AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 心のまわり道・・・「燃えよ!カンフー」詩録

<<   作成日時 : 2005/09/11 20:37   >>

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「先生、世の中が平和な時は少ないのに、どうしたら平和な道を歩けるのですか」
「平和は世の中にあるのではない。道を歩む人間の心の中にあるのだ」

鉱山の麓で村を営む清国人達を、大佐と呼ばれる白人の有力者が追い出しにかかる。乱暴者の長男は、僧の目の前で村人の一人を撃ち殺してしまう。武器を持って立とうと決意する村人達。僧は和解を申し入れるために大佐の元へ出向き、納金を条件に交渉をまとめかかるが、父を殺された若者が長男を闇討ちし、激怒した大佐は大砲を用意して、村へ向かう。

「お前はかなりの腕っぷしらしいな」
僧「争いは嫌いです」
「ワッハッハ、面白い。争いの嫌いな男が、虎のように大暴れするとはな。わしも争いは好まん。軍隊も鉄砲も平和を守るためにあるんだ」
大佐は自分の作った新式の大砲の威力を誇示する。
僧「道具は人間を表します。土を掘る者はシャベルを。木こりは斧を。銃は平和の道具ではない」
「しかし火薬を発明したのは君達の先祖だろう?」
僧「そうです。絹も薬も、羅針盤も印刷機も。銃は違う」
「虎のように戦う技を身に付けるには、専門の訓練を受けたはずだ」
僧「良い兵士は乱暴ではないと教えられました。怒りにかられず淡白でなければならない、と」

怒りにかられず・・・今朝爪楊枝を入れたケースがひっくりかえった。僕は唸り声を洩らしながら一本一本を汗だくで拾い続けた。
洗濯物を干すために窓を開けた。近所からのテレビの音がしつこく、いまいましく耳に届いた。まるで待っていたかのように朝の静寂を破られて、僕は何度も舌打ちし、荒々しく窓を閉めた。
パソコンを開けても何も届いていなかった。もう何日になる・・何回めになる・・・。

大佐の次男は気弱な男で厳格な父親に逆らえない。しかしかつてメイドだった村の娘と恋仲だったので、何とか皆殺しはやめて欲しいと懇願する。大佐は渋々和解の条件を呑むが、あくまで娘は次男との結婚ではなく、妾として連れて行くと宣言する。村を守るために娘は悲痛な決意を固める。
「わたしが行くのは、みんなのためよ。わたしがいなくなっても、みんな少し寂しい想いをするだけで済むわ。でも山を失えば、人間らしく自由に生きることも、暮らすことも出来ないのよ。あなたでもそうするでしょ?」
僧「私はあなたではない」
「では、どうしたらいいか、教えて」
僧「みんなのためでも、あなたが自分自身を恥ずかしめることが、正しいことだろうか?」
「あたしが聞きたいのはそんなことじゃない、違う。一緒に来て。決心してるの。でも怖いわ」

人間らしい自由・・・僕は自由だ。それなのにこんなにいらだたしい。毎日毎朝、見えない誰彼に、まるで恥ずかしめられているような気分にさせられる。

「この蓮の花というものは、まことに清らかなものだ。根は水の中にあるが花は水の上に咲く。ようやく今、水の表に達した花もあれば、なかにはまだ水の中にいる花もある」
僧「それでは人に対する時も、相手によってそれぞれに応対の仕方を変えるべきなのでしょうか?」
「花を見るがよい。どのような成長の段階にあろうと常に同じ花ではないかな?」
僧「では、あらゆる人に同じ態度で接することですか?」
「そうだ。卑屈にならぬ限り、出来るだけ親しみを持って接するのだ」

人と接する。その度に裏切られる。だのに顧みられない。
あなたらしくない、あなたと違う、なにをそんなに怒ってるの?たかが何日か・・・大したことないじゃない?アタシ達の周りじゃ普通だよ。

娘に寄り添って大佐の前へ向かう僧。そこへ賞金稼ぎに雇われた同国の拳法使いが立ち塞がる。
大佐が言う。
「戦いを好まぬものが、虎のように戦わねばならんようだな」
僧「好むと好まざると、ひとは生きる道を、選ばねばならないのだ」

僧「どの道を行っても、乱暴で平和を愛さない者が現れたらどうするのですか?」
「完全に到達するためには、人は知恵と哀れみを持たねばならぬ」
僧「でも、先生。争いを仕掛ける者と争わないためにはどうしたらいいのですか」
「自然と一体になっている者は、肉体が争っていても心の暴力はない。だが、自然と一体になっていない者は、肉体は何もしなくてもそこには常に暴力がある」

僧は戦った。そして打ち負かした。次男に向かって言う。
「自分で選ぶんだ」
次男は生まれて初めて父に逆らう。娘と結婚する、と。
大佐は勝手にしろ、二度と帰って来るな、と言いすてて、大砲と共に村を去る。

好むと好まざると、僕はAV男優になった。ひとりで生きる道を選んでしまった。
知恵も哀れみも、求めたことはあった。何度もあった。でも、心に平和はなかった。
ひとりじゃ平和は持てない。自然と一体にもなれない。いつもいつも争いが巡って来る。肉体は何もしていなくても、心の暴力が絶えず僕の中にある。
打ち負かされるべきなのに。それさえも誰からも許されない。
自分で選びたいくらいなのに・・・どうしてか、なお生きている。

平和をとり戻した村人達は僧に願う。
ずっとここにいて。
私達を導いて下さい。
僧は悲し気に答える。
「みなさんのせっかくの申し出ですが・・・やはり私は・・・」
僧は知っている。心ならずも人をあやめてしまった自分に待っているのは永遠に続く争いの道だ。たとえ心に暴力はなくとも、自然と一体になっていない者共が醜い争いを仕掛けてくる。知恵と哀れみを持つこの人達を巻き込むわけにはいかない。

でもこれから先、私達だけでは心細いのです。
僧「ひとはそれぞれ、歩む道を、自分で見い出していくんです」
戦いを嫌う者が、戦いの道を選ぶ。
しかし僧の心の中には、永遠の平和がある。それこそが僧の自分で見い出した、素足で歩んで行く一本の道。

愛を望む者が、諍いの道を歩く。心の中に息づくのは、くすぶった苛立ちしかない。
行き着く先は・・・絶望じゃないか。
それでも僕は書く。書くことで何かと一体になる想いで、昨日も今日も明日も書く。
僕の見い出した、暗い死の淵に沿って歩む、絶望のまわり道。

「いいか、船の舳先になるのだ。舳先は水を分けて進む。しかし船が通った後、水はまた一つになっている」













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あらゆる人に同じ態度で接すること。
私はその真逆を生きている。
その人たちが望む、こうあってくれれば認めてやるという私。
その時々で違う私しかいなかった。


だからいつもひとりだったんだ。
誰とも交われなかったんだ。

歩む道、愛。
自分で選びたいと思います。

今はひとりじゃないから。






CREA
2010/12/11 22:21

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