AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 思い出だけではつらすぎる

<<   作成日時 : 2005/08/11 20:10   >>

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寄り添えば温もりはどこにでもあると思えた
なのに幻はどこにでもあると知ったの

現場に入ると、まずひとりになれる部屋を探す。
ダンゴつなぎ的メニューのAVが圧倒的な昨今、パートごとに男優が呼ばれてスタジオ入りすることが多いから、ひとりの控え室になる確率は高い。
でも僕はさらにスタジオ中を徘徊する。誰もいない、生活の気配もない、箱のような部屋をひとつひとつ確認していく。どういうわけか、ホッとするのだ。たかだか一軒家程度のスタジオがほとんどなのに、そこに自分しかいない感覚、自分だけの静寂、今この瞬間だけ味わえる私有者の愉悦、そんな錯覚の空気に冷んやりと酔えるのだ。

ひとりになりたい。
待ちに待った現場でありながら、いざ足を踏み入れると、孤独の空間を求める。
なにかに怯えてしまう。
失敗を、女優からの嫌悪を、独占出来ない性への飢えと憤りを・・・・。
立たない、イかない、は僕にとってはもはや終身刑だ。
一度の指名はおろか、会ってもいないモデルからもNGを食らう。挨拶の笑顔を向けても醒めたヨソ見しか返って来ない時の屈辱と憎悪、遠い記憶から傷跡を引きずってくるイジメられっ子の怨恨・・・。
どんな性格のいい子も、欲情を刺激する女体も、カメラの前では僕のものではない。僕が触れるのは白日の見本品であり、仕事という公共のオブジェだ。喰わえてもらえるのは商品化への過程であって、不特定多数へのマニュアルサービス。僕はAVそのものとファックさせられているにすぎない。

さまよった足跡 凍えきった涙 引き潮にまかせましょう

ひとりであれば邪魔されることはない。失敗も嫌悪も飢餓もない。穏やかでいられる。
せっかく来れた現場だ。僕の最好の居場所だ。誰にもかき回されたり、したくないんだ。
静かな窓が見える。人間の、社会の臭気がまるでない。それも怖い。
どっちなんだって?どっちもだ。
現場に来ればひとがいる。女がいる。言葉がある。体がある。
僕には縁の薄い、だからこわい、でも懐かしい、もっと愛したいたくさんのものがある。そんな自分をとことん感じていられるのが、ひとりの部屋だ。いや、トイレでもいい、浴室でもいい、バルコニーでも屋上でもいい。
じゃあ撮影場所は嫌なのか。もちろんそんなことはない。ただそこは最期にしたいのだ。無限の目にさらされるプレイルーム。しかし成功も、つかの間の愛も、夢のような独占も、可能性はある。その永遠の賭けを、僕が許される最期の場所なのだから。

大切な何もかも たやすくはさがせないのに
寒いニセモノはどこにでもあると知ったの

あっという間にすべてが記憶になる。幼稚な想い出になる。どんな部屋もどんな仕事も、僕がそのスタジオでどんな男優で生きたかも・・・。
僕の部屋は、本当にひとりになれる部屋は、あそこにしかないのかもしれない。あそこには想い出はない。今しかない。男優の僕が生き生きと、ひとりでいられる、ホンモノの時間。
普段の部屋には住むためだけ、なにもないんだ。想い出だけ。つらすぎる・・・。

思い出だけではつらすぎる ありえない窓は開かない
本当の鍵はただひとつ 永遠にあなたが持ってる
               中島みゆき「思いでだけではつらすぎる」

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰しています、覚えてくれていますか?
よくメールのやり取りさせていただいたの・・・・。
お元気ですか?
またちょくちょく覗きに来ますね
きらら
2005/08/15 01:03
ありがとう。
あまり元気ではありません。でも生きています。
そちらはどうですか。お元気ですか?
どうもありがとう。
辻丸耕平
2005/08/15 12:45

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