上がりだったかもしれない。バックステージまで延々続いた、マットにとってのグッドジョブだったかもしれない。
貴様!命はないものと思え!

弟に抜かれ、恋人に愛想尽かされ、不倫の相手は今だ手の届かぬスーパースター。
ひたすら真面目に取り組んでも、持って生まれた地味さ、才能の足り無さ、恵まれない運気・・・怪我による無慈悲な失職。
クサって当たり前だったろう、何もかもほっぽり出して、国外へでも逃げ込みたかったろう(事実、本来はイギリスの団体でカムバックする予定だった)。
しかしマットはあえて泥まみれになることを選択した。
世界中の好奇の目が、実はエッジの指摘通りに寝取られ男の自分を揶揄していることを百も承知で、このハレンチな実話誌ノリのエセドキュメントに自ら飛び込んで行った。
ギャラの魅力?プロならば迷いはない。
そこまでしてメジャーにしがみつきたいか、しがみつきたいのだ。レスラーはリングに立ってナンボ、大観衆を興奮させてナンボ。
だが、今回ばかりはそれだけではないような気がする。
恋敵共への公然たる復讐。どういう経緯であれ、俺は今、お前達と同じ土俵に立っている。堂々とお前達に嫌というほどまとわり付くことが出来る。
また一度は自分をアッサリお払い箱にした団体への逆襲。俺はただのワキ役じゃなかった、弟の添え物なんかじゃなかった。俺にもまだファンを引き付けるレスラーの底力があったんだ。
もちろん、この手の三文芝居が使い捨てにされるだけなのは、娯楽商売の常識。
結局はエッジとリタは残留し、マットはいつの間にかキャストから外されフェードアウト・・・となるのは何となく目に見えている。
それでもやれるところまでやる。行き着くところまで行ってみせる。
考えてみればWWEのレスラー達は一人の例外もなく、いつクビにされても文句を言えない立場なのだ(そういう契約らしい)。
まして過激な肉体パフォーマーたるプロレスラーには、明日の保証など最初からないに等しい。
倒れたら最後、ジ・エンド。
倒れるまで走り続けなくてはならない、ローリングストーン。
なんと潔く、また生々しくてきびしい人間の姿だろうか。

心もカラダも内臓に至るレベルまでさらけ出し、リングで狂い咲く裸の表現者たち。
昨今のAVもWWE的な見世物路線に邁進している。
それはそれで素晴らしいし、大変なエンターティメント道だ。
けれどもあらゆる表現が仕掛けと計算による成果主義的サービスでしかないとしたら、人間の行う祭りとしてはあまりに寂しい、血の通いもなくどこまでも冷たい。
たまには剥き出しの感情に裏打ちされた制御不能の世界が展開されてもいいではないか。
しょせんは興行、どうせ撮影、と最低の法律は遵守しつつも限界のスレスレでのたうちまわるはぐれ者たちの抵抗があっても、面白いではないか。
そこまでをも呑み込んでしまえるのが、AVというWWEという、底無し沼のごとき人間エンターティメントの正体ではないのか。

マット・ハーディーのなりふり構わぬアガキっぷりに僕は自分を見たのかもしれない。
彼の自虐的な輝きが、僕の感性に強烈にフィットしたのかもしれない。
AVの中の僕はいつも一方通行の加虐求愛。
でも決して完璧に演出などされていない。むしろどんな作品であろうと僕の中の現実の想いを、憤りを、自虐を、相手の女優にぶつけている。
それは僕にとって救いようもなく残酷なことだ。
WWEとは比較にならない卑小な世界でしか、己の情念を炸裂出来ない囚人の運命。
エッジに言われるまでもない、真実はどんな世界であっても、残酷なんだ。

問題の「サマースラム」。
マットはエッジとの場外戦の末、大流血のレフェリーストップ負けを食らった。当然、この抗争は、to be continued・・・。
まだまだ視聴率を引っぱれる。そういう企業判断だろう。
最終的に誰が一番笑い、一番泣くかなんて、今は考えてる暇もない。誰も今日と明日のことしか本当は見えていない。それがビジネス。
僕だって、まだかまだかと思ってるうちに十七年も男優人生を引っぱってこれた。
いつでもフェードアウトしたいのに、忘れた頃にいきなりコールされる。
いじめマッチ、言葉責めデスマッチ。精神崩壊ヘル・イン・ア・セル。
泣きわめく女優を誰かが見たくなると、僕のカードが唐突に組まれる。
ののしられながら、からかわれながら、今度はあの鬼畜がどんなひどいことを女の子にするか、みんな期待している、それを感じて、ギャラも欲しくて、ここしか自分の舞台はないと心の中で慟哭して、僕はカメラの前に明日もリングインする。

真実は残酷だ。
同時に恐ろしいほど、デタラメに笑っちゃうんだ。








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