AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜

アクセスカウンタ

zoom RSS 聖なる囚人・・映画メモ「ストーカー」

<<   作成日時 : 2005/07/29 21:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

79年 ソ連 監督アンドレイ・タルコフスキー

不幸な映画だ。当時はまだストーカーという犯罪用語は無かった。今だとキワモノのサスペンス映画にされてしまう。主人公の鈍重な男の運命そのままだ。彼は、言われる。
「ストーカーよ、呪われた永遠の囚人よ」

●また呪われた現場だった。女優ふたりに男優ふたり。淫乱女医&ナースのW痴態。若々しく張りのあるナースの肌を味わおうとしても、痴女フォルモン充満の女医に目を奪われる。彼女は小太りの男優と早くも濃厚な接吻を交わしている。頃合をみて相手を強引にチェンジする。フェラチオの興奮も、小太りとの汗ばんだ肌を寄せての立ち位置に、すぐに失調してしまう。僕には淡々としていたナースが、ジャレ合うような愛撫に歓んでいる。尻が弱いという女医のたくましい臀部いっぱいに爪を立て、妖しく引っ掻きまわす。横目でナースのされるがままを見やりながら、意地になってのヒップ責めで、洋ピンもどきの絶叫を上げさせる。小太りのチンチンはいつでも暴発しそうなビンビン、僕はとっくにただのぶら下がりの肉マラ・・・。

もちろん主人公の男は性犯罪者ではない。この作品のストーカーとは、”ゾーン”と呼ばれる謎の地帯、あらゆる望みが叶うという”部屋”へ、国禁を犯して”客”を案内する、「密猟者(当時の和訳)」のことだ。
彼は絶望した人、善悪に関わりなく不幸な人々を”部屋”まで導く。そして胸に秘めた最も切実な願いだけを叶えさせる。しかし・・・・。

●発射タイム。僕はしつこく女医。というよりナースは、小太りに唇も指も好きなだけ遊ばれて楽しんでいる。一度もヨガリ声を洩らすことなく、一方的に風俗プレイ並のサービスを求められながらすんなり応じている。女医は逆に疲れたのか、30才の彼氏がいるせいか、受け身の体勢。しびれを切らした僕は女医の手を取り、機械的なしごきをやっと味わい、唇も頼み込むようにわけてもらう。するとそこは彼女も30本ほどはこなしたプロ。小太りの大量射精にやや遅れるも、紫の濃い口紅めがけて、僕も2日溜めたザーメンを放出できた。とにかくそれで役目は果たした。

彼の友人は”部屋”に入った後、大金を手にした。
一週間後、首を吊った。

教授と作家は部屋の前で立ち止まる。教授は手製の爆弾を取り出す。”部屋”が悪用される前に破壊してしまうのだ、と。ストーカーはそれを止めようとして作家に突き飛ばされる。
「どうして私を殴るんです?あなたの希望が破壊されるんですよ!」
作家も部屋には入らない。
「ここで叶えられる望みは、無意識のものなんだよ。頼んでもダメなんだ。多分、自分の本性が現れるんだろう」
ストーカーの友人は、死んだ弟を返してくれと哀願したのに、”ゾーン”の与えたものは大金だった。己の本性に気付かされた友人は自殺した。
「俺は中に入らんぞ。自分の本性の腐肉など欲しくないし、他人にも見せたくない」

●僕はプロだ。本番もレイプも乱交も断らない。立たなくなったら自分に哀願する。
仕事だから、ちゃんとしてくれ、と。
だが、僕の本性は、完全に逆だ。セックスよりソフトSM、羞恥プレイが好き。レイプは汚い。乱交、は不快だ。ふたりきりがいい。カメラも邪魔、時間も気にしない、女の好みは・・・つまり、仕事は嫌だ、AVなんてウンザリだ、自分ひとりの女と無心で楽しみたい、自分だけの快楽に没入したい、自分の本当に欲しくて欲しくてたまらない時間を手に入れたい。僕はもう気が遠くなるほど長い間これだけを祈って生きて来た。多分、これからも・・・永遠に・・・囚人のようにここから逃れられない・・・呪われている・・・そうなんだろ?”ゾーン”よ!

「誰も信じようとしない。あの二人だけじゃない。誰を連れて行く?いちばん恐ろしいことは、誰にもあの”部屋”が必要でないことだ。俺の努力は無駄なんだ」

ストーカーはなぜ自らが”部屋”に入らないか?彼はひとことだけ答える。
「今のままでいいです」
彼は何度も刑務所に入り痛めつけられてきた。娘は両足を失くして生まれて来た。妻に言う。
「俺には、どこだって牢獄だ」
それでも彼は”部屋”に入らない。ストーカーをやめない。己の本性を見たくないから?違う。彼には、のろまで哀れな笑い者として生きてきた彼には、本性などないのだ。そのままの彼しかないのだ。だから人はストーカーと呼んで蔑むのだ。

「私は確かに、ろくでなし、です。世間では何もできません。妻も幸せにできず、友達もありません。ただ、私には、ここがある。外には何もない。ここだけです。ゾーンの中だけに私の幸福も自由も尊厳も全部あるんです。私と同じように痛めつけられた人たちをここに連れて来て助けることもできます。希望を与えるんです。私にはできる。人助けできるのは幸せです。無上の幸せですよ」

●僕がこの映画を見たのは男優になる少し前。ライターとしてAV女優に、なぜ?なぜ?と柔らかい言葉責めのようなインタビューを繰り返していた20代の頃。
僕は「ストーカー」になりたかったのではないか。”ゾーン”をAVに置き換えて、AV女優という「痛めつけられた人たち」を、人助けすることを、自分にできる無上の幸せにするはずではなかったのか・・・。

「ただ、精神を集中して、すべてを思い出してください。人は過去を思う時、より善良になります。いいですね?迷わず、信じることです」

僕の努力は無駄だったのか。
嘘をつけ。
立たない男優という本性が、最初からすべてを証明しているじゃないか。いつになったら認めるんだ。お前に”部屋”はない。できることは、何もない。誰にも導いてもらえない。教授や作家と同じだ。ストーカーにこう言われるだけの、ただの奴らだ。
「うつろな目だったろう。自分を売り込むことしか、奴らは考えてないんだ。考えるのも金づくだ。それで妙な使命感を持ってやがる。あんな浅知恵で、何が信じられるもんか」

タルコフスキーの映画は長い。単に上映時間(160分)だけではなく、ひとつのカットが底無しに延々と続く。そして風景も、森林も、丘も、湖も、廃虚やトンネルやただの水たまりさえ、どこまでもどこまでも途切れない。その悠久たる映像の流れに、目を体を任せていると、自分の一切をも流されて行くような感覚に陥る。重要なモチーフである水の流れに呑み込まれるのではなく、文字どおり浮いて浸って、静かにゆったりと滑り込まれてしまう。
そこにいるのはまったくの無力な自分だ。あらゆるものを溶かされ剥ぎ取られた、遠い昔の小さな自分だ。もはやすべてを正直に白状しなくてはならない。流れ行く光と音の深いうつろいが、何かもお見通しなのだから。
しかし決してそれは、悲痛な時間ではない。長い長い絶望の調べではない。

「私は後悔してません。本当です。恐ろしい思いも恥ずかしい思いもしました。でも後悔は一度もしてません。私たちって、そういう運命なんです。生活に苦しみがなかったら、味気ないでしょう。苦しみがなければ幸せもないでしょうし、希望もありませんから」
ストーカーの妻が、映画を見る我々に語りかけるように、正面を向いてこう言う。

希望・・・僕には本来嫌いな言葉だ。しかしタルコフスキーの映画を見ると、嫌いになれなくなる。なにより僕はまだ生きている。”部屋”も”ゾーン”もとっくに見失ってしまったけれども、僕が売れないAV男優という「呪われた永遠の囚人」であることは、まだ信じていたい、苦しいけど信じていたい、幸せも希望も、運命の流れのなかに残していたい。後悔は、していない。

「ストーカー」・・・確かに不幸なタイトルだ。でも、だからこそ、必死でその作品の高潔さを守り伝えようとする人々もいるだろう。そういう運命の人たちこそ、聖なる「ストーカー」。
僕もそうであったなら・・・・。
















ストーカー [DVD]
アイ・ヴィ・シー
2002-12-16
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ストーカー [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。とらといいます。
2日前にしましまのつれづれにおいで下さいまして、ありがとうございました。コメントをいただくのは嬉しくてなんとお返事したらよいか考えておりましたら、お礼も遅くなってしまいました・・・。大変申し訳ありません。

ブログを少しずつですが拝見させていただいております。うまく言葉にできなくてもどかしいのですが・・心の中の空虚・・のようなものを感じたような気がしています。。
また、24日の「生きていても誰にも悪くない・・・」、その言葉、それだけでも重荷が取れたように思います。。
しましまのつれづれ
2005/07/29 23:33
ありがとう。
言葉って本当にもどかしいです。書いても書いてもなにも伝えられてないような徒労感・・・まさに心の中の空虚・・・でもこういうコメントをいただけると、昨日を生きた甲斐があった、とこちらこそ重荷がとれます。
ありがとう。
辻丸耕平
2005/07/30 12:04

コメントする help

ニックネーム
本 文
聖なる囚人・・映画メモ「ストーカー」 AV落人辻丸の言霊〜殉教録〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる