AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

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zoom RSS 17年目の自画像

<<   作成日時 : 2005/08/10 20:15   >>

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僕は自分の出たAVは極力見るようにしている。
ナルシズムなんかじゃない。責任感でもない。
自虐だ。そうとでも思わなければ、とても正視できない。
あの不快極まりないロン毛の奴はなんだ?唾棄にも値しない。反吐もいいところ。
キモい!死ね!

わざわざ電話して宅急便で送ってもらったDVD。
メーカーのマークに続いて、いきなり僕が映る。真昼の街を歩いている。モザイクだらけのビル街を黒づくめの格好でゆっくり歩いている。
なんというぎごちない動きか。わざとらしい足取り。でっちあげの無表情。自然さのカケラも見当たらないじゃないか。
芝居がこなせることもAV男優の必携アイテムだ。女優嬲りばかりがクローズアップされる僕だが、これでも出演作の6割はセリフありのドラマ仕立てだ。それがこのザマ。
我ながらいつまで経っても上手になれない。自然な動作が出来ない。
そもそもカメラレンズに普通の視線を向けられないほどの臆病さだし、どこか余計なところに意識を飛ばしてないと演じられない。それくらいアガる、照れる、こわい。

どうしてだか、いつも全身黒だらけの服装だ。ワルの役が多いから便利というのも見え透いた方便。ファッションセンスなんてどこ吹く風。汚れが目立たないというバカさ加減には気付いていても、要するに、色々選ぶ自信が無いのだ。これならおかしくない、と納得できる決断力が乏しいのだ。その上、服探しの面倒臭さ、どこかそんなことをする自分への場違いな戸惑い。

気味の悪い年齢不詳ぶりだ。とっくに若くはない。多分、オヤジの方だろう。
それであの長髪は何だ。それもオールバックでもパーマでもない、わずかな前髪を垂らした、まるでお下げのような奇妙さ。不自然なサラサラぶり。
そしてみっともないハゲだ。前と後ろだけ残して頭頂部は無惨に地肌剥き出し。薄いというより固まって抜け落ちている。バサッと剥ぎ取られている。変な病気と疑われても文句は言えないだろう。
スキンヘッドのような爽快さとも、年輪を刻んだ渋味とも無縁。もちろんフェチやハゲ専にも失格。
みじめな、みっともない、潔さもない、生き恥をさらした、まったくの落ち武者。負け戦の哀れな生き残りだ。よくぞ人前に出られるものだ。

セリフをしゃべる。トーンがおかしい。妙な抑揚がついてる。聞かされているうちにムカムカしてくる。イラついてくる。不愉快な気分にどんどん落とされる。
大学時代、殺陣のクラブで体育会系の指導をしていた。その頃からひとを激しい言葉で責めたてていた。同級生によく言われた。
お前のしゃべりってとにかく落ち込むんだよ、ムカツイてくるんだよ、あれじゃ、後輩、頭に来るばかりで、そのうちやる気なくしちまうよ。

薄笑いの顔がたまらない。締まりのない、グロなニヤケぶり。悪党のクールさもない下劣な邪さ。目が異様に細くなり、歪めた唇で下半分がエゲツナく膨らみ、反り返った顎がどうにも不潔な尊大さを強調する。汚らしい。

今回は拘束された女の側に終始くっ付いて、舐めたり触ったり屈辱の言葉を吹き込む役。それで出ずっぱりなのだから、つまり女優の悔し気な顔、苦痛に耐える表情、感じるカット、アクメの瞬間、脱力後の切ない息遣いアップ・・・なんのことはない、ヌきどころすべてに僕の醜悪な顔が割り込むのだ。安くない買い物をしてくれたありがたいユーザーの至福の瞬間に、とことんチャチャを入れまくるとは。
殺されるぞ、ほんとに。

裸を見せて、モザイク越しにも頼りないムスコで、グジグジした絡みを出しゃばらないだけが唯一の救いか。ラストの締めFUCKの時だけ、いつもいなくなる。画面の外へ逃げている。それだけが、見ている僕を安心させる。
いや、とんでもない。ユーザーの記憶にはしつこくこびり付いているだろう。あのうざい奴は誰だ。もういい、消えろ!

自分の醜さをここまで自分の目にさらされる仕事はないだろう。最低の自画像。そればかり画き続けて17年。

けれども僕は思う。自分を見つめ直すとか、自己を振り返るとか、この忙しく欲望まみれの時代に、どれだけのひとが出来ているか。
誰だって自分と向き合うのはしんどい。できれば避けたい。ひとの評価は他人がするもの、ともっともらしく開き直りたい。
しかしそれでわかるのか?自分はなにをしているか、どんな顔で生きているか、どんな声で語っているのか。
わからなくて、ひとに何かをする、勝手な表情を向ける、無責任な言葉を投げ付ける。

僕はマシかもしれない。僕みたいなろくでなしには、かろうじての幸運かもしれない。
嫌というほど自分を見て来た。うんざりするまで自分を思い知らされた。だからとことん嫌悪した。容赦なく否定した。抹殺したいほど断罪した。
それでなんとか、いま以上に他人を傷つけなくて済んだ。ひとのせいにするより、結局自分を責めた。延々と続いた自虐で、常識と法律を守って来れた。

僕は他人がわからない。見つめ直すことが出来ない。自分を振り返ってばかりで、そんなヒマがなかった。てんでないまま、44才にもなった。
でも一応、前科もなく生きている。追い詰められるほどの、他人の恨みも買ってはいない。
17年分の自画像は無駄ではなかったようだ。そしてまだ、仕事というキャンバスを持って来てくれる奇特なひとたちがAV業界には、いる。わからない。

僕には、他人だけが、永遠のモザイクなんだ・・・。


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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
同感したところ、多々あり。
ズッキー
2005/08/13 14:58

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