AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 命綱は枯れても・・・

<<   作成日時 : 2005/08/30 20:47   >>

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AV男優のくせにまったく脱がなかった。シャワーも浴びず、男パンも不要だった。
昨日の現場。僕の仕事は君のそばにいるだけ。顔の間近で言葉をかけ、頭を支え、君の手を握っているだけ。僕は君の上半身しか触れなかった。股間を覗き込むことさえ出来なかった。それで充分だった。

君は、ほぼ一日中身動き出来なくされていた。特製の拘束台。大型のガラス板ベッド。皮の手カセ、麻縄、固定式電動バイブ・・・。
君は様々なことをされた。猿ぐつわ、ローター、媚薬、電マ、剃毛、電動歯ブラシ、寸止め、オブジェ、潮吹き、Gスポット、ピストンマシーン、ドリルバイブ、快感ディルドウ・・・。
僕は常に君の後ろにいた。君の顔をずっと見下ろしていた。君の仕事は耐えること。逃げることも避けることも許されない状態で、次から次に加えられる性感的拷問に必死で耐え抜き続けること。
僕はその首謀者。僕がすべての指示を出す。君の様子を見ながら、徐徐にレベルを上げていき、執拗に徹底的に君の体と心を追い込んでいく。
君は自由を奪われる屈辱に怒った。衣服を剥がされ恥毛を剃り上げられる恥ずかし目に悲しんだ。媚薬の魔力に幻惑した。振動による快感に歯を食いしばった。性器を電圧で刺激されて声をあげた。肉奥をとことん突かれて抑えが効かなくなった。思わず噴出した。自分の吹いたものに驚いた。絶えまない快感に、身のよじりようのない狂おしさに、何度も絶頂した。いつまでもやめてもらえない地獄に白目を剥いた。それでも終わらない激感にとうとう過呼吸を起こした。内臓まで痙攣した。緊縛と圧迫とで放心し、浜に打ち上げられた溺死体のあり様になり果てた。

僕は、君の頭をずっと両手で支えていた。カメラにライトに、自分の股間に大勢で何をされようとしているか、に。君の顔は数えきれないほど歪んだ。何度も何度も僕の目を睨み、哀願し、終いには反り返った。僕の言葉に敏感に応えた。罵声から抵抗へ、否定から屈服へ、最後は諦観して女の本心を叫んだ。
僕は、その顔をどんなことが起ころうと大事にしていてあげたかった。ナチュラルな巨乳、張りのある健康的な肌、ムチムチした太腿、小高い肉丘、底知れない女体の秘部。確かに商品価値は及第点すぎる。でも僕にとっては、君のその大きくも小さくもない顔だけで完全に満ち足りていた。一秒も途切れることなく君の表情が、映像に刻み込まれるのを心底望んだ。
もちろんビジネスを越えた想いだ。君にかけ続けた卑猥な責め言葉とは対極にある、私的な妄念。
君の顔こそが最上のシグナルだった。首から下は、特に下半身あたりなんかは、そのための燃力庫にすぎない。君の顔があらゆる反応を、燃焼を、そして爆発を伝えるのだ。僕は君の美的な崩壊に仕えるように、汗と吐息にまみれた君の顔を捧げ続けたのだ。

そして君の体は静止した。透明のガラス板を境に、両足をVの字に高々と吊られたまま、宙に横たわった。君は上からも横からも真下からも撮られている。僕に出来る残されたものは、君の合わされた両手を握ってあげることだったのだ。
君は快感の再開と同時に虚空を掴んでいた。力いっぱい有るモノ無いモノを細い指で握りしめていた。
僕はその、モノになろうと決めた。君が快感の苦悶のあまり、思わずつかみ取ろうとしていたモノに、なんとかなっていてあげようと勝手に誓った。
君の握りは強かった。指が爪が食い込んで鋭い痛みを感じた。しかし、たとえ裂けて血をにじませようと君の手から逃れたりはしなかったろう。
我慢の限界と戦い続けていた君の、唯一の命綱。
それは僕にとってもその現場の、いや今のこの絶望まみれで生きている時間すべての、代え難い命綱・・・。

女優以外で現場にいる女。大抵はヘアメイクのひとだ。タイプはほぼ真っ二つに別れる。
明るくて愛想が良くて、すぐ問題なく親しくなってくれるひと。
一方、最低限の挨拶以外まず話しかけても口もきいてくれず、目線も合わさず、側を通ることさえ避けるような雰囲気を見せるひと。
彼女達にきっかけなどない。第一印象で完璧な意識外。生理的な拒絶のバリアを張りまくって、一切の交歓をシャットアウト。見事なまでの人間失格の烙印を押してくれるのだ。
しかも見てくれは揃って派手目のディーバ風。磨き込んだ日焼け肌をことさら露出させたファッション、目立つ大振りのヘアスタイル、出るところは出まくってる体つき、要するに典型的男好き、挑発的、セクハラモード満開。
その日がまさにそのタイプだった。会って一秒で判決は下された。それも自分の守備範囲、Hライン内での異性判断もありあり。
わかってる。大した意味なんてない。単なる好感、合うか合わないか、理屈も悪意も何にもない、と。
だが、僕にはたまらない。対象外?オスとしての範疇外?そんなに嫌なんだ。ぞっとするんだ。雰囲気も態度も、声も匂いも、とにかく耐えられないんだ。あなたにとっては、存在そのものが最嫌悪なんだ?

あっちいけ、こっち来るな、カン違いしないでよ、ヤれるなんて夢にも思わないでよ、見たくもないから、どっか消えて、頼むから消えて、いっそ死んでよ、お願いだから死んでよ、アタシの周りからとっとと無くなって、無くなっちゃっていい、それがいい!絶対絶対!

またか・・・・・。

君は僕の手にすがった。体いっぱいでしがみついた。
僕もそうだったんだ。ヘトヘトだった。なにもかもが嫌だった。やりきれなかった。
君の手にすがった。縛り付けられた君の両手。握ることしか出来ない無力の両手。僕も同じだから。踏み付けられるみじめさに屈しているだけだから。
僕は君にすがった。体いっぱいでしがみついた。性とビジネスに拘束された君の固った体に、生きる重みと他人の冷血な空気とに圧殺されかかっていた僕は、無我夢中でしがみついていた。

ふたりだけの命綱。あの時のふたりに、他になにが必要だったろうか。
もちろん君は誰が命綱でもよかったろう。それこそ手すりやロープでも一緒だったろう。
僕だけが狡く、卑しく、アブなく、君をその日の命綱にしてしまった。都合よく、厚かましく、ギリギリに苦しむ君を利用した。ヘアメイクひとりが理由じゃない。
僕はもう、本能で求めているんだ。いつどんな状況でも、ほんのわずかのひとときでも、命綱が欲しいんだ。すがりつける一本が。命を預けられるような、見えなくても一方的でもいい、千切れかかったヨスガが、どうしてもどうしても欲しい、でないと死んでも死にきれない、そう絶えず、すさみきった心の中で、つぶやくように、叫んでいるんだ。

謝らなくてはいけない。君は悦楽の仮死から幾度も甦った末に、犯された。犯されながら、またイッた。僕はそれをカメラの背後からじっと眺めていた。
謝るというのではなかった。黙って心で、かしずくだけだった。その場に控えているだけが、かろうじて僕に出来ることだった。
終了後、僕は別れの言葉を鏡の前の君にかけた。
君の後ろに立って仕事をしていたケバい女は顔も向けなかった。
君だけが振り返って僕を見た。わざわざ椅子から立って、僕に笑ってくれた。

どこまでも身勝手でゴメン。

僕は君のその笑顔に、今もなお、こうして救われている。
君は僕の名前ももう忘れているだろう。構わない。命綱なんて、しょせんは僕ひとりのたわ言。
でも救われている。まだ生きている。
忘れない。
嘘じゃないから。



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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。とらです。
遅くなってしまいましたが、コメントをありがとうございました。
私の周りには、優しい人がたくさんいてくれて、嬉しくて。。
本当にありがとうございます。

少し前になりますが、東京は台風が通ったり地震もあったりで大変でしたね。
気付けば、見事だったひまわりも皆うなだれてしまって。
これから秋が来て、冬が来て・・そしてまた春が来ます。
春になれば、暖かくなって花々が咲き乱れる。
そう思い描けることって簡単なようで結構難しかったり。

でも、今の時期も紅葉や落葉が結構キレイなんですよ☆
近くに栗の木があるんですけど、今年も元気にイガを落としてくれるかなぁって、
楽しみにしてます。その栗さんは、大切なお友達です☆
・・・一緒に、生きてる感じがするんですよ。
相手から発せられるメッセージを受け取りにくいから、自分が追い詰められちゃうと
気付けなくなっちゃう。でも、気付けると心が温かくなるような。。

・・・全然関係ないですね。すみません。またお邪魔させてください。
ありがとうございました。
とら
2005/08/31 02:57
ありがとう。少しホッとしています。でも穏やかそうだから・・・。
栗の木ですか。僕はそんな心のゆとりも優しさも忘れていました。とらさんのおっしゃる通りですね。追い詰められるから気がつかない、心も冷え冷えのまま・・・。
充分関係のあるお話ですよ。心とどう付き合って行けるか、それが生きる根底です。とらさんはしっかり生きています。これからも・・・・。
ありがとう。また・・・。
辻丸耕平
2005/08/31 12:57
その手を掴んだ女の子がうらやましいな。
そんなふうに手を握ってくれたらいいのに。
non
2005/09/02 00:51
ありがとう。
手を握ると言う行為は最もシンプルで、かつ大切な想いを込められる表現です。
でもなかなか現実では、上手に出来ない、不器用にしか扱えない。
素直になること、まっさらになること、心を澄ませること・・・難しいですね。だけど、そうなれるように、自分にも相手にも祈りたいですね。
ありがとう。また来て下さい。
辻丸耕平
2005/09/02 10:15

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